57 食後
リサの言った通り、このレストランのハンバーグは最高に美味しかった。ああ、あの時ものすごく悩んだけれど結局ハンバーグにして大正解だったな、と僕はとても満足だった。そしてポテトフライもめちゃくちゃ美味しくて、リサと僕は半分ずつということでポテトフライを追加注文してしまったほどだ。まあ、半分ずつと言いつつもほとんどリサに取られてしまったけれども……。ものすごくよく食べる僕達におばさんはとても満足そうだった。
「こんなによく食べてくれるとおごりがいがあるわ。また来なくちゃね。そろそろデザートでも頼みましょうか?」
おばさんがそう言うと、ものすごく良いタイミングで今度はウエイトレスが僕達の所へ来た。
「デザートはいかがですか?」
デザートか……、僕はもうお腹が張り裂けそうにいっぱいだったのでこれ以上食べられるかどうかちょっと不安だった。まあ、ママはいつも ”甘いものは別腹よ。” なんて言っていたし、僕は甘いものが大好きなので大丈夫かな?
「ええ、お願いするわ。」
おばさんがそう言うとウエイトレスはかしこまりましたと言い、また厨房の方へ戻ってしまった。あれ? あのウエイトレス、メニューを忘れたのかな? 僕が不思議に思っているとしばらくしてさっきのウエイトレスがワゴンを運びながら戻ってきた。そしてそのワゴンには10種類くらいの色とりどりのとても美しいケーキやプリンが並んでいた。
「うわー、すごい。みんな美味しそう。」
僕はお腹がいっぱいだった事などすっかり忘れて思わずワゴンを覗き込んで叫んでしまった。リサもワクワクしながら僕に言った。
「すごいでしょ、来る度に違うデザートが並んでいるの。いつもとても迷ってしまうのよ。でも今日はベリーの気分だわ。」
そう言うとリサはサマーベリーがたくさん乗ったタルトにしたようだった。そしておばさんはチョコレートムースを選んでいた。どちらもとても美味しそうだ。さて、僕はどうしよう。僕の悪いくせである優柔不断が出てしまった。どれもこれも食べたくて決まらないのだ。僕が悩んでいるとおばさんが教えてくれた。
「別に1つに決めなくてもいいの、食べたいだけ食べていいのよ。だいたいパティシエさんはワゴンがはやく空になる事が何よりも嬉しいのですからね。」
おばさんがそう言うとウエイトレスもにっこりとしながら言った。
「その通りですよ。お好きなだけどうぞ。」
ああ、できるなら全部味見がしたい。でもさすがに全部選んだら僕のお腹は確実に明日の朝壊れるだろうな、と思いどうにかとどまる事ができた。それでも誘惑には勝てずに僕は気になったチョコレートケーキとフルーツタルト、そしてモンブランを少しずつお願いした。するとウエイトレスは慣れた手つきで僕の頼んだケーキ達を切り分けてお皿に盛ってくれた。少しずつとお願いしたのだけれども、気を利かせてくれたウエイトレスはかなり大きめに切り分けてくれていた。明日の朝僕大丈夫かな? 目の前におかれたデザートを見て僕はちょっと心配になってしまった。そしてメインのお料理を食べていた時は少し緊張する話だったけれども、デザートの時間は僕達は一切学校の話はしなかった。美味しいデザートにたくさんの笑顔、リサとおばさんと一緒に僕はとても楽しい時間を過ごした。そして膨れに膨れまくった僕のお腹もとても満足したのだった。




