1・迷子
1・迷子
○月◆日
認めたくないけど、認めなくばならない。
……あたし、ぜっさん迷子です。
…どおしてこおなったかな?とっても不思議。まっすぐ歩いてきただけなのに。
赤いふかふかの絨毯がしかれた、広い横はばの廊下があるのは、あたしの居城。(って事になってる)『魔王城』だ。
あたしの為に皆が建ててくれた城は、異世界地球で有名なかのネズミのテーマパークにある、あの城にそっくりだ。
小さく幼いあたしにピッタリと、皆は言う。
あたしは、それが少し不満。気に入っていない訳じゃないけど…『魔王』なのにと、思わないでもない。まあ実際、魔王魔王した城は怖そうだからイヤなんだけど。
☆☆☆
(今日も)あたしは迷惑をかける。
今日こそ何事もなくすごしたかったのに。
予定では、少し散歩をしたら『しつむ』(ハンコを押すだけのカンタンなお仕事です!)をして所定の場所で、治癒を続けるハズだった。
今日は珍しく二件も『勇者』たちの来訪がある。その内一件は『召喚勇者』だという。でも大丈夫。相手は『東の』だ。鬼の宰相サマはあたしの配下の中で一・ニを争うくらいマジメで厳格。手をぬかない。そして血も涙もないと有名。
一時間とかからず『勇者』たち(いつでも四人。構成も『勇者』と『戦士』と『魔法使い』そして『僧侶』と決まっている)を無力化するんだろう。
魔王の間(居るのは『東の』だから『四天王』の間なんだけど)に、到達するまでジャマをする配下(モブ・ザコ…大分部)たちを、あたしは癒さなければならないのに……。『勇者』たちが城内をすすむ時間のほうが、ケガ人が多くでるのに…。
どうしよう?まにあわないよね?
………それに、ここってどこかしら?あたしの居城なのに。さっぱり。
わかんない。
なーんて思いながら歩いてたら、うめき声がきこえた。
あたしの配下の声かしら?もう『勇者』たちがここまで来たの?ケガしてる?それにしても…変な声。
素早く(あたしにしては)あたりを見まわすと、客室棟にいる事に気付いた。客なんて、ぶっちゃけ来たことないんだけどと、思わないでもあるんだけど…一様あたしの城には『魔王城』として恥ずかしくない、あるべき機能のものは全部ある。(何故だか皆が気合いをいれて造った…必要ないのに)
たくさんの同じ様な扉の中で、大きく開けはなたれた所があった。声はそこから聞こえている。
苦しそうな、あえぐような、うめくような…本当に変な声。
あたしは、そこに普通に近づいてヒョイと中をのぞきこんだ。急がなくても、あたしの治癒なら一瞬だし…配下(モブ、卯像無像)だし…と軽く考えていた。
中は奥のほうに天涯つきのベッド、ドレッサーにタンスなどなど無駄に備え付けられた物が多く豪華だった。
大きな窓もあり、さんさんとした陽光がおしげもなく降りそそいでいる。
「えぇ?」
あたしは大きく驚いた。(驚愕した)
室内には四人の人間が、いた。
内、二人は女性。
ーーーしかも『にんぷ』。
そして、『はすい』して、いた。
ーーーーーーーーーー『破水』
「え!!」
何故に『妊婦』。何故に『破水』
「う、うまれる~~~~~~~?!!」