失恋
「ごめんなさい・・・。他に気になってる人がいるんだ・・・。」
ドスッ
言葉という刃がこんなにも深く突き刺さるとは、思わなかった。
「そ、そうっすか・・・。」
「え、えとっ・・・北方くんがきらいなわけじゃないんだよ・・・。でも、、、。」
「大丈夫っすよ。気にしないでください。」
「う、うん。ごめんね。」
オロオロとしながら、俺の元・好きだったひと、浅田由愛先輩は上目づかいで俺をみた。
やめてくれ、そんな目で見られたらあきらめがつかねえ。
「じゃ、わざわざありがとうございます。」
「うん。ほんとにごめんね。」
本日何回目かわからないごめんねをいって浅田先輩はトトトト、と去って行った。
あーあ。ついてねえ。
ついてねえどころか最悪だ。
制服のポケットにいれていたケータイが鳴った。
察しはつく。
梓かさとしだろう。
内容までわかっちゃうね。
どうせ、うまくいったのかどうかだろ。
「ダメだった。」
そう返信をしてパタンとケータイを閉じた。
場所は、第一槙野高校、屋上。
清々しいほど青い空が俺を見下げてる。
「無様だな。」
「だな。」
そんな雲たちの会話が聞こえてきそうだ。
硬い屋上に寝そべった。
秋の風が、涼しかった。
「あーあ。世界なんてどうにでもなっちまえ。」
まさか、その世界がどうにかなってしまうなんて、アスカはこのとき思わなかっただろう。
また、ケータイが鳴った。
アスカはケータイに見向きもしなかった。