ロープと猫缶②
俺は必死にこの状況について考えた。
人間は、訳の解らない状況に直面すると、無理矢理にでも何か納得できる答えを出そうとする。
そうすることで、安心しようとするのだ。
だが、俺はその時、必死に何か答えを探しているようで、何も考えていなかった。
何故なら、何一つ、無理矢理にでもつじつまを合わせる上手いストーリーが浮かばなかったのだ。
「おい、兄ちゃん?大丈夫か?」
あまりに不自然に、俺が固まったまま何も言わないので、猫(?)は怪訝そうに声をかけてきた。
その声を聞き、夢や聞き間違いという、儚い期待も消え去ってしまい、俺はゾクッと身を震わせた。
それを見た猫は、気だるそうに顔をしかめた。
「何だよ、あんたも具合わりぃのかよ?
全く、何だかよくわからん流行り病で、
どいつもこいつも見かけなくなっちまって、
腹が減っても、愛想を振り撒く相手もいねえってのに。」
猫はぶつくさ言いながら、前足を舐め、顔を洗った。
「、、、ね、。」
「ああん?何だよ喋れんのかよ?」
「猫が喋ってる!何でだ!とうとう頭がやられたのか?!俺は!!」
「いや、多分、イカれてねぇから安心しろよ。」
「何で~?!」
「あーうっせーなー!」
夢か現実か、パニクる俺を尻目に、猫は苛ついたように尻尾をパタンパタンと打ち付けてから、粗っぽくまた顔を洗った。
「猫が喋るのが、そんなにおかしいか?」
「え?!おかしくないのか?!都会こえぇー!」
「まぁおかしいんだけどな。」
「おかしいのかよ!!」
「だな、普通、猫は喋らん。」
「えええええぇー!」
混乱の頂点に達した俺を、面白いものを見るように見上げ、猫は得意気ににんまり笑ったのだった。




