代償とは
いやぁぶつかりましたなー
「で、終わると思いますかっ!何でだね?何でこうなった?おい!」
ここは海上施設のメンテナンス用の空間?的なところに『戦艦スルト』もろともぶち当たっということだ。しかしまあ、目的地に着いた訳だからいいか。
良くないけど。
「これからどうするかね?」
黄泉がこれからの事について話を切り出した。今現在この空間に存在しているのは僕、セイトと黄泉しかいない。他の奴らはどっかに行った。ノイズとティアなら心配ないのだが、一般兵士達はどうだろうと黄泉に聞いてみたのだが、というより、僕と黄泉がはぐれたようだ。ホントにどうするかなー。
「なあ、」
これから僕達どうなんのかなぁ。黄泉うるさいなぁ誰か相手してやれよぉ。
「返事をせんかぁ!返事を!」
「いやいや、わかんないから!ティアとかノイズとかいるじゃん!」
僕が反論すると黄泉が呆れたような口振りで話掛けて
「セイトぉ!」
フルスイングで魔力を込めてぶん殴って来た。
「はいぃぃぃぃぃ!?なぜ殴った?さらに魔力込めてんじゃねぇよ!死ぬよ!ひ弱なセイト君死んじゃうよ!?」
「何言っているんだ?魔力も込めたが慈愛の精神も込めたぞ?」
「いやいや!慈愛のじの文字も感じられないよ!」
「それはもういいから。」
「あ、うん、ごめん。てか急にまじめになるのは止めてくれる!?」
本当にこれでボケるのを止めたらしく黄泉はわざとらしく咳払いをした。
「と、ともかくこれでいつも通りのセイトだな!お前が落ち込むとツッコミ役が消えるし、あと色々…‥こ、困るんだよ。も、もういいからどうするか考えるぞ!」
黄泉が顔を赤くし呟いたのだが何言っているのか分からなかった。
「うん?なんつった?」
「う、うるさい!もういいからホントにいいから!」
黄泉が先に進んで行ってしまった。何があったんだ?あいつ。
少し進んだが、ここは海上施設のどこら辺なのか。なんか大広間に出た。
「なあ、黄泉!ここら辺で一回休まないか?」
僕がそう話掛けると黄泉は驚いた様子で返事をした。
「あ、ああそ、そうだな!休憩するか!」
「どうしたんだ?いつもの余裕はどこに置いていったんだ?」
「よ、余裕だし!いつも通りだし!」
「そ、そうか!?」
なんか黄泉の落ち着きがなくなって語尾バグっているのだが…気のせいか?というか気のせいであって欲しいんだがな~こんな状況下でまとめ役がパニックを起こしてると困るからな~。
おっと、語尾がノイズみたいになってしまったようだ。
「セイト、なぜお前は自ら一期志願兵になったんだ?」
「え、それは前に言った通り…」
「違う。私が聞いているのは本当のお前の気持ちだ。」
黄泉は気づいていたのか。確かにあの時に言った事はその場しのぎだったけど嘘は少し得意だと思ってたのだが。
「ああ、そうだ。僕は嘘をついていた。まさかばれるとは思っていなかったが。」
黄泉は得意気にしかし悲しげに言った。
「確かにお前はしょうもない嘘は得意だが今回はどうしようもない顔をしていたぞ。」
う、そんな顔していたのか…。あいつらに気づかれては…
「もちろん気づかれているぞ!」
こ、こいつ!楽しんでやがる!そもそもあいつら(ティアとノイズ)って気を使う事が出来たなんて!
「考えている所すまないが本題に移っていいか?」
「お、おう。すまん僕がなぜ入ったかだったな。 僕には親がいた、そしてそこそこ楽しく暮らしていた。まあ、金はそんなに無かったから人間側の領域に近い村に住んでいたんだ。しかし、そんなある日人間軍が戦前布告する前に攻めてきて、半日もしないうちに僕の村は滅びて僕もついでに死んだ。」
黄泉は信じられないという様子で聞いてきた。
「何を言っているんだ!今、現在ここにセイト、お前がいるではないか!」
そう感じるのは仕方ない。そう考えるのが普通だから。
「えーと僕は『アガリアレプト』って言ったよな?」
「ああ、調べた。」
そういえば調べてたな。こいつ
「アガリアレプトの能力は?」
「え、それは…あれか!」
「あれってなんだよ!能力を2、3個持ってるんだよ。」
黄泉はへ?といった様子で聞き流している。こいつ…ポンコツだ!
「お前分かってないよな!?」
「わ、分かってたぞ!」
「いいよ。分かってなくて。まあ、僕の能力は4個ある。」
「へー普通よりは多いのか。」
「ただ多いだけじゃないんだ。ちょっといい効果を引いたみたいなやつで、一つ目は『記憶操作』これは使いづらい。2つ目は物体の概念を弾き飛ばすってやつで長いから『物体反発』と名付ける、皆様ご存知も通り対人だけは強い。問題は3つ目で、『代償蘇生』だ。」