04 運命の瞬間
―――問題。
今俺は姉に何をされているのでしょう?
答え:押し倒されている。
―――って、おかしいだろ!
脳内での一人問答&一人ノリツッコミを終えた俺は、抵抗に出た。
とりあえず姉貴の肩口を掴み、押し退けようとする―――――
が。
「あぁ〜ねぇ〜きぃ〜・・・!!」
「何よ」
「〜〜〜!!・・・ぢぐじょ゛〜!」
どうやら俺の痩せ細った筋肉のない体では、姉貴を押し退ける事は無理らしい。
あぁなんと悲しきかな。
男としてのプライドはズタズタで、涙が出そうになる。
「何したいワケよ?」
「〜〜〜!!見てわかんねぇのかよォ!?」
「全く」
もう俺のプライドはズタズタどころか粉々だ。
「ふぬっ・・・!ふぬぬぬぬ・・・!!」
無駄な努力を延々と続ける俺を見て、姉貴が一つ溜息をついた。
そして。
姉貴を退かそうと必死で突っ張ろうとしている俺の両腕を、姉貴が掴んだ。
持つ所を手首に変え、力を込められた。
完全に、ソファーにはりつけ状態にされ、身動きが一切出来なくなる。
ちょー!ちょちょちょちょちょっと待てぃ!!
これは非常にヤバい展開なんじゃないか!?
もしかしてもしかしてなのか!?
こんなの載せちゃっていいのか作者!?
混乱のあまり俺はワケの分からない事を脳内で口走り始める。
「ぁぁあ姉貴ッ!姉貴こそ何がしたいワケよ!?この体勢は何!?普通逆・・・まぁここんとこは置いといて・・・。何なんだよ!?」
俺は自分を冷静にさせる為と、姉貴の行動を止めさせる為に、一気に疑問を吐き出す。
「・・・マジで分かんない?」
俺は頭は吹っ飛びそうな程首を縦に振る。
その姿に姉貴は溜息。
そして、大きな瞳で俺を真っ直ぐ見据えながら、言った。
「アンタが 好 き って事だよ」
硬直した。
さっき言われた事が、上手く脳に伝達されて行かない。
―――問題。
俺は今姉に何を言われたでしょう?
答え:愛の告白。
―――って!お・か・し・い・だ・ろー!!
ようやく意味が分かった。
益々混乱を引き出しただけだが。
「ちょっ・・・何言ってん・・・」
「本気よ」
強く言われ、一瞬言葉を失った。
「こ、この行為はそーゆー意味なワケ!?」
「うん。襲ってますよ?」
「・・・・・・・・・・」
「アンタを食べる気満々」
・・・今度こそ俺は言葉を失った。
俺は白目になりそうなのを必死に堪える。
歯車は、軽快な音をたてて回ってく。
その音は、鳴り止む気配がない。