ふしぎなブローチ
かなちゃんは、最近元気がありません。
来週のピアノの発表会のことを考えると、憂うつになるのです。
(あ〜、いやだなぁ。風邪をひいてあんまり練習できなかったんだよね。ピアノの発表会、でたくないよ〜)
下を向いて、学校から帰っていると、めがねのおばあちゃんがやってきました。
「おやおや、元気ないわね」
「ピアノの発表会、でたくないんだ〜」
「それなら、このブローチをあげるよ。ピアノの発表会のときにつけたらいいわよ」
ハートの形のかわいいブローチをくれました。
「わぁ~かわいい! ありがとうございます」
ピアノの発表会の日がきました。
かなちゃんは、めがねのおばあちゃんにもらったブローチをワンピースの胸のところにつけました。
ブローチが、ピカッと光りました。
すると、なんだかじわじわと自信がわいてきました。
(私、この1週間ピアノの練習がんばったよね。きっとうまくいく!)
かなちゃんが、そっとブローチに触れると、ブローチは、ピカピカッと輝きはじめました。
(私、楽しんでピアノ弾いてくるね)
かなちゃんは、そうつぶやくと舞台に向かってあるきだしました。