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彼方へ  作者: 原 恵
28/28

最終

ー瞬く星ー


11月22日。

今日は陽の4歳の誕生日。

そして、玲の誕生日だ。


陽とバースデイケーキを食べた後、2人でベランダに出た。


「寒くないか?」

「全然寒くないよ。」

「ほら、陽、見える?」

「なにが?」

「今日はきれいな満月だ。」

「お月さま、まんまるだね。」

「お月さまの横に星があるだろう?」

「うん。」

「あれがママだよ。」

「でもあれ、お星さまだよ。」

「そう。ママの星だ。」

「なんで、ママがお星さまなの?」

「ママはここにはいなくなったけど、あそこにいるんだ。」

「でもあれはママじゃない。ママに会いたいよ。」

「会えるよ、こうして夜空を見上げたら、いつでも会えるんだ。」

「ママに会えるの?」

「見てごらん。ママの星が一番きれいに輝いているだろ。」

「うん。」

「陽のことをちゃんと見てるんだよ。」

「今も?」

「そう、今も。」

「ママ、いるんだね、あそこに。」

「そうだよ。ママは一生懸命生きて、今も陽とパパのために頑張って輝いているんだ。」

「ママ、頑張ってるの?」

「そうだよ。ママはすごく頑張り屋さんだからね。」

「パパは?」

「パパは、ママほど強くないかな。だから陽がいないと寂しくて泣いてしまうんだ。」

「パパ、寂しくないよ。泣かないで。僕がいるから。僕ももう泣かないから。」

「ありがとう、陽。強い男の子になってくれてうれしいよ。ママもきっと喜んでるよ。」

「ママがね、言ってたよ。ありがとうって素敵な言葉だよ、って。大きくなっても忘れないで、って。」

「ママ、そんなこと言ってたんだ。」

「あとね、パパみたいに優しい人になってね、って。」

「玲が。」

「だから僕、ありがとうって言える優しい人になるんだ。」

「偉いぞ、陽。」

「ママ、ほめてくれるかなぁ?」

「いっぱいほめてくれるさ。陽がありがとうって言う度に、あの星がもっとキラキラ輝いていくよ。」

「お月さまみたいに大きくなる?」

「そうだよ。お月さまが2つになるかもな。」

「だったら、ママ、僕のこともっとよく見えるよね。」

「今だって、ママは陽のことをちゃんと見てるさ。」



どれだけ手を伸ばしても、煌めく玲の星には届かない。

だけど、玲はそこにいるんだよね。


陽には偉そうなこと言ってるけど、本当は俺だって寂しいんだよ。

玲に会いたくて仕方ないんだ。


今、笑った?

玲の星が瞬いたよ。

弱い俺を見て、情けない姿見て、ちょっとバカにしただろ。

いいさ。笑っててくれ。

玲にはいつまでも笑っていて欲しいから。


陽の事は心配しなくていいよ。

陽を絶対に悲しませないから。

玲の分まで愛していくから。


歌い続けるよ。

俺の歌を聴いてくれる人がいる限り。

俺を歌を必要としてくれる人がいる限り。

心の中の玲が応援してくれる限り。

玲が大好きだと言ってくれたこの声で、これからもずっと歌い続けるよ。


だから、見守っていて。



そして、いつか玲の星のそばに行くよ。

何億光年先だって、きっと追いついてみせるさ。


今度は、もう絶対に離れないから。

一緒に、あの夜空で輝いていよう。


その時まで、待っていてくれるよね。


君を離さない。


約束するよ、玲。


愛してるよ、玲。


これからも、いつまでも。



玲の星が、うなずくように、優しく瞬いた。






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