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4-09 占い結果は異世界ハーレム!?〜女神様からのお願い〜

ある日の昼休み、社内で有名な占い師である先輩女性に占いをお願いした俺は、なんともびっくりな結果を聞くことになる。

果たしてその結果とは?


そして、出会った女神様から、ある意味無茶なお願いをされることに。

果たしてその内容とは?

お願いを叶えることはできるのか?


女神様に見込まれた男の、世界を盛大に巻き込んだ物語が、今、始まる。

 気付いたら、何も見えない白い空間にいた。なんてテンプレ通りのこと、何気に実際おこるものである。


「暁君の運命の相手はいるわ。けど、不思議ね……一人じゃないみたいよ?」


 目の前に座る相手−会社の先輩である女性−の言葉に、俺−暁 悠真−は耳を疑った。


「一人じゃないって、どういうことですか?」

「そのままの意味よ。」


 先輩は、机に広げたタロットカードをめくりながら続ける。


「『運命』そして『複数』を示すカードが出てるわ。それと……これはちょっと信じがたいけど……『異世界』そう示しているように読めるわ」


再度、耳を疑う言葉が続く。


「異世界!本当ですか!?」


『異世界』と聞いて場所−会社の休憩室、しかも絶賛昼休み中−も忘れて、声を大きくする俺。目の前の先輩は、ちょっと引き気味に言葉を返してくる。


「一応そう読めるカードは出ているわ。けど、ファンタジーの世界じゃあるまいし、いくら私の占いの結果でもちょっと信じられないわね」


正直、そんな言葉はほとんど耳に入ってなかったし、周りの視線にも気付いてなかった。


『異世界!運命の相手複数!これはもう、異世界ハーレム一直線だろ!転移か!?転生か!?』


心の中で歓声を上げる。何を隠そう、俺は異世界ハーレム物の小説や漫画を読み漁っているオタクだ。それなりに友人もいるが、ほとんどオタ友。もちろん、自慢ではないが30代後半のこの歳まで彼女はいない!この歳になって、運命の相手なんて占ってもらっている時点で、それはお察しだろう。そんな状況で示された異世界ハーレムの可能性。歓喜するなという方が無理というものだ。まあ、現実的に考えればあり得ない話なのだろうが、俺にとっては朗報だ。実はこの先輩、ことごとく的中する占い師として社内では有名な人なのだ。先輩が入社以来占った人たちで、結婚した人はすでに10人近くになる。それ以外にも、遺失物の発見、難しい相手との取引の成功など、数多くの実績がある。それもあって、そんな先輩の言葉に浮かれたまま、俺は午後の仕事を終え帰路についた。


 と、実はここまでが俺が覚えている前世の記憶だ。会社を出た後のことは、というか、正確には昼休み以降のことは鮮明には覚えていない。頭の中は妄想一色で、ほとんど上の空のままだった。だから、昼休み以降の話や俺が死んだ状況については後から聞いた話になる。誰に聞いたかって?それはもちろん、テンプレ通り『超美人の女神様』から。


 昼休み後、浮かれたまま仕事に戻った俺は、同僚や上司に心配されながら上の空のまま仕事をこなし、定時で会社を出た。帰路も浮かれて上の空のまま、馴染みの書店に寄り、読み込んでいる小説と漫画の新刊と新規開拓の小説を計10冊ばかり買い、近所のスーパーで値下げの始まった惣菜を買い込んで店を後にし、そのままいつもと同じ道を、いつもとは違う気分で歩いていた。だからだろう、車通りは少ないが普段なら必ず止まる交差点を、左右も確認せず渡り始めた。その直後、普段その道を通ることはめったにない、速度超過の『スポーツカー』に撥ねられたらしい。


「スポーツカー!?そこはテンプレ通り『トラック』じゃないのかよ!」


 ティーセットを前に黙って話を聞いていた俺は思わず声を上げた。だって、異世界転生のテンプレといえば『トラック事故』だろ!?それがなんで『スポーツカー事故』なんだよ……。


「仕方ないでしょ?夜にあの道を通るトラックは基本的に配送業者だけだし、最近のトラックは速度制御装置やドラレコがついてて速度超過させるのが難しいのよ。まあ、正直に言うと、私がスポーツカー好きだからというのが一番の理由なんだけどね」


と目の前でお茶目にテヘペロしているのは、本人曰く俺をこの空間へ導いた女神様らしい。名前は『アリア』様だと。まあ、信じるしかないだろう。腰ほどまである長い銀髪、タンザナイトのような透明感のある淡い紫の瞳、人ではありえないほど整った黄金比の美貌と完璧なプロポーション(俺は巨乳が好きだから!)はとても人間ではありえない。その割に、ずいぶん人間らしいお茶目さんのようだ。


「はあ、終わったことはもういいです。今更文句を言っても、やり直せないでしょう?」


「そうなのよね。あちらの世界のあなたは、即死だったし、すでに火葬も済んでいるから、骨なのよね」


「骨って……」


アリア様の言葉にガクッと肩を落とす。


「もういいです。話を進めましょうよ。今まで聞いた限り、俺は選ばれた感じですか?」


話の軌道修正、もとい本題へ。話の流れ的に、偶発的な事故ではなく、選ばれた感じか?そうれあれば、先輩の占い結果にも関与してる感じ?

