183 十三歳 ザルツシュタットでのお買い物
「ところでさ。火薬の事は話で聞いていてわかったんだろうけど、爆発がどんな現象なのか何で知ってたの?」
「えっ、爆発?」
握手していた手を放すと、ジークハルトからしてほしくなかった質問をされる。
「火薬の事はクロードさんに聞いていたんだ。爆発に関しては風の魔法で似たような現象を起こしてくれたから知ってたんだよ」
しかし、この質問は想定の範囲内。
いつかは誰かに聞かれるだろうと思って、あらかじめ答えを用意しておいた。
魔法で知ったと言っておけば、もっともそれらしく思えるはず。
この答えにジークハルトも納得してくれたようだ。
「なるほど」とうなずいている。
「一を聞いて十を知るって奴だね。本物の火薬の爆発を見ないで理解するなんてさ。……これからはアイザックくんじゃなく、アイザックと呼んでいいかな? 僕の事もジークハルトでいい」
「わかりました。ジークハルト」
「わかった、でいいよ」
「わかった。これからよろしく、ジークハルト」
「いい友人関係を築いていこう。アイザック」
ジークハルトがニッと笑みを浮かべる。
アイザックも同じように笑顔になった。
「これで僕達は友達になった。何か思いついたら真っ先に僕に教えてね」
「もしかして、それが目的だったんじゃあ……」
「そんな事はないよ。友達になりたかっただけさ。さぁ、みんなを待たせるのは悪いから行こう」
ジークハルトが誤魔化すようにアイザックの背中を押して部屋を出ようとする。
こうやって権利を主張するところは、商人を目指しているだけあってしっかりしている。
(アイデアを搾り取られてリターンはなし。って事にならないよう気を付けよう)
未完成の蒸気機関のアイデアで得られたのは、火薬を売ってくれるという約束。
まだ価値が未知数なので仕方ないとはいえ、どうせなら火薬の製法との交換くらいにはしておきたかった。
今回は「売ってくれ」と頼む弱い立場だったから仕方ないが、今後はぼったくられないように気を付けるべきだろうと、アイザックは気を引き締める。
とはいえ、厳密に言えば収穫は火薬を売ってくれるという約束だけではない。
ちゃんと物以外に得るものはあった。
――ドワーフ達はリード王国ではなく、アイザック個人に興味を持っているという情報。
この情報はありがたい。
少なくとも、ドワーフがリード王国側に肩入れして敵対するような事はないとわかった。
背後から襲い掛かってこられないというだけでも十分助かる。
安全というものは目に見えないのでわかりづらいが、これは金銭などよりもずっと価値があるものだ。
――ドワーフに敵対する意思があるのかどうか。
この事を知っているかどうかでアイザックの取れる行動も変わる。
完全に警戒を解く事はできないが、ドワーフへの対策を後回しにできるのは利益といえた。
「まぁ、いいけど。本当に仲良くしてよ」
「大丈夫だって。アイザックの方こそ他のドワーフを優先したりしないでね」
「しない、しない」
ジークハルトは有力者であるルドルフの孫だ。
多少は譲歩をしてでも付き合いを続ける価値がある。
他のドワーフと一から関係を構築するよりも、ジークハルトとの関係を継続していった方がアイザックとしても楽だ。
せっかく友好的な関係を築けたのに、それを捨て去るような真似をするはずがない。
(少なくとも、無事に目的を達成するまではな)
ジークハルトが打算でアイザックに近付いてきているとしても、それはアイザックも同じ事。
「ドワーフと付き合いがある」という名声と火薬が欲しくて近付いている。
――お互いに打算から友好的な関係を築こうと考えていた。
そこから本当の友情に繋がるかは、これからの関係次第だ。
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食後は、みんなでルドルフ商会のザルツシュタット支店に向かった。
