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プロローグ
沢山の人だかりに囲まれて、そのギラギラとした目をもつ物体はニヤニヤと汚物を口にしていた。
「汚い物体だな。」
物体は嬉しそうに次々と汚物をつかんでは愛おしそうに舐めている。
「汚物がお似合いだわね。」
ここはとある国のとある公園である。とてもよい天気だ。物体は透明なガラスの中に入れられていた。天井には穴があいておりその穴から汚物が落ちてくる仕組みだ。
「生かしておく価値なんてあるのかよ?」
天井は公衆トイレになっている。誰かが用をすませたのだろう、新しい汚物が降ってきて物体の頭を直撃した。人だかりは爆笑に包まれた。
「殺せ、殺してしまえ。」
「醜いね、誰か始末してくれよ。」
この汚い物体にふさわしい罵声はいつまでもいつまでも続いた。