プラモ好きの異世界転生物語
"仲間集めしか脳がない"連載開始です!
大体構成はできています。そして、この1話に巨大伏線を張っています。
かっこの分別の仕方
「」…キャラクターのセリフ
()…心の声
[]…ナレーター・第3者視点からの情報
「素晴らしい…」
[時は現代、20XX年である。ある国のある学校に通いある家に住まう一般学生こと常田草花(男:15歳)は今から人生のどんでん返しをくらうと思うまい]
「本当に素晴らしいプラモデルだ、このフォームが美しい」
今、俺は新作プラモデル、"カスタムプライム"に熱中しているのである。だが、そんな感情がワクワク一色染まっている刻に、さらなる情報が舞い降りる。
「カスタムプライム公式より、限定50個のプラモデルを5980円、公式ショップのみで販売します!」
新作プラモデルで夢中で残りの残高8000円! 俺が取った行動は…
「リュック用意! 財布用意! 自転車用意! 行くか…聖地にぃぃ!」
すぐに用意して走ることだ! リュックも財布も自転車もすぐに用意するその速さは人生で生きてきた中で1番の速さ。最速でカスタムプライム公式ショップに着いた瞬時に客引きらしき人が口を開けた。
「限定プラモデルあと1個だよーーー!!!」
客引きらしき人が叫んだ瞬間、公式ショップに入店しようとした客全員が奇声をあげながら走り出した。
「ウォォォォォォォォォォォォォォ!」
最終的に限定プラモデルを入手したのは…
「やったー…買えたー! 雑貨コーナーとかも見て石鹸とか無駄なもの買っちゃ…っ…」
この時点では嬉しいことに俺だ。この争奪戦に勝利し、快感と余裕に浸り、解放感を覚えたその時だった。
(バタリ…)
俺は手に入れるまでの疲労、人々に挟まれ続け生じた痛み。その他もろもろが重なり精神的に崩壊。それは肉体にも通じた。
俺が倒れて10分後、"カスタムプライム公式ショップの前で人が倒れた"というニュースが広がり、俺は病院に運ばれ、気づけば、とんでもない光景を目にしたのだ。
「なんだここーっ! 無限のように広がる草原! 果てしなく遠くにある海! 濁ることのない純白と暗黒に染まっている紫の雲! まるでファンタジーだ! でも、この衣服に限定プラモデル、所持品は引き継がれたみたいだな」
幻覚か、現実かがわからなくなったが、俺は異世界に来てしまったのだ。俺はまず、手元にあった地図を確認した。
「地図によると…中央に小さい島があって、その周りに8つ、8角形を描くように王国と地があるのか」
俺は、海に浮かぶ9つの島や地がある世界にいる。"周り8角形の王国地は、世界8大王国の地"ということが右下に記述されている。俺は異世界語をある程度習得している状態で転生したらしい。だが、地図を見たところで、自分がいる具体的な位置はわからない。早速行き詰まってしまった。
「参ったなぁ…ここじゃ最低限でも生きることができない…はぁ…」
何にも縛られない代わりに、何もかもを自分でやらなければいけない世界にうんざりした俺はこういう結論に行き着いた。
「あっ! そうだ、名声のステータス最高まで上げてみようか、そんでもって最強の王国でも建ててみるかな」
思い立ったが吉日、ということですぐに名声上げに専念した。…18時間ほど。もう吉日は過ぎ去った。
「具体的に、1つの国の色んな町にいた困っている人を助ける、つまり承諾制課題をクリアすると名声が20上がるらしい」
俺はできるだけ討伐系の承諾制課題は受けないようにしている。あとから仲間につけるかもしれないからである。
「これを18時間繰り返した結果、名声ステータスがMAX値の99999になったわけだが、何か変わったか? よくわかんないかな」
