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6 お姉様?

馬車に揺られ、いくつかの宿場町を後にし、


先日最後のそれから旅立った。


もうすぐ着くという言葉がライラと御者の間でやり取りで、


目を覚ます。


目を開けると優しげな微笑みを浮かべた母の表情があった。


後頭部にどことなく安心する温かみを感じた。


どうやら膝枕をされているらしい。


「ありがとう、まま。


もうおきるから。」


悪いと思い、


急いで起き上がろうとすると、おでこをツンと押されてしまった。


「だ〜め。


お屋敷に着くまでこのまま…ね?」


母の表情に俺に対する微笑ましさを感じ、


まだ疲れてんでしょう?


こう言われている気がした。


どことなく気恥ずかしさからを感じ、ゴロンと転がる。


「ふわぁ〜〜にゅむにゅむ。」


すると、やはり旅に疲れていたのか、すぐに眠気がやってきて微睡んでしまう。


そんなアイリスティアの様子にどこか脱力感のある笑顔を浮かべる二人。


「奥様〜、そろそろ交代してください。」


「まだだ〜め。」


なんてやり取りがして聞こえてきた気がしたが、


夢の中のことかもしれない。



目を覚ますと目の前に青髪の綺麗な女性がいた。


今まで会ったことのないタイプの美女だ


出るところが出て引っ込むところは引っ込んでいるというカッコいい女性の理想のような体型をしている。


顔もシュッとしていてやはり見惚れる。


切れ長な瞳はキツイ印象を受けるかもしれないが、今、それはどことなくトロンとしていて、年齢の割には可愛らしい印象を受けた。



とまあ、口で語ってしまえば、目を見開くような美女なわけなのだが、今の状況はどんな人物が相手でも悪い状況というやつなのだろう。


感情に占める割合は戸惑いが9割だ。


この知らない人は誰で、ここはどこで、今何をしているのか、なぜ俺に覆いかぶさっているのか?


それを聞こうとアイリスティアは口を開こうとした。


「あ、あの~。」


どうやら目をトロンとさせた青髪の彼女はアイリスティアの声に気が付かなかったのだろう。


いや、目が開いていたので起きたことには気がついたのだろうが、何を思ったのか彼女は目を閉じ、微かに唇を尖らせ迫ってきた。


そう、アイリスティアは今、歳上美女にキス顔で迫られている。



アイリスティアは思わず声を上げた。


「きゃ〜〜〜〜〜っ!!!」


その甲高い悲鳴はすぐさま屋敷中に響き渡り、成果はけたたましい足音となって現れた。


蹴破るようにして、勢いよく扉は開かれる。


「アイちゃん、大丈夫っ!?」


母の表情は最初こそ驚きのそれだったが、すぐさま怒りを孕んだものへと変わり、「な〜にしてやがりますか〜っ!?」と母によって飛び蹴りを放たれ、俺にのしかかっていた女性は壁側に吹っ飛んだ。


そんな様子を確認するまでもなく、アイリスティアに駆け寄り、もう絶対に離さないとばかりにギュッと抱きしめた。


するとすぐに、「まったくひどいじゃないか、アーシャ。」と呆れた声が聞こえてくる。


「まったく何をしているんです、お姉さまっ!」


アーシャの怒りの声に耳を傾けつつ、彼女を盗み見る。


やれやれと頭をかく青髪の美女。


「久々だね、アーシャ。それに初めましてアイリスティア。」


これがお姉さまことミリアリア・アトランティアとの出会いだった。


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