サリエンス・ゼロ
都市から排斥された棄民たちの住処、サリエンス・ゼロには死と絶望が病魔のように蔓延している。
十分な食糧も医療体制もなく、本来なら外敵より都市を防衛するために備えられた砲台の多くはその砲口をサリエンス・ゼロに向けていた。
なぜならそこに、守るべき"人間"は居ないから。
そこに存在するのは都市外に存在する赤い霧のバケモノと同じ、人の形をした"畜生"だから。
逃げ場など、どこにもない隔壁に挟まれた薄汚れた小さな箱庭。そんな場所に、似つかわしくない輝きを放つ白銀の少女が逃げ込んだ。
——全部捨てて、ここではないどこか、遠くの世界に行きたいんだ。誰も、わたしのことを知らない世界に。
十分な食糧も医療体制もなく、本来なら外敵より都市を防衛するために備えられた砲台の多くはその砲口をサリエンス・ゼロに向けていた。
なぜならそこに、守るべき"人間"は居ないから。
そこに存在するのは都市外に存在する赤い霧のバケモノと同じ、人の形をした"畜生"だから。
逃げ場など、どこにもない隔壁に挟まれた薄汚れた小さな箱庭。そんな場所に、似つかわしくない輝きを放つ白銀の少女が逃げ込んだ。
——全部捨てて、ここではないどこか、遠くの世界に行きたいんだ。誰も、わたしのことを知らない世界に。