逢いたい時に猫はいない⑤
あ~っ!!
だから会いたくなかったんだ!!
会いたくなかったんだ~っ!!
猫はそう思いながらファーッと毛を逆立てて大きく口を開けた。
だが、相手は子猫でも見るように二本の尻尾を揺らしながら、ただ眺めているだけだ。
「……クソッ!!」
「相変わらず品がないねぇ。だから中々、尻尾が割れないんだよ。」
「品は関係ねぇだろうが!!ババア!!」
「そうはいかない。猫又になるってのは、古来より由緒のある格式を持つ存在になるって事だ。アンタが思っている力の強い妖猫になる事じゃないんだよ。」
「うっせぇなぁ~。大体、何で今更、来やがった?!俺に基礎だけ教えて、消えやがったくせに!!」
「だって、アンタ、人嫌いじゃないかい。あたしゃ、人は好きだからね。特にいい男は大好物さ。なのにアンタときたら、あの時のカレシにひっかき傷をつけて。最低限の事はしてやったんだから、感謝してほしいもんだよ。」
「カレシって……ババア、歳を考えろよ……。」
「うるさいわね?妖猫に歳はないんだよ。いつでも心は生娘さ。」
「キモッ!!」
思わず吐く真似をした猫は、次の瞬間、師匠の猫又から強烈な頭突きを食らった。
何か大きな力に叩かれたように吹き飛んだ体を、身体能力を使って何とか着地した。
「何すんだ!!ババア!!」
「フンッ。爪を立てないでやっただけ、有難く思いな、小童。」
「俺は小童じゃねぇ!!」
「あぁそうかい。じゃあ言い直してあげる。何年たっても猫又見習いの子猫ちゃん。」
「…………クッソッ!!」
猫はそれ以上言い返す事もできず、苛々と毛づくろいをするしかなかった。




