ある動きその三
とんでもない情報が入って来てしまった。
箱庭飛鳥は、第二課隊員から報告された内容に頭を悩まされていた。
「嫌な予感通りだったってわけか……」
資料に目を通しながらため息をつく。
先日、諜報部に届いた市民からの投稿。
内容の一部に注目した彼女は信頼を置ける人物にとある調査の依頼をしていた。
その結果がつい先ほど届いたのだ。
「契約者なしでミフィールの能力を扱える……本当だったんだ」
そう。なんと契約者なしでミフィールの能力を扱える迷人の存在が判明したのだ。
どうやらこの街の隅にあるスラム区に住んでいる若者の中に数名ほどいるらしい。
これによって何が問題になるのかというと、
「どうする姐御? ただでさえ、武装不可事件に獄人のデモ活動なんて厄介な案件が二件も残ってんのに……これが広まったら火に油を注ぐようなもんだぜ」
そう。たった今リアナが飛鳥に不安を漏らした通り、もしこの件が民衆に広まってしまったら、デモ活動に我慢していた迷人まで暴動を起こしかねないのだ。
そうなってしまったら事態は最悪。
この街で迷人と獄人による激しい抗争が起こってしまうかもしれない。
この件を隠し通す方法を考えるべきか。はたまた、未だに規模が衰えることを知らないデモ活動を武力によって無理やり鎮圧するべきか――。
「んー、困ったなぁ」
できることなら後者は避けたい。
ただでさえ、表立たないところで差別が起こっているというのに、この街の治安を守る風紀部隊がそんなことをしたら、獄人と迷人の関係は余計に悪化してしまうだろう。
「とりあえず、諜報部という立場を利用してできることはやってみようかな。それにまーくんがきっと武装不可事件についてはなんとかしてくれるから」
結局、仲間を信頼している彼女は今自分ができることに専念するのであった。




