3話目
アバロンという場所は凄かった。上は土のはずなのに日光が行き届いており、デパートとアパートを足したような感じだ。
一通り案内され、仮住まいの鍵を貰った後、気になっていたことを聞いた。
「あの天井も誰かのバグなんですか?」
「そうそう、よく気づくね、賢いんだね君」
「バグと言えば、水都さんのバ「お前このヤロォォォ」
嫌でも覚えのある、罵声のよく合う声がした。
「テメェ勝手に俺をこんなとこに連れてきやがってヨォ、それに何だよバグがバレたら死ぬって!」
「バグがバレたら…死ぬ??」
先程のまずいと言っていた意味がわかった。それならこれはまずいってどころの話じゃない。
「あんたグリッチャーやバグのことは教わったのにデバのことは教わんなかったんだね。いい趣味してるねその教えた人」
「ウルセェ具体的に説明しやがれ!」
強盗野郎は水都さんの胸ぐらを掴む。
水都さんは一瞬こっちを見た。その後胸ぐらを掴まれたまま喋り始めた。
「そうだね、丁度いい機会だし一から説明しようか。バグには種類があるんだ。自分の体にのみ影響を及ぼす身体系、周りの物質や周囲の空間に影響を及ぼす空間系、その両方に属するまたは属さない特殊系の3種がね」
となると俺の能力は空間系ということか。
「今言ったやつの後の方ほどレアで強いんだ。でもただ能力GET!ラッキーって訳にはいかないんだ」
「それがデバ…デバッカーの存在だね。デバッカーはバグを殺す上でやらなきゃいけないことがある。それは現実世界でもあるんだけど、何かわかる?」
「あ"?そんなん知る訳ねェだろボケ頭湧いてんのか?」
現実で存在してて尚且つさっきの話と絡めると
「バグの特定とかですか?」
「大正解!さっすが!」
「最初にさっきの3つから絞られ、バグを特定される。バグを特定されたら最後、特定されたグリッチャーがバグを使えなくなり特定したデバッカーには"ツール"という特定したグリッチャーを殺せる権限をもらえるんだ。あとそれとは別にデバッカーにも"祝福"つってバグに似てるけど違う能力が渡されるんだ」
急な情報の連発で訳が分からない。バグを特定されると不利になるのは分かった。それと祝福?なんでこっちはバグなんだ?
「なんでこっちはバグであっちは祝福なんですか?」
「こっちは現実にありそうなバグに似た能力なんだ。だけど祝福は皆がイメージするような能力物を使えるんだ」
「例えば君、物を増やすでしょ?それと凱斗くんは黒い煙でしょ?ゲームとかでたまに見ない?物増えたり画面が真っ暗になるの。そーゆーやつなんよ」
「あ"?じゃあオメェは何なんだよ!」
「言う訳ないじゃん。どっから聞いてるかわかんないんだもん。だから君らは2人とも監視カメラや祝福やらで能力バレてるからかなりまずいね」
「ふざ…けんな…俺ァただ、妹達に…」
男が胸ぐらを離しへたり込む。
「祝福についてもっと知りたいです」
「まぁまぁ落ち着いて、ゆっくり話すから」
「俺らの能力が世界のバグならあいつらの能力は世界からの祝福ってとこかな。あいつらは大体俺らに攻撃してくる攻撃系、俺らの位置を教えるとかのサポート系の能力だから警察みたいに2人で行動してるのが多いんだ。」
「だから俺らは外ではあまりことを荒立てられないってわけ。なんならここも他より安全ってだけであんまり安全でもない。バグで色んなとこの小屋に内装をシャッフルしてるだけだから」
そういうことだったのか。あの件は。
「まぁ今日は長いこと話したし疲れたでしょ。さっさと部屋戻って寝なさいな」