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Raw World  作者: 怠惰
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新たな任務

「は?任務?」

そうだ、と言いながら亮太の新たなステータスを見る。

「嫌とは言わせんぞ」

「いやまあ、こっちとしては好都合なんだが」

亮太は竜人調査のための資金集めをしようとしていたことを話した。

「なるほどな。竜人についてはこのパスを使えば自由に調査可能だ。今回の任務はミルハ君を指名してきている。報酬は申し分ないはずだ」

亮太はパスと依頼書を受け取る。確かに報酬は申し分ない額だ。

「場所は?」

「俺が受注されたことを連絡しておくから今日は休みたまえ。おそらくハードな任務となるだろうからな」

支部長は少し引っかかる言い方をしたが特に触れず亮太一行はその場を去る。


次の日、ミルハ一行が向かったのはマハルタの北西部にある高級な屋敷が建ち並ぶセレブエリアの最奥の屋敷だ。屋敷の正面に巨大な男の像があり、屋敷の中は色鮮やかな宝石の装飾が飾れている。等間隔に飾られている宝石はこの世と思えないほど綺麗だ。セレブの豪華な装飾の輝きに慣れていない亮太には眩しすぎるほどでフードごしでも目を細めている。

そんな屋敷の応接間で亮太一行は待機していた。室内は綺麗に整頓されていて壁には様々な絵画が飾られていた。豪邸というものに慣れていない亮太は若干落ち着かなそうに周囲を見回してソワソワしている。数分して、ギギギィと重々しい音と共に扉が開け今回の依頼人が入ってくる。亮太は、依頼人のお姫様のような美しさの中に少女のような可愛らしさを含んだ微笑みに胸が波立つの感じた。

「貴方様が顔無しのミルハ様ですね。今回は私の依頼をお受けいただきありがとうございます」

「は、はぁ…。失礼ですがあの、顔無しというのは?」

「あら、申し訳ございません。以前滞在していた国でミルハ様の事をそう申しておりましたので。何でも、功績だけ残しその他が謎に包まれていることを、フードで顔を隠しているのにかけているのだとか」

亮太は納得するのと同時に自分の認知度を改めて知った。話を聞くかぎりマハルタから南側は異世界ネットワークの影響で認知度は高いが、北側は情報が回っておらず新参者のミルハとしての評価がまわっているようだ。それでも顔無しは、ジブリを知っている亮太にとっては苦笑いものだ。亮太の事をどれだけ知っているか不明だが依頼人の少女の目の輝きから見るに好印象なのは確かだ。段は軽い自己紹介から入る。

「依頼内容の前に軽く自己紹介を。私は一ノ谷段。そして彼女はアリスです」

アリスは出されたお茶をのんびり味わっている。

「まあ!貴方様があの最強の情報屋ですか。お会いできて光栄です!アリス様は申し訳ありませんわ、存じていなくて」

「気にしないで。様、いらない。アリスでいいわ」

アリスは依頼人の少女をジィーと見つめる。みつめられて緊張する少女は、目を逸らしてはいけないような気がしてアリスのサファイアのような輝きの瞳から目を離さない。アリスは緊張で子猫のような可愛い顔をしている少女にむかって両手を広げたかと思うといきなりハグをする。どうやらアリスは少女が気に入ったようだ。少し驚きながらも気に入られたことがわかり、ふふっと微笑みながらアリスの髪を撫でる。もう本物の姉妹のような仲の良さである。仕事モードに入っている亮太はそんな空気を読もうとせず本題に移る。

「自己紹介も終わったところで依頼内容の方を」

「まあ、私ったら申し訳ありません」

少女は恥ずかしいそうに謝るとアリスの髪を撫でながら、改めて依頼内容を話した。少女の名はティラミ-プリンヒメ。マハルタ出身で普通の家庭で産まれた少女だったという。彼女はある日能力に目覚め、その力を使って各国を回ってその力を披露しているのだという。

「私の能力は言葉の意味を具現化することができます。この能力を利用して各国を回り歌を披露しています」

「言葉の意味を具現化というと、木よ燃えよと歌えば木が焼けるのですか」

「はい、その通りです」

かなり危険な能力だと亮太は瞬時に理解した。なぜなら、名前を指名して死ねと言うだけでその人間は息の根を止められるのだから。この能力者と対峙する場合亮太といえど、いつも心臓を握られているのと同義なのだ。それ故、亮太はホッとしている。この能力者が良き心の持ち主で。

「大体の事情は予測できました。前回の公演でティラミさんの能力を狙って襲撃してきた賊が現れた。今回の公演もその可能性があると思い、護衛の依頼をしたと」

「は、はい!その通りです!」

「それで、出発はいつにしますか」

「え?あ、ああ。明日にでも…」

「了解した。アリスと段は護衛のためにこの屋敷に残留しヒメさんの護衛」

ティラミは依頼人なのに置いていかれてるような亮太の素早い対応と指示に目を回す。

「ミルハは」

「俺か?俺はちょっと準備があるからな」

そう言うと亮太は応接間を後にした。


残された3人はティラミの部屋に来ていた。部屋に結界を貼り外からの情報の漏洩を防いでいるのだ。ティラミが初めに口を開く。

「計画は順調ですか?」

段とアリスは無言で頷く。

「それは良かった」

「まだ、能力を解放していない。今回で解放しないとまずい」

「それは問題ないと思う。神が動き出したから奴らを利用すればいい」

「ですね。それでは明日から頑張りましょう。私たちの目的のために」

3人は頷くと結界を解除しそれぞれの部屋に戻っていった。


その頃、ミルハはギルドの宿に来ていた。一人部屋のベットに思いっきりダイブする。

「やっっっと1人で寝れる〜〜」

そう言うとそのまま寝てしまった。ずっとアリスのせいで思うように寝られなかったので今の亮太にとって至福の一時を過ごしたのだった。

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