夕方のトライアングル
初投稿作品です。
不思議な体験や魔法があればいいな、と思い書き始めました。拙い文章ですが、読んでいただければ幸いです。
宜しくお願いいたします。
甘いものが好きだ。学校帰りにパン屋やケーキ屋を横目に、グッと堪えながら帰る。
何故ならば、同じマンションのサクラがかなりの高確率で、俺の帰りを待ち伏せしている。
そろそろ着く頃、大きな声でサクラが俺を呼ぶ。
「ナツーーー!!!!!」
近所迷惑だ。
「サクラ、今度は何を作ったんだ?」
サクラに近付きながら話しかけた。
「昨日の夜ね、バナナパウンドケーキを作ったの!早くナツに食べてもらいたくて。」
俺も現金なヤツだ。サクラの作るお菓子をあてにしている。
「よお、俺の分はないのかい?」
レンがやってきた。サクラは仕方なさそうに言う。
「あるわよ、アンタの分も。アンタそもそも甘いもの好きじゃないんだから、食べなくたっていいじゃない。」
俺は2人のやり取りを見ながら、パウンドケーキを食べ始めた。
「ナツも何か言ってよ。レンの分の材料費が勿体ないじゃない!」
レンは溜息混じりに言う。
「冷たいねぇ、サクラちゃんは。平気でえこひいきするんだねぇ。」
サクラはレンに対してあたりが強い。なぜならば、この2人は中学時代に付き合っていたことがある。
ほんの2ヶ月だったが。
別れた原因は、レンが女たらしで、自分から付き合おうと言ったのに、サクラに対して何の興味を持たなかったからだった。
サクラは普通の女の子だし、レンはモテる男だし、これはサクラが不憫な思いをするのは目に見えていた。
けれど、レンは決して悪い性格じゃない。そもそもレンは人たらしなのだ。
「まぁまぁ、サクラの作ったおいしいパウンドケーキをせっかく食べてるんだから、楽しい話題でもしようよ。」
「そうだよ、サクラちゃん。君の将来はパティシエなんだろう?色んな人に食べてもらった方が色々参考な意見が聞けていいんじゃないかい?」
サクラはそんな俺らの説得も聞かずに言う。
「あたし、趣味で作ってるだけだから。将来なんて、まだわからないよ。」
曇った瞳でサクラは言った。
「え?製菓学校に進学するんじゃないの?」
俺はてっきりそう思っていた。
「うーん、それとこれとは別なのよ。」
こんなに年中お菓子を作る子が、他に夢があるというのか。女心はわからない。
レンと別れたあとも、普通にこの三角関係が続いているのも、サクラの本心が見えてこないから、持続しているのかもしれない。
「あたし、夕べ寝不足だから先に帰るね。」
「美味しかったよ、サクラ。またな。」
「サクラちゃん、またね〜!」
サクラはヨロヨロとしながら、先にマンションに入っていった。
「難しい年頃だな、あの位の女子は。」
レンは少し笑いながら言った。
「お前、何歳だよ。全員俺ら高1じゃん。」
「俺、知らず知らずサクラちゃん傷つけてたからな。」
マンション前の花壇の塀に俺とレンは座って喋ることが多い。
「なあ、サクラの作ったやつで1番美味しかったのって何だった?」
「うーん、シナモンロールかな。それかウィークエンドシトロン。」
俺と同じ意見だった。彼女はあれだけ美味しいお菓子が作れるのに、パティシエになろうと思わないんだな、と少し寂しい気持ちになった。
まだ高校1年だけど、これから俺たちどうなっていくんだろう。
寂寥感に包まれた夕方。悩みのない俺でもサクラが何かに悩んでいるのはわかった。
レンも感じている。言葉にはださないけれど。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
なんとか続いていくように頑張ります。
初めての小説なので、緊張していますが、少しでも読んでいただければ嬉しい限りです。