名声ステータスは、大きければ大きいほど尊敬されるようになる。ただ、名前が知れ渡り全ての人が尊敬するのではなく、一回以上尊敬されるきっかけを作らなければ尊敬されないし、忠誠も誓われない。これが名声ステータスのルールだ。
名声の他にも、ステータスはある。まず、メインのステータスは、攻撃、防御、体力、魔力、スピードの5つ。サブステータスは幸運、神力、そして先ほど紹介した名声の3つだ。
「俺のステータスでは攻撃と防御、神力が低く、魔力と速さは普通、そして体力と幸運が無駄に高い、
そして名声がMAXだ、だが、神力が低いのはネックだな」
神力ステータスは、神への崇拝度のこと。10までしか上げられない代わりに神力を除く全てのステータスが神力ステータスの高さだけ倍増する。さらに、生まれつきランダムに崇拝する神が運命的に定められている。崇拝する神によってそれぞれ違う付録効果が得られるのだ。付録効果は神力ステータスが高ければ高いほど効果が強くなる。
「神力が3なら名声が299997、神力が5なら
499995、神力が10なら999990、俺についている神というやらも気になる! どんなんだろーなー付録効…果…」
神力に期待を抱く俺の前に突如として現れたのは、丸みを帯びた体に半透明の空色をした"喋る物体"だ。
「スーッ! スラーッ!」
「なんだなんだ! 急にいかにも水属性ですよ感を隠しきれてないやつらが来たぞ!」
総勢8000体くらいだろうか、喋る物体が口を揃えて草花に言葉を飛ばす。
「私達はあなたの人助けする姿に惚れました! 何も私達"スライム"だけではありません! 魔王軍全体です! あなた自身が国を作り、魔王軍と同盟を組むことを提案します!」
随分と活気に満ちたスライム達は魔王軍との同盟を提案する。俺が今いる地は、魔王軍の王国がある地だと理解した。そして、目の前にtrueとfalseの文字が並べられ、それぞれ、"はい"と"いいえ"の意味を持つことを俺は頭によぎったかのように理解した。
(…魔王軍からの同盟だ…しかも向こうからだ、世界8大王国の1つ、最強の王国を目指すんなら飲まない訳はないよな!)
俺は迷わずに竜をも殺す勢いでtrueの文字をタッチした。どちらか決断した後にはもう選択肢は跡形もなく消えていた。
「よくぞ受け入れてくれたわねっ、我々スライムも歓迎するわよー! 同盟といっても、傘下的存在になってしまうけど…私の名前は、プルーリ、基本的にみーんなフランクだから優しく接してね」
おしゃべりなで人の女性の形をしたスライムは、普通のスライムよりも綺麗な水色で、もっと透き通っている。俺はなんとなく、スライム達のまとめ役という感じがした。
「あぁ、そう、俺もその方がやりやすいな、
でも最強の王国には程遠い、まずはスライムのステータスを見ていくかな」
俺はスライムの平均ステータスを割り出す。モンスターには、下から順に、ウィークモンスター、リーダーモンスター、カシラモンスター、ミソロジーモンスターの4種に分かれてる。スライムはウィークモンスターの分類に当たる。
メインステータスは大体20〜50くらい、ウィークモンスターにサブステータスはないようだ。
「特に目立って強い個体はいないっぽいな…
ん? なんだ? 能力という欄があるな、えーっと…なんだ…分裂? 1戦闘につき5回まで発動できる、ダメージで死んでしまった時に大きさはそのままで2倍に増殖する…だとぉ!? まぁ、5回発動すると1体に戻って退散するらしいが…おいプルーリ! お前の能力のスライム属性ってなんだー!」
「水属性の攻撃がベタベタになって意志を持つだけのどーせ普通のスライムより弱い能力よ…能力は生まれつき決まるものなのよ? こんなのもあるってものよ」
スライムはいい壁役になると踏み、プルーリの弱そうな能力にガッカリする。次に俺はアタッカーあたりを欲していて、最強王国建設計画は早速いい方向に向かっていると思う。