初日はルドルフ達と話をする予定だったのだが、酔い潰れてしまっているので予定が狂ってしまったからだ。
そのため、予定を入れ替えてお土産選びをする事になった。
「おぉ……」
アイザックは感嘆の声を漏らす。
前世のスーパーマーケットのような広い店舗に、ところ狭しと多くの品物が並んでいる。
今思えば、こうして店に買い物をしに来たのは久し振りだ。
王都のカーマイン商会でリサへのプレゼントを買って以来だろう。
欲しい物があれば屋敷にまで商品を持ってきてくれるので、店に足を運ぶ事がなかったのだ。
久々のお店にテンションが上がる。
店の中は半分が鉄製品。
だが、剣や鎧などは少なめで、つるはしなどの作業道具やハンマーなどの工具の類がメインだ。
残りの半分が洋服などの衣類や装飾品といったところだった。
この街を訪れている人間の商人らしき姿もチラホラ見える。
「人間向けの品揃えをしているから武器は少ないけど、家族へのお土産には十分だと思うよ。それに、この店でなら買い物してくれてもお金を払わなくていい。僕の顔パスでいけるからね」
「いや、代金は僕のアイデア料から引いといてよ。お金関係は揉め事のもとだからね」
ジークハルトの申し出をアイザックは断った。
もっと親しくなれば別だが、まだ関係は始まったばかり。
金銭面でのトラブルで関係が壊れるなどつまらない事をしたくはなかった。
「わかった。なら、アイザックの払いっていう事で帳簿につけてもらっておくよ」
ジークハルトもアイザックの考えを感じ取ったのか、アイザックの気持ちを断らなかった。
アイザックが「ジークハルトの提案を受け入れたくない」ではなく、慎重な姿勢を取っているとわかっているからだ。
悪意による拒否でないなら断る理由などない。
二人の関係を大切にしたいというのなら、彼もそれに乗るだけだ。
アイザックはノーマン達秘書官や護衛の方に向き直る。
「っていう事で、ここまで付いてきてくれた付き添いのみんなにご褒美だ。みんなも家族や恋人のお土産を買っていいよ。支払いは僕が持つ。ただし、留守番をしている者達から嫉妬されたりしないよう、剣とか鎧とか目立つ物はなし。その点だけ気を付けてくれれば、自由に買い物してくれ」
「よろしいのですか?」
「いいよ、せっかくザルツシュタットに来たんだ。お土産くらい買って帰りたいだろうしね」
他の者を代表してノーマンが確認をする。
アイザックが「いいよ」と言うと、どよめきが起こる。
ドワーフ製品は高いので思わぬボーナスだ。
「嫉妬されない程度の物」という制約はあるが、どうしても欲しい物は自腹で買えばいい。
だが、アイザック達を放置するわけにもいかない。
半分に分かれて付き添いと買い物を交代する話をし始めた。
「とりあえず、僕達は剣のところに行こうか」
アイザックが友人達の方を見ると、みんなが「うんうん」と首を縦に振っている。
護衛達には「剣はダメ」と言った手前悪い気もするが、そこは立場の違いだと諦めてもらう。
ジークハルトの案内で、アイザック達は武具コーナーに向かう。
「マジかよ」
「見てるだけでもヤバイ」
友人達が剣を手に取って見ている。
アイザックにしてみれば「よく切れそうな剣だな」と思えても、彼らには芸術品のように見えているのかもしれない。
護衛の騎士など、壁に立て置かれている槍に視線が釘付けだ。
「それで護衛の意味があるのか?」とチクリと嫌味を言ってしまいそうになる。
(いや、違う。ここはそうじゃない。器の大きさを見せつつ、今後の利益になりそうな事をしないと)
「ジークハルト。僕達は剣を買うけど、槍も数本買っていっていいかな? 良い働きをした人への褒美として用意しておきたいんだ」
「もちろんだよ。百本単位とかじゃなければ、買っていってくれていいよ」
「ありがとう」
槍も買っていいとなれば、遠慮する事はない。
買わせてもらうだけだ。
ただ、その前にちょっとだけご褒美タイムを与える。
「僕はまだ槍の扱いに慣れてないから、みんなで良い品物を十本ほど選んでくれないかな? 一本は王家に献上するから、一番良いやつで」
