表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の声は

作者: 雨月 秋

雨の降る独りの帰り道

「さよなら」って、

友達には、さっき、一生の別れを告げました

明日の再開を期待して、告げました

そんな風だからきっと独りが寂しいんだ、って

そんな風に気づいたときには、もう遅かった

今日の友達は、もう遠くに行ってしまっていた

((どうやら、私の声は) (水に溶けやすい) (みたいだ))


つばを飛ばしてしゃべる人がいます

それを清潔だとは思いませんが、

かと言って、

それを不潔だとは思えません

そのつばの中に、

伝えたいけど伝わらない言葉が溶け込んでいる

そう思うと、どうしても不潔だとは思えません

((どうやら、私の声は) (水に溶けやすい) (みたいだ))


温かいもので満たされたくて、

お白湯を飲んでいるとき

温かいものに包まれていたくて、

長風呂しているとき

私は、ため息を吐く

コップの中、お風呂の中

私の本当の気持ちは透明な色をしている

((どうやら、私の声は) (水に溶けやすい) (みたいだ))


とある日の、オレンジ色の公園のすみ

私はベンチに座ったまま、ブランコで揺れていた

「明日、嫌いなやつのところに雨よ、降れ」

裸足にはならずに、サンダルを飛ばした

そしたら、夕立雲が私の空っぽに立て込んだ

ばちが当たったんだ、ばちが当たったんだ

馬鹿にしてきた思い出たちに馬鹿にされる

((どうやら、私の声は) (雲になりやすい) (みたいだ))


駆けた足跡が水切りみたいになっている

だとしたらきっと、私は川の上に生きている

(みんながいるところには上がれないのかな)

雨宿りできる場所を探して、走っていた

マンホールの中 雨と雨の隙間

穴の空いた屋根の停留所 あの空の向こう側

どれも、私にお似合いなくらい、不似合いだ

((どうやら、私の声) (じゃ雨は防げない) (みたいだ))

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「どうやら・・・・・」の箇所が井戸の底から反響してくるように感じます。
2018/04/16 21:46 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