生き続く者
「問題は『代償蘇生』だ。」
「代償蘇生?」
黄泉がどこか聞いたことがあるようなないようなという様子で口に出した。
「ああ、代償蘇生と呼んでいる。この能力は死んだとしてもその場で復活できる。」
「でもその名前から考えると良いことだけではないんだろうな。」
黄泉が理解していてよかった、説明が楽になる。
「そうだ。その代償は…」
「その代償は…?」
「その代償は……一旦CM入りまーす!」
僕は渾身のボケをかました。頼む笑ってくれ!この真剣なテンションについて行けない!しかし!黄泉は芸人のようにコケる事なく冷静にかつ冷酷に淡々と口に出した!
「そういうのいいから。」
「あ、うんごめん」
僕が敢えてボケたのに笑わないで素でかえして来るのは中々ダメージが高い!
セイトは力尽きた!
「すまん、続ける。代償は僕についての記憶をすべての生命体が忘れるんだ。」
「そうか…そのような代償を知りながらお前は自らを蘇生したのか?」
やはりこの意見が出るか…。
「残念ながら自分の意思を無視して勝手に代償を払われて復活するんだ。」
「そんな!…それは『能力』と言えるのか?それは『呪い』の一種ではないのか?」
そう考えるのは普通だ。自分が自ら使おうとすると発動されるのが僕達、悪魔の『能力』の一般的な定義だからだ。
「呪いではないと思う。いや、思いたい。僕が『呪い』を持っているなんて思いたくないしただの1市民なりに普通に暮らしたかったんだ、面倒ごとは嫌いだからな。」
一時セイトと黄泉の間に無言の気まずい空気が漂う。
すると黄泉がなあ、と聞いてきた
「一ついいか、セイト…お前はこれまで何回その呪いが発動したんだ?」
僕は淡々といい放つ。
「59回だ。」
黄泉は目をふせ、呟いた。
「そんなことがあったとはな…」
そして、思い出したかのように言った。
「では、私がお前について一期志願兵であったことまで調査出来なかったのはその呪いの影響か!?」
「…そうだ。」
「ならばお前……その時に一回死んだのか!?」
「ああ…そうだ。」
「お前は…お前自体は大丈夫なのか?肉体が全快していても精神までは全快しないのではないのか?」
「そうだな…でも、もう慣れてしまったんだよ。まあ、50回も死ねば慣れるよな」
自分でも何を言っているのか分からなくなり、笑ってしまった。
「あのーこんな時に聞くことじゃないんだが…本当の年齢はいくつなんだ?」
「そうだな、今聞く事じゃないな。ではこうしようか、続きは今から前の通路から来る人間達の相手をしてからだ。若造よ。」
僕の言葉で空気が和らいだのか先程までの思い詰めた顔がいつもの顔の黄泉になり、ふっと笑い僕に声を掛けた。
「何歳か知らないが調子に乗るなよ!私が上官なのだからな!」
タイミングを図ったかのように通路から人間達が走ってきた。そこそこの数がいる。30体位か、しかしまあ、なかなか物騒な装備をしてきてまあ、銃をみんな持っちゃてねぇ。真ん中にいる奴なんて新兵器か知らんがガン〇ムみたいなのを着てるし。多分名前はモビルなんちゃらだろうな。
「我が名はフェルンセ部隊隊長!エインス…」
「「うっさい!黙れ!」」