アイザックは護衛に任務を与えた。
自分の物になるわけではないが、実際にドワーフ製の槍を手に持つ事ができる。
しかも王家への献上品を選ぶ手助けをするという名誉。
彼らは感動に打ち震えた。
「全力で取り組ませていただきます!」
「頼むよ」
――もしかしたら、どこかで功績を立てて自分の物になるかもしれない。
そう考えているのか、必死に品定めを始める。
こういうご褒美も時には有効だな、とアイザックは思った。
「さて、僕達も剣を選ぼうか」
「うん」
アイザックも剣を見始める。
ここで気になるのは自分の身長だった。
自分の体に合わせた長さや重さの物を選んだ方がいいだろうが、今はまだ成長期。
もう少し大きくなった時の事を考えて選ぶ方がよさそうだった。
(身長がグングン伸びるもんなぁ。親父みたいに180cm超えになるとしたら……)
ここでアイザックは気付いた。
友人達も背が伸びるのが早い。
十五歳になる頃には、みんな170cmを超えているだろう。
もっと伸びる子もいるかもしれない。
――自分を含めて、子供の成長が早すぎる。
その事が不思議だったが、アイザックはその答えにたどり着いた気がした。
(そうか、この世界は元がゲームの世界。だからだ)
恋愛ゲームなどでは、キャラクター設定に身長などが表記されている。
その数字は特別な成長イベントがない限り変動しない。
キャラクターの立ち絵が同じだからだ。
つまり、王立学院を舞台にした『この世界の果てまでを君に』では、十六歳から十八歳の間に成長しないという事。
入学前に全員が成長しきっている事になる。
十五歳くらいで、設定に合わせた身長や体重に育っているのかもしれない。
――だから、子供の成長が早い。
そう思うと、アイザックも合点がいった。
(リサも入学前と卒業後で胸の大きさが変わってなかったもんな)
アイザックは身近にいて、よく見ている人物の事を思い出す。
十五、六歳で体が成長しきる世界なら、それまでは成長が早いという理由に納得できる。
自分の体で成長の早さを感じているだけに、この考えは正しいように感じられた。
(まぁ、だからって何がどうとかいうわけじゃないけどさ)
なんとなくこの世界の人間の成長について気付いたが、それが何かに関係するわけではない。
強いて言うなら「体の成長が早いから結婚、出産も早いんだろうな」という事くらいだろうか。
「見た目よりも、実用本位の頑丈で切れ味のいい剣ってありますか?」
気を取り直して、アイザックは近くの店員に尋ねる。
店員というよりも、用心棒のようにすら見えるゴツイドワーフだ。
というよりも、髭を生やして筋肉ムキムキのドワーフ全員がゴツく見える。
前世だったら店員だったとしても怖くて声を掛けられず、距離を置いていたと確信できる容姿だった。
「だったら、こちらですね。特殊加工によって血糊のふき取りも簡単でお勧めの品となっております」
見た目に反し、物腰柔らかな対応だった。
アイザックは見た目とのギャップに戸惑いながらも、剣を手に取る。
「うん、なんだかしっくりくる」
「アイザックは貴族なんだよね? 剣の装飾とかした方がよくない?」
地味な剣を選んだアイザックに、ジークハルトが心配そうな顔をして声を掛けてきた。
「これでいいよ。あんまり派手な剣を持ってたら、敵に『大将首だ』って教えているようなもんだしね」
「そうなんだ」
アイザックの考えにジークハルトが理解を示す。
だが、この考えに理解を示せない者もいる。
その代表として、ポールがアイザックの裾をクイクイと引っ張る。
「えっ、なに?」
「アイザック、その考えはまずいよ。大将があそこにいるってわかるのは、味方の士気を上げるためにも必要なんだ。大将に自分の働きを見てもらってるってだけでやる気が出るからね。あんまり地味な恰好をされると、士気が盛り下がっちゃうよ」
「なるほど、そういう考え方もあるのか」
「こういう考え方しかないからね!?」
