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バグDEバック  作者: 抹茶ちーの
1/3

1話目

 いつもの日常。


 毎朝気怠げに起き、学校に行き中身のない会話で盛り上がり、学校を終える。


 見慣れた帰路、この生活もあと半年…


 高校3年の夏、いつもの帰路を歩きながらふと我に帰る。


「高校生活、まじで短かったな…」


「青春といった青春もなかったし…」


「このまま勉強して大学に行き、社会人になるのか…」


 モラトリアムが終わるだけなのにまるで人生が終わるような感じがして、ふと歩む足を遅める。


 近くにあるコンビニに目が止まり立ち寄ろうとする。


「ウルセェ!!いいから金出せ金金ェ!」


「!?」


 あまりの出来事に思わずあしがすくむ。


 どうやら目の前でコンビニ強盗が起こっているらしい。しかし見たところ犯人は手ぶらのようだが?

 

「くそ!見えねぇのかこのナイフが!」


 気付けば犯人の手にはナイフが握られていた。


「あいついつあんなもの抜いたんだ?」


 店員が悲鳴を上げる。


「叫んでんじゃねェクソアマ!」


 店員を切りつけようとナイフを振りかざす。


「くそっ!」


 気がつけば俺の体は動いていた。なぜかはわからない。ちっぽけな正義感なのか、はたまた非日常と出会った好奇心からなのか、自分じゃ到底敵わないと分かっているのにそれに反して体は動く。


「な、なんだテメェ!」


 強盗のナイフを持った手に掴み掛かりナイフを全力で奪い取る。


「クソガキが!ヒーローにでもなったつもりかァ!オラ」


 強盗の拳が鳩尾に入る。


 やっぱりそうだ…屈強な男相手に一般高校生が勝つことなんて漫画やアニメの中だけだ…


 現実は酷だ、自分で自分の行動を悔いる。


「クソがァ俺ァただちょっとばかし金が欲しいだけなのによ」


 強盗の狙いが自分に変わる。


 咄嗟にさっき奪ったナイフを構える。


「そんなんで勝てると思うなよボケがァ!!」バン


「ッッ!!」

 

 急に肩が引きちぎれるような灼熱感に襲われる。銃だ。


 俺は強烈な灼熱感でもがき苦しみながら、ある疑問が湧いた。


「コイツ明らかに手から銃を出したよな?今度は見間違えるわけもないし、コイツが天下の大マジシャンでもないかぎり」


「俺ァ正義漢ぶったクソガキの一人や二人くらい殺すのなんか朝飯前なんだよ!」


 やつの銃口が上に向く。次は殺される。やはりこんなことなんかするべきじゃなかった。死ぬ。あと数秒後には。死にたくない。死にたくない。


 絶望が全身を覆い、目を瞑るとなにかの光景が脳裏をよぎる。


 それは燃えた火の中、女性が俺に向かって何か言っている。


「あなたは生きて…」


 この女性は物心つく前に死んだ母だ。


 両親はとっくのとうに死んだ。声はかろうじて録画などから分かったが、なぜこの状況でこんな声が聞こえたかもわからない、天国からの声なのか走馬灯とやらなのか。


 あれこれ考えても死の時はやってくる。死にたくない。


「死にたく…ない」


「な、なんだこれは!?」


 聞いたこともないような強盗の情けない声で目を開く


 そこには本当に目を開いたかどうかわからないくらいの"闇"が広がっていた。


「ど、どうなっているんだ?」

 

 あまりの出来事に狼狽しながら辺りを見てみると、どうやらこの"闇"のようなものは煙みたいだった。


 辺りは視覚がおかしいのかと思うような異様な景色が広がっていた。その煙は黒◯無双を塗布したかのような暗さで、景色が欠けているようだった。


「くそっ!あのガキも……か!」


 強盗の声で我に帰り気付けば煙が晴れようとしている。


「まずい!何かしないとまたこうなるだけだ!」


 急いで辺りに使えそうな物がないか探すが、なにもなく身を隠すのが手一杯だった。


 その時


「な、なんだァ!?」


 またもや強盗の情けない声で驚き強盗の方を見る。


 強盗が細身の男に捕まっていたのだ。


「そこの君、もしかして君もグリッチャー?」


 隠れていたのに気づかれた驚きと、訳の分からない質問をされたことで固まった。ただ分かるのはこの男は強盗を倒すだけの力があり、味方なのかもしれないということだ。


「えーと、学生証学生証…」


 男が俺の投げ捨てた鞄を漁り出す。


「あ、ちょっと!」


 止めるべく立ち上がろうとするが、肩が痛くて上手く立てない。


「なんて読むんだ、かし…がいと?樫凱斗って読むんだ、変わってるね」


「なんなんだこの人…」


「君、その力のこと気付いてる?」


 男がまた訳の分からない質問をしてくる。


「力?な、なんですか急に…」


「あね。君、ついてきてくんない?」


「嫌ですよ…知らない人についてくの」


 なぜかこの人の雰囲気が警戒心を解いて絆されるような感じがして安心できない。


「そっか、俺の名前は今薬師(いまやくし) 水都(みなと)


「急でごめんけど、デバが来る前に早くついてきてくんない?」


「なんですかデバって?」


「詳しい話は後でするから、君のためにも早くついてきて」


「は、はぁ」


 

 




 

 







 



 


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