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#5 鉱物運搬護衛任務

「ほら、早く運べ!」

「は、はい!」


 新大陸西部の、鉱窟の一角で。

 私たちの護衛の元、ここだけでしか採掘されない貴重な鉱物が運び出されていく。


 働かされているのは、世界で職がなくて応募して来た鉱夫たち。


 まあ、私たちと似たような立場かもしれないけど。


「けっ、やい魔砲少女共! 精々俺たちをちゃんと守ってくれよ?」

「ああそうだな! てめえらはそのぐらいしか世の中の役にゃ立たねえんだから!」

「がははは!」


 ああああ、まったく。


 ちょっとは自分たちより下の存在を探し出して満足したいらしく、私たちを露骨に見下してきてるわ。


「ええ! ……わたくしたちがしっかり守りますので、ご心配なく♡」

「!? ひ、ひいい!」


 利澤先輩が、壁をドンと叩いて威嚇しながらそう言ったら鉱夫たち。


 すっかり怯え切っているわ。

 あんまり思っちゃいけないだろうけど……いい気味ね。


「……よし、全て乗ったな! では上星号、発進だ!」

「はい!」


 私たちの列車魔砲上星号の、先頭魔砲戦車搭載車両・機関車と最後尾魔砲戦車搭載車両の間に採掘された鉱石の運搬車両が連結されていて。


 風向井監視官の号令と共に、発進した。


「ふう、まったく腕が鈍りそうだな! ここは一つ、魔砲獣と相手してえぜ!」

「風間、馬鹿言うんじゃないよ! ……今は足手纏いを載せてんだからさ。」

「おいおい、利澤。」


 そうして後方魔砲戦車搭載車両で待機しながら、利澤先輩と風間先輩はこっそりそう話し合っていた。


「ああ、また口が滑ったねえ……だけど。そうだね、あんたの言葉確かに同感だ。」

「へえ?」


 またも、不用意な発言をしてしまう利澤先輩だけど。


「魔砲獣が現れたら、そうさ……今度こそあたしが! あたしが、手柄を!」

「やれやれ……相変わらずだな、利澤!」


 ……やっぱり、気にしちゃってるみたいね利澤先輩。

 私たちが、先輩を差し置き続けていることを!


「こちら風向井。当列車上空、6時の方向に敵影!」

「! 来たね……総員、戦闘準備!」

「! はい!」


 と、そこで機関車にいる監視官から入電し。


 それを合図に、私たちは各車両に搭載された自車という持ち場につく。


「では行かせてもらおうか……魔砲鉄道大戦(オンライナーゲーム)、起動!」

「は、はい! 魔砲鉄道大戦(オンライナーゲーム)、起動! ログイン。オンライナー、アクセス!」


 そうして、同時に手元コンソールのアプリケーションを起動させた。


 そう、またもこれはデスゲーム。


 キシャアアア!

 ガアア!


 私たちの列車魔砲へと高空から迫る、魔砲獣たちの群れとのね!


 ◆◇


「…… クリティカルスキル、豪雷撃投射砲サンダリングカタパルト!」


 そうして、利澤先輩は。


 自分の砲塔から光線を放つ。


 たちまち、伸びた光線は迫り来る魔砲獣(マギクリーチャー)の一団を捉え。


 密集していた奴らは散開するけど、構わず利澤先輩は砲塔をぶん回し。


 光線はさながら(セイバー)のように、魔砲獣(マギクリーチャー)たちを一閃していく。


「さあどうだい後輩たち! ……そしていかがですか、監視官! あたしの腕は!」

「あ、ああ利澤君……さすがだよ。」


 利澤先輩の、やや過ぎたアピールに。

 監視官は、少し引き気味だけど。


 ええ、お見事ですよ利澤先輩……

 私たちにはあなたがすごいって、もう分かっていますから!


 あんまり、無茶はしないでくださいよ?


「すごい! 神奈ちゃん、すごい!」

「……ああん!?」


 ゲ、ひ、火南香乃音!

 利澤先輩のイライラの原因はあんただってのに、もー!


 ひとまず黙ってなさい!


「あーあー、本当にムカつくなあどいつもこいつも……さあ、まだまだだよ!」


 そのまま、利澤先輩はもはや八つ当たりとばかり。

 更に更に、砲塔をぶん回し。


 そこから伸びる光線の刃で、尚も魔砲獣を切り裂いて行く!

 その光線は、やはり描く軌道上にも雷をばら撒き。


 逃げ遅れた小型の魔砲獣(マギクリーチャー)たちが、更に更にお釈迦になっていくわ!


「ハーッハハハ! どうだいどうだい、あたしは最強だ!」


 利澤先輩はここぞとばかり、アピールされているわ。

 ……ええ、分かっています利澤先輩。


 まあ、何はともあれ。

 今回の護衛任務は、これで終わった。


 ◆◇


「あー、気持ちいい!」

「あんまり水ムダにするんじゃないわよ? この新大陸はただでさえ水が貴重なんだから!」

「はーい♪」


 その夜、私たちは風呂に入る。

 私はそうやって釘を刺すけど、火南香乃音は相変わらず分かってんだか分かってないんだか。


「あと……これ、もう二度と言わないからよく聞いて。利澤先輩のこと。」

「へ? 神奈ちゃんがどうかしたの?」

「まず、その呼び方よ! 利澤先輩は先輩、友達じゃないの! まあ温情かけてもらってるみたいだから風間先輩はいいとしても……先輩相手にとる態度、改めた方がいいわよ?」

「はーい!」


 ……もう、せっかく言ってやっても。

 この娘には、通じないのかもね。


 だけど、私たちはまだ知らなかった。

 この後に、新たな戦いが待ち受けていたってことに。


 ◆◇


「魔砲獣の……大群勢が!?」

「ああ……押し寄せている。」


 そんな一報が入ったのは、護衛任務から数日後のこと。

 魔砲獣は時折、蜂の巣分けのごとく群れを率いて移動するんだけど。


 行き着いた先で、生息していた森の種子を散布し体液を降らせて拠点となる森を作るの。


 まあ大群勢といっても、その中では小規模な群れらしいわ。

 とはいえ。


「森はともかく、魔砲獣が大量にそこで繁殖するようなことがあれば被害範囲が拡大しかねない……ここは、他国の西部街に恩を売る好機でもある! 上星学園戦車隊出撃だ!」

「はい!」


 そう、小規模でも後々大繁殖して特大の被害に繋がりかねない大きな芽。


 それは、ここで摘んでおかないとね!

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