6.二年越しの戦火5
夜が明け、朝日が顔を出す少し前。
儂はゆっくりと目を開け、体を起こす。
傍に眠っている三人を起こさない様にゆっくりとベットから降り、自室の机へと向かった。
机の上に置かれているのは、読みかけの本が一冊と、棒手裏剣の束に、そして四組の籠手。
床に置いた荷物の中から色々な装備を一つ一つ出しながら確認しつつ、最後に四人分の忍装束を引っ張りだした。
と、ここでカエデとツバキが目を覚まし、眠そうに目をゴシゴシと擦った後、ユーリを揺り起こした。
「皆起きたか」
「ふぁ……、おはよぅ」
カエデが小さくアクビをしつつ、朝の挨拶をし、皆がそれに続いた。
いそいそと三人共ベットから降り、儂の手から其々の忍装束を受け取り、着替えを済ませる。
「儂が装備の確認はしておいたが、其々でも確認は怠るでないぞ。戦場で命を預ける物だ」
「はい」
「はぁーい」
「うん」
儂の言葉に三者三様に返事をした後、其々が準備に取り掛かった。
まず皆が棒手裏剣を籠手に忍ばせる。
そしてツバキとカエデは短刀を其々一本ずつ。
それを手にした二人は自身の目の前で一度鞘から抜く。
それはナイフより長いが、ショートソードよりは短い。
少しの反りがある刀身に、尖り互の目(三本杉)と呼ばれる刃紋。
出立より数日遡り、儂の持っていた日本刀を打つ為の知識を元に、ユウキが完成させた二振り。
よくもまぁ儂の拙い知識を元にコレほどの短刀を打ち上げた物と関心したのが記憶に新しい。
閑話休題。
二人はゆっくりとそれを鞘に戻し、腰へと帯びる。
利き腕が違う為、向きはツバキが右向きに、カエデは左向きに。
そしてユーリは、矢筒を背に負い、短弓を腰に装備する。
最後に儂はいつも通り、棒手裏剣、籠手、その他小道具を懐へといれた。
「ふふっ、皆似合うておる。……では、ツバキとカエデは二人でクロハの護衛につけ」
「はい!」
「気負う事は無い、お前達は儂が鍛えたのじゃ。雑兵に遅れは取るまいよ。……そして、ユーリは儂と来い。儂らは別行動を取る」
「うん!」
儂の言葉に三人共がよい返事を返す。
頼もしい限り。
「では、儂らは先に出るが、二人はクロハの元にゆけ。そろそろあちらも準備にかかる頃じゃろう」
「わかった。お姉ちゃん、ユーリ、気をつけてね」
「ユーリ、お姉ちゃんの言う事は絶対に良く聞くんだよ」
「うん。解ってるよっ!任しといてよ、へへっ」
「ふっ、ユーリの事は心配するな。儂が付いておるでな。二人も気をつけるんじゃぞ。もしもの時は、解っておるな?」
儂の言葉に、カエデとツバキが神妙な面持ちで、揃ってコクリと頷く。
それを確認し、儂は左手をツバキに、右手をカエデの頭の上にポンと置き、クシャクシャっと頭を撫でる。
二人が揃って頬を膨らませ、乱れた髪の毛を直しながら抗議の目を向けるが、次の瞬間には笑みを零す。
スマンスマンと言葉を発しながら儂も笑みを零した。
「儂らはシノビ。主の盾となり、剣となれ。主は光、シノビは影。……さて、推して参ろうか。アオイ一家の初陣じゃ」
「「「はい!」」」
儂の言葉に三人の声が揃って返事を返す。
朝日が顔を出し、辺りを明るく照らし始めた時分の事。
さぁ、楽しい戦の始まりだ!




