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第八話 対決、エゼルグ

ひっさしぶりの更新です。

闇の霧の中、僕たちはエゼルグと対峙した。彼の纏う黒いオーラは、まるで生き物のようにうねり、空間を歪めている。


「さあ、見せてみろ。堕天の剣の力を。」


エゼルグが静かに手をかざすと、その掌から黒い刃が無数に生み出された。次の瞬間、刃が猛スピードで僕たちに襲いかかる。


「来る!」


僕は剣を振るい、迫りくる黒刃を弾きながらシエラと共に前進した。


「無駄だ。」


エゼルグが指を軽く動かすと、弾いたはずの黒刃が再び僕の背後から迫る。


「チッ……!」


咄嗟に身をひねって避けたが、左腕をかすめる鋭い痛みが走った。傷から滲む血が地面に滴る。


「ラズフェル、大丈夫!?」


「問題ない。でも、このままじゃ……。」


僕たちは攻撃の隙を探しながら距離を取った。しかし、エゼルグは余裕の表情で僕たちを見下ろしている。


「やはり、お前は力を恐れているな。」


「……何?」


「さっきの戦いで解放した力を、今は使おうともしない。恐れたか?代償を払うことを。」


エゼルグの言葉が胸に突き刺さる。確かに、僕は「闇天一文字則宗」の力を使うことを躊躇していた。ゼフィラスの声が、あの異様な疲労感が、僕に警告を与えている気がして――。


「フン、つまらん。」


エゼルグが指を鳴らすと、闇の刃が再び形成され、今度はシエラに向かって一直線に飛ぶ。


「シエラ!」


僕は駆け出した。しかし、間に合わない――そう思った瞬間、シエラが魔法の障壁を展開し、刃を弾いた。


「私だって、やられるつもりはないわ!」


シエラが反撃の魔法を放つが、エゼルグは簡単にそれをかわし、瞬時に彼女の背後へと回り込む。


「しまっ――」


「甘いな。」


エゼルグの黒刃がシエラに突き刺さろうとした、その時――。


「やめろぉぉぉぉ!!」


僕の叫びと同時に、体の奥から強烈な力が解放された。


――闇刃解放――。


黒い光が溢れ、剣が再び「闇天一文字則宗」の姿へと変貌する。


「ほう……ようやく使う気になったか。」


エゼルグが不敵に笑う。しかし、僕は迷いなく剣を振り上げた。


「ウロボロス!」


地面が揺れ、巨大な闇の刃が形成される。直径50センチの円形の刃が100枚以上僕を中心に回転し、闇の波動と共にエゼルグに襲いかかった。


「クッ……!」


エゼルグは初めて表情を歪め、黒刃を展開して迎え撃つ。しかし、僕の斬撃の密度がそれを上回る。


「このまま……押し切る!」


僕はさらに剣に力を込め、刃の勢いを増した。闇の刃がエゼルグの周囲を包み込み、彼の黒刃を次々と弾き飛ばす。


「フン……なるほど、面白い!」


エゼルグは後退しながら、さらに闇の力を解放しようとする。しかし、僕はそれを許さなかった。


「……覇王絶塵。」


刹那、全ての闇刃が収束し、極大の斬撃となってエゼルグへと放たれる。その幅は10メートルを超え、通り過ぎた後には何も残さない――。


「チッ……!」


エゼルグは瞬間移動でギリギリのところで回避したものの、その左腕を斬り飛ばされ、彼の黒い血が地面に飛び散った。


「……これは予想以上だな。」


エゼルグは悔しげに舌打ちしながら、闇の霧に包まれていく。


「今日はここまでとしよう。また会おう、堕天の剣よ。」


その言葉を最後に、彼の姿は霧と共に消えた。


「逃がしたか……。」


僕は剣を収めると、体が崩れるように膝をついた。


「ラズフェル!」


シエラが駆け寄り、僕の肩を支える。


「大丈夫……か?」


「ええ。でも、あなたの方が……!」


僕は僅かに微笑み、空を見上げた。


――この力の代償が何なのか、それを知る時が来るのかもしれない。


けれど、今はただ、戦いが終わったことに安堵するしかなかった。

うぇい!

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