アイザックの常識のなさにポールは呆れる。
このやり取り一つで「ダメだ、こいつは。俺達が常識をサポートしないと」と、友人一同に思わせた。
「剣はともかく、鎧とかを立派な物にすればいいじゃないか。その方が目立つからいいよね」
「まぁ、そうしてくれるなら……」
「この流れで、ついでにアイザックの鎧も買っていこう」とまではならない。
成長期の子供なので、鎧もサイズの調整を細かくする必要がある。
まだ戦場に出る年齢でもないという事もあり、成長が止まってから買えばいいと思われたからだ。
「頼むよ、俺達の大将」
「大丈夫、大丈夫。安心してよ」
その「大丈夫」と言っている張本人が信用ならない人物である。
友人達は不安そうな顔をしながらも、買い物を続けた。
剣を買ったあとは、家族へのお土産だ。
こちらは小物コーナーを中心にワイワイとはしゃぎながら買い物を行っていた。
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買い物が終わってホテルに戻る頃には日が暮れ始めていた。
さすがにこの頃になると、酔いから覚めた大人達が集まっていた。
いや、実際には覚めてはいない。
グレン達人間は二日酔いで死にそうな表情をしていた。
野ざらしで眠っていたのもいけないのかもしれない。
アイザック達の姿を見て、グレンが今にも吐きそうな顔をして近寄ってくる。
「アイザック様、申し訳……」
全て言い切る前にグレンは口元を押さえた。
本当に吐きそうなのかもしれない。
アイザックは一歩だけ後ずさって距離を取る。
「責めるつもりはないよ。グレンの役割はドワーフと上手くやる事。その点、一緒に酒盛りをするなどよくやってくれていたと思う。……今日は水をたくさん飲んでゆっくり休むといいよ」
「ありがとうございます。……明日の朝、使者を出す。申し訳ないと伝えてほしいと……、言付けを承りました」
「わかった」
グレンは「申し訳ありません」と言ってテーブルに戻っていった。
そこで水を飲み、少しでも楽になろうとしている。
アイザックが先ほど言った言葉に偽りはない。
それプラス「ゲロを吐きかけられたくない」という思いがあったので、ちょっと追い払っただけだ。
「ルドルフさん達は他のホテルに泊まっているの?」
アイザックは、この場にいないドワーフ側の代表団の事をジークハルトに尋ねる。
彼はうなずいた。
「ザルツシュタットの代表者、ヴィルヘルムさんのところに泊まっているよ」
「そうなんだ。じゃあ、挨拶は明日だね」
「うん、本当は僕もこっちに泊まってお話ししたいところだけど……。お爺ちゃん達と話す必要のある事もあるから帰るよ」
ジークハルトは胸元を押さえた。
蒸気機関の設計図を入れたところだろう。
「そうか、残念だけど仕方ないね。ジークハルトのおかげで今日は楽しかった。ありがとう」
アイザック達はホテルの玄関口までジークハルトを見送る。
そこには出迎えの馬車が待っていた。
ジークハルトが乗り込んだ馬車が見えなくなるまで、アイザックは手を振って見送っていた。
馬車が曲がって見えなくなると、アイザックはみんなの方に振り向く。
「夕食まで時間があるだろうから、各自休憩しよう。ノーマンはちょっと来て」
「はい」
一度解散し、各自自分に割り当てられた部屋に戻る。
だが、ノーマンだけは別。
彼には重要な話があった。
アイザックの部屋に入ると、椅子に向かって座り合う。
直感ではあるが、ノーマンは何か嫌な予感がしていた。
「ノーマン、僕がジークハルトと話す時に同席させなかった理由がわかる?」
「いえ、わかりません」
「そう……」
アイザックは残念そうな顔をする。
ノーマンにはどちらの理由もわからなかった。
続けてアイザックは質問する。
「じゃあ、普段僕が考えている事がわかる?」
「わかりません」
「そう……」
こちらの質問もサッパリわからない。
先代ウェルロッド候のジュードが生きていれば、アイザックの事を理解できたのかもしれない。
