日誌
青葉高校に入学して、一ヶ月が過ぎようかとしていた。
たいていの生徒はもうどの部活に入るかを決めてしまっている。
そのこともあって、私は今日元文芸部があった部室へと足を運んだ。
元、というだけあって、今は文芸部は存在しない。
入部希望者がいないようだ。
文芸部の存在自体も知らない生徒が多い。
部室はさほど広くはなかった。
大きなテーブルが4つおいており、ここで作業していたことが伺える。
今では珍しいのか。はたまた学校だから当たり前なのか。
どうやら、コンピューター機器はないようだ。
奥には部員の作品を入れておくための引き出しがあった。
一つ一つに部員の名前が書いており、きれいに整頓されていた。
そして、一番下の段には日誌と書かれてあった。
私は作品にも目もくれず、迷うことなく日誌の引き出しを開けた。
すると、予想以上に染みなどで汚れているノートが出てきた。
私は気にすることもなく、早速ページを捲ってみた。
開けてみると、表紙とは裏腹に染みも破れもなかった。
綺麗なページにきれいな文字が連なっていた。
<4月8日 部長になって今まで部長らしいこと出来なかったから、今日から日誌と言う名の
日記を付けようと思います。3年生になったし。今日から部長らしく部をまとめようと思う。
まずは、部員の仲を深めることがしたいな。何がいいかな>
最初のページには、部長の意気込みが書かれていた。
頑張ってたんだな。
頭の片隅でそんなことを思いながら、次のページを捲った。
<4月9日 今日皆に提案してみると、皆意見を出し合ってくれた。
その中でも一番真剣に考えてくれたのは裕也君だった。
さすが裕也君と言うべきだろうか。色んな意見を出してくれて、こちらが先輩にも関わらず皆関心するように見ていた。
『和也先輩はどれがいいと思いますか?』なんて、兄弟にでも見えるような二人が話し合っているのを見ると本当に微笑ましい。
裕也君は後輩の中でも、和也と仲が良い分一番頼れる存在だ。一番年下にも関わらず、どちらが先輩なのかわからなくなってしまう。
『部長が最後に決めてくださいよ』と、完璧に部員の中で指揮を取っていた。そうして、意見はまとまった。
といっても、私が無理矢理決めたようなものだ。裕也君があまりにもリレー小説をしたがっている様子だったので、
私はそんな彼の意向に賛成したのだ。和也はあたしと裕也君が、というような曖昧な気持ちで賛成をしてくれた。
しかし、それが二人の背中を押したように皆リレー小説で納得してくれた。
順番は意見を出してくれた裕也君から始まり、部長の私は一番最後だ。明日からリレー小説がどのように始まるのか楽しみだ>
リレー小説がどんなものなのかわからなかったが、楽しそうだと思った。
部長が思っている以上に、この部はまとまってたんじゃないだろうか。
少しページを飛ばしながら読むと、リレー小説の内容がわかった。
<4月15日 今日ようやく小説の番が回ってきた。初めてなのに、皆ちゃんと物語続けられてて感激してしまった。
内容もとっても可愛くて、リレー小説を始めて良かった。裕也君に感謝だね。
一番面白いのは和也の小説だった。だって、どう考えてもあたしと和也のこと書いてるんだもん。
小説ぐらい書かなくたっていいのに・・・>
和也っていうのは部長の彼氏なのだろうか。
彼氏もいて、部員の皆にも愛させていたんだね。
いいなあ。
思った以上に日誌の内容が面白かったので、飛ばして読むのを止めて、また一ページ捲った。
捲ってみると、さっきまでとは違い、不思議なことが伺えた。
私は目を凝らして一文字一文字を読んだ。




