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05 衝撃の真実




状況報告。


―――相変わらず俺は、姉貴に押し倒されています。



「・・・・・・・なぁ」


「なぁに?」


「・・・・・・・・・・・・・どいてくんね?」


「無理なお願いね」


姉貴は俺に何をして欲しいんだろうか。

・・・この状態では出来ることも出来ないではないか。

とにかく手首くらいは自由にして欲しい。

結構力を込めて握られているので、その部分がキリキリと痛んで来た。


「なぁ姉貴」


「ん?」


「この状態いつまで?」


「・・・考えてなかったわ」


姉貴も少し困ったように笑った。

いつもと変わらないその笑顔に、この現実のおかしさを思い知らされる。


―――――姉貴は俺しか見ていない。

さっきから、ずっと。

俺は気まずさに視線を泳がすが、姉貴の視線は変わる気配がない。


なんでこんな事になったんだろうか?

俺姉貴に対して何か特別な事した?

家族の――キョウダイの一線を越えるような事をしただろうか?







「なぁ姉貴・・・」


「何?」


「俺達さー、キョウダイなんだよ?家族なんだよ?」


「・・・・・」


姉貴が、キュッと唇を噛み締めるのが見えた。

眉間にも、軽く皺が寄る。

俺は言葉を続けた。


「血も繋がってるんだぜ?だからこんな事許されるワケ―――」


「繋がってないよ」







―――――え?







今、なんと?


俺の空耳だろうか。

いや、空耳であって欲しい。






「ゴメン、姉貴。今のよく聞こえなかっ―――」


「何度でも言ってやるわよ」


凛とした声。

テレビが付いていて、それなりに音がするはずなのに。

外ではセミがうるさく鳴いてるハズなのに。

俺には何も聞こえなかった。

姉貴の声以外は。












「あたしとアンタには、血の繋がりなんかない。キョウダイなんかじゃないのよ」











俺はただ、目を見開く事しか出来なかった。

耳を塞ぎたくても、手は姉貴の手首の中。

いや、俺はまだこの人を、『 姉貴 』と呼んでいいんだろうか。






歯車は大きな音をたてる。


それはまるで、泣き声のようにも思えた。




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