だが「リード王国で生きる者の中でアイザックの考えを理解できるものなどいないだろう」というのがノーマンの思いだった。
「ノーマンはさ、僕に忠誠を誓うって言ってくれたよね?」
「はい」
この質問でノーマンは「自分の忠誠が疑われているのか?」と思った。
しかし、アイザックへの忠誠に偽りはない。
疑われても、痛くも痒くもなかった。
「じゃあさ、なんでお爺様にウォリック侯爵家で話した事を報告したの?」
「それがアイザック様のためになると思ったからです。誤った行動を取った時は、それを早い段階で正す方がいいと思いましたので」
アマンダとの雑談でアイザックが「婿養子になってもいい」と言った事を、ノーマンはモーガンに報告していた。
その事を責められているのだと気付き、アイザックのためだったと説明した。
「そう……」
しかし、アイザックの返事はノーマンの思いを理解していないようなものだった。
ノーマンは不安になっていく。
「さっき、僕の考えている事がわからないって言ってたよね? だったら、なんで僕に相談しないの?」
「えっ」
「確かに給与はウェルロッド侯爵家から出ているから、お爺様に対する報告義務もあるかもしれない。でも、僕に忠誠を誓うっていうのなら、最初に報告、相談する相手は僕じゃないとダメだよね? 」
「それは……、その通りです」
ようやく、ノーマンはアイザックが何を言おうとしているのか理解した。
もしかしたらウォリック侯爵家で話した内容も、常人には理解できない深い計画があったのかもしれない。
――それを自分がモーガンに報告した事で潰してしまった。
そう思うと、アイザックのために取った行動が間違いだったような気がしてしまう。
「ジークハルトと二人で話していた内容も、ノーマンが聞けばお爺様に報告したくなるきわどい内容だった。けど、話し終わったら『ジークハルト』と、さん付けで呼ばなくなっていたよね? 僕には僕の考えがあって行動している。きわどいと思っても、お爺様やお父様に報告する前に、まずは僕に聞いてほしい」
実際はきわどい内容どころではなかったし、ウォリック侯爵家で話した内容もその場のテンションで話していただけだ。
だが、今回がいい機会だと思い、ノーマンに「自分に忠誠を誓う」という事について話しておこうと思っていた。
「いいかい、ノーマンを責めているわけじゃない。僕に仕えるという事は、ウェルロッド侯爵家に仕えるという事でもある。だから、ウェルロッド侯爵家のために良かれと思って行動していたという事はわかっている。でも、これからは僕のために動いてほしいんだ。できるかな?」
「はい、できます。報告や相談の優先順位をアイザック様を一番にするだけですから」
言葉にすれば、それだけの事だ。
当主であるモーガンよりもアイザックを優先する事に抵抗はあるが、できない事ではない。
その返事を聞いて、アイザックは笑みを浮かべる。
「わかってくれたならいいんだ。忠誠を誓うという事に関して意識の違いがあっただけだからね」
これはアイザックの手落ちでもある。
この世界の常識で考えれば、ノーマンの考え方が一般的だ。
一般常識に欠けていたアイザックにも責任がある。
ノーマンだけに責任をなすりつけ、叱責するつもりはなかった。
「じゃあ、夕食までは休んでよ。これから先、色々と話し合っていこう」
「はい……。失礼致します」
ノーマンを退出させると、アイザックは天を仰ぐ。
(これで部下に関しても一歩前進だな)
そろそろ他国の大使に花以外の贈り物をし始めたいところだった。
だが、こっそり贈り物をするにしても、ノーマンがネックとなっていた。
家族に「こそこそ何かやっている」とバラされたら大変な事になる。
ネックとなっていたノーマンが信用できる駒になったおかげで、これからはやれる事も増える。
ザルツシュタットに来たおかげで、火薬以外にもアイザックの目標までの距離を縮められる事ができた。






