第四話 闇に潜む意志
よろしければリピートお願いします。とても初心者が書いた作品のため、生暖かい目で見ていただけると幸いです。
剣を握る手に黒い炎が絡みつく。その力がどこから来ているのか、僕には分からない。ただ、目の前の巨大な獣に立ち向かうには、この力しかないと思った。
「……ラズフェル、大丈夫?」
背後から聞こえるシエラの声が震えている。彼女もこの状況の異常さを感じているのだろう。
「怖がらないで。必ず終わらせる。」
自分に言い聞かせるように呟き、目の前の獣を睨みつけた。その体は闇そのものから生まれたかのように、輪郭が曖昧で、視線を向けるだけで吸い込まれる感覚を覚える。
獣が低い唸り声を上げると同時に、その巨大な腕が振り下ろされた。咄嗟に横へ飛び退き、間一髪で攻撃をかわす。大地が裂ける轟音とともに、土埃が巻き上がった。
「っ、この力が……!」
剣を振るうたび、黒い炎が刃を伸ばすように形を変え、獣の肉体を焼き払っていく。しかし、その度に胸の奥に刺さるような痛みが広がった。
「この力は代償を……払わせるのか……?」
一瞬の戸惑いが、僕の動きを鈍らせる。その隙を見逃さなかった獣が、咆哮とともに前脚を突き出してきた。
「ラズフェル、危ない!」
シエラが叫ぶが、間に合わない――そう思った瞬間、剣に宿る闇が僕の体を包み込んだ。
――私にすべてを委ねろ。
頭の中に響く声。それは低く、冷たく、どこか懐かしさを感じさせるものだった。
「誰だ……?お前は……!」
――私の名は“ゼフィラス”。お前に力を与える存在だ。だが、お前がその力を支配できなければ……お前は私に呑まれるだろう。
その言葉が終わると同時に、剣から放たれた闇が獣を貫いた。まるで生き物のようにうねりながら、獣の体を切り裂いていく。
「……やった、のか?」
獣は苦しむような声を上げて後退し、その体が崩れ落ちていった。霧のようになって消えていくその姿を見届けると、僕は剣を手放し、膝をついた。
「ラズフェル!」
シエラが駆け寄ってくる。
「大丈夫……?」
「……なんとか。でも、この力……。」
剣を見つめると、黒い炎が再び収まり、錆びた刃だけが残っていた。
「力を与える代わりに、何かを奪われるような感覚がある。あの声が……力の源なのか……。」
不安と疑念が胸の中に渦巻く。だが、答えは見つからなかった。
「それでも……僕には、これしかない。」
そう呟く僕の隣で、シエラはそっと手を握った。
「ラズフェル、力に飲まれないで。私たちはただ、生き延びるために戦ってるだけ。それを忘れないで。」
その言葉に、僕はかすかに頷いた。
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