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第一話 迷いの神社

連載第2(3)作です。お願いします。


 「じゃあまた明日〜」

 「志保もまたね〜」


 いつものように友達と挨拶を交わし、帰路に着く。家までの道は道路沿いに進むだけ。特に変な場所で曲がるとかもないし、迷うような場所もない。


 「ちょっと寄り道しようかな」


 ただ、今日は学校が早く終わったし、ちょっとくらいなら寄り道しても大丈夫かな?

 そう思って、いつもの道を外れる。そしてその道もたまに通ったことがあった



 はずだった。いくつか角を曲がったあたりから、空気に違和感を感じる。


 「帰り道ってこんな道だっけ…?」


 何か森とか自然のような匂いが混ざる。そして、気づくと見知らぬ鳥居の前に居た。


 「こんな場所に神社なんてあったっけ…?」


 いつもではないにしてもたまにこの道は通っているはずだった。だが、こんな神社は見たことがない。後ろを振り返ってみても、ここまで続いていたはずの道路が何もない。

 方向音痴なところもあって結構この近辺の地図は見てきたつもりだ。だけどこんな森はなかったはずだし、ましてや神社なんて無かった…と思う。

 恐る恐る鳥居をくぐる。そこには、同い年?くらいの男の子がいた。


 「えっと…こんにちは?」

 「人…!?」


 これが私たちの出会いだった。








 「ごめんごめん。ここに人が来るのなんて初めt…珍しいからさ。」

 「へえ〜…。」


 成宮鋼と名乗ったこの人は、(14歳らしい。)和服に箒と、すごくこの場所にマッチしていた。

 周りを見回すが、鋼くん以外に人が見当たらない。聞こうかと思ったが、何か事情があるのだろうと思い聞かなかった。だから、別のことを聞くことにした。


 「というか、ここに住んでるの?」

 「うん、そうだよ。あんまりやることもないから退屈だけどね。」


 本当にここに住んでいた。だがそれ以上は聞かない。初対面だしね。話しにくいでしょ。


 「じゃあ普段何してるの?」

 「掃除とか…あと読書かな。」

 「へぇ〜…飽きないの?」

 「うん、飽きないよ。本は読むたびに新しい発見があるし、掃除はもう習慣になってるからね。」


 習慣。私には掃除を習慣にするなんて信じられない…私にもその習慣があったら部屋を綺麗にできているんだろうか。私にはあれくらいしか無いな…


 「習慣…毎朝CD聞くみたいな?」

 「…うん、そんな感じ。」

 「すごいな…私には無理だ…掃除なんて…。一日も綺麗な部屋が続かないのに…」

 「うーん…そういう時はどこか一箇所を掃除する!って決めて、何日かに分けてやったらいいんじゃない?」

 「おぉ!それならできそう!今度やってみる!」


 あれ?なんで私初対面の、しかも年下に掃除について教えてもらってるんだろう…

 というか、和服って着るのめんどくさいってどこかで聞いたことあるし、掃除も習慣ってマメなんだろうな…そのマメさが少しでも私にあったらなぁ。


 「ところで…本にオススメってある?」

 「本?」

 「いやぁ…ちょっと読んでみたいな〜って。」


 鋼さんが住んでいると思われる家の縁側にさっきまで読んでいたであろう本が積み上がっていてすごく気になってしまったというのは言わないでおこう。


 「うーん…オススメかぁ。じゃあこれかなぁ。」


 そう言って積み上がっている中から一冊の本を取り出す。その本は積み上がっている中では薄め(とはいえ2,300ページくらいはあると思われる)のものを取り出した。その本は他の本よりもかなり読み込まれた形跡があり、余程好きだということが伺える。


 「これはね…主人公とこの人の関係がすごく細かく描かれてて…」


 あ、やばい。これは止まらないやつだ。そう思ったが、時すでに遅し。そのまま20分近く語り尽くされ、私はその勢いに圧倒されていた。





 「ごめん!ちょっと話しすぎた…」

 「全然いいよ!読んでみたくなったし。」

 「本当に!?じゃあ貸しましょうか?」

 「本当?ありがとう!」


 そこまで推されると読みたくなるしいままであんまり本を読んでこなかったし、これを機に読んでみようか…


 「あっ!時間大丈夫?」

 「えっ?あっ、そろそろ帰らないと…」


 流石にそろそろ帰らないと寄り道の範疇を超えるしね。もうちょっと話したかったけど。

すると、鋼さんがお守りを差し出した。


 「じゃあ、これ持って行って。これを持ってきた時と同じ道を通ればここにこれる…はずだから。」

 「本当!忘れないうちにメモしとかないと…」


 私はこっそり学校に持って行っているスマホを取り出し、そこのメモにここまでの道を書き記す。


 「というか、また来ていいの?」

 「うん。本当に人が来るのなんて珍しいから、また話したいし。」

 「じゃあ、遠慮なくまた来ちゃおっかな〜」


 そう言って私は鳥居をくぐる。

 「じゃあまったね〜!」

 「うん、またね。」


 そして少し歩くと、いつもの寄り道のルートに戻っていた。後ろを振り返ってみても神社への道はない。


 「ちょっと調べてみるか…」


 そう考えながら、私は家に帰った。

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