「う〜ん、『選ばれた』とはちょっと違うのよね。あなた、あの日が寿命だったのよ。で、そもそも転生先は異世界、私の管理する世界の予定だったの。本来なら、そのことを知らないまま、記憶を消去して転生してもらうんだけど、ちょっと予定を変えちゃった。死亡予定間近だったからちょっと覗いてみたら、ちょうど占いしてる時でね、少し手を加えたの」


相変わらず、見た目の割におちゃめな女神様だ。この女神様の管理する世界、本当に大丈夫なんだろうか……。


「あー、やっぱりアリア様がなんかしたんですね。先輩が『異世界なんて信じられない』って言ってましたから、本来なら出ない結果なんでしょう?」


「そうなのよ。地球人、というか他の世界の人達もそうだけど、自分たちが暮らしている以外に世界があるなんて知らないから。まあ、何故か地球人、特に日本人は異世界転生だったり異世界転移だったりの物語大好きで、本気で信じてる人もいるけどね。ホント、どこから漏れたんだか……本来なら、神界だけの機密事項なのよ」


深々とため息を吐くアリア様に、なんとなくいたたまれない、異世界信じてる勢の異世界物大好きオタクの俺。


「俺のせいではないですけど、なんかすいません」


「うん、そこはいいわ。今回は、そこを利用させてもらうことにしたから。占い結果にちょっと手を加えて、異世界の存在を示唆したの。最近、私の世界の文明の進歩がちょっと停滞気味でね、記憶を持ったまま転生して、文明を進めてもらおうと思って」


と、とんでもないことを言い出した。


「いやいやいや、待ってください!文明を進めるって、俺にそんなだいそれた事はできませんよ!?」


「えー、でもあなた、結構色々と知識持ってるでしょ?『もしも異世界に行けたら』って言って、色々と調べていたの知ってるわよ?」


まあ、間違いではない。間違いではないが、それを活かせるかどうかはまた別の話だと思う。調べたことを、すべて完璧に覚えているわけではないし。


「確かに、オタクのさがで色々と知識は仕入れましたけど、ほとんど覚えてませんよ」


「大丈夫よ。『検索』スキルを付けてあげるから。あなたが調べた知識に関しては、思い出せないだけで脳内にはあるのよ。それを呼び出せるようにしてあげる」


「アリア様は、オタクの性癖をよくご存知のようで……そこまで言われたら、了承するしかないじゃないですか」


渋々といった体ではあるが、内心大歓喜!


「ちなみに、私の世界は剣と魔法の世界よ。人以外の種族もいるわ」


「ほ・ん・と・う・に!好みをよくご存知で!」


ここまで来ると、もう呆れるしかないというか、そもそも断るつもりはほぼなかったので、了承するしかない。


「分かりました。お引き受けします。ちなみに今更ですけど、転生ですよね?新しい両親ってどんな人達ですか?」


「ありがとう。転生よ。前世のあなたの体は、すでに骨だしね。両親については、生まれてからのお楽しみね。ただ、家に関してはそこそこいい階級にしておいたわ。生まれ順もある程度自由に動けるくらいよ。魔法の才能もアリにしておくわ」


相変わらず、俺の体を骨とのたまうアリア様だが、うん、ここまで聞ければいいかな?両親の件はちょっと不安だけど、魔法の才能アリで前世知識を使えるなら、早々危ないこともないだろ。


「そこまでしていただけるなら、文句はありません。よろしくお願いします」


「じゃあ、送るわね。必ずではないけど教会に来れば話せることもあるわ」


「はい、すぐには無理ですが、忘れずに教会に行くことにします」


そう話している間に、俺の体は光り始め、意識がプツリと途切れた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 【タイトル】どういう話なんだろうか。変わった単語とよく聞く単語が組み合わされているが、どう組み合わせたのかが読み取れない。 【あらすじ】情報量が少な過ぎ、分からない事が多過ぎて本文に期待が…
[一言] 4−9 占い結果は異世界ハーレム!?〜女神様からのお願い〜 タイトル:女神様からのお願いが〜なんやら大変そうな予感。 あらすじ:現実世界から異世界へ。女神のお願いが気になる。 ひと言感…
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