episode45 レスキューミッション
レイディアントガーデン ミッションコントロールセンターB室
STS-100の支援をしていたスタッフ達も、一連の実験を終えて、あとは帰還の途につかせるだけだった。
チーフフライトディレクターのアルノー・クランツも気は緩めずとも、ほっと一息ついていた。
「コロンビア、軌道離脱を開始……ん?」
「あれ?」
「ん? なんか今、画面乱れたか?」
MCC内がざわつき始める。
中には画面が乱れたと声を上げるセクションもいた。
「どうした? 各セクション、報告を――」
アルノーが声を上げたその時だった。
『メーデーメーデーメーデー! こちらコロンビア! アルファード、緊急事態発生! 繰り返す、緊急事態発生!!』
コロンビアから通信が入ったが、皆は最初、何を言ったのか理解できなかった。
CAPCOMのクラウディアが聞き返す。
「……こちらアルファード。もう一回言って?」
『緊急事態発生!! 機体が右に激しくヨーとロールしてる!!』
その瞬間、MCCの空気は一瞬にして張り詰めた。
各セクションの担当者は手元にある緊急事態マニュアルを引っ張り出しながらテレメトリーデータの確認を始める。
「CAPCOM、まずは機体を安定させるよう指示を。まずはそこからだ」
「コロンビア、機体安定を最優先して」
アルノーはCAPCOMであるクラウディアにそう指示すると、各セクションに向けて通達を出す。
「各セクション、これより帰還プログラムを全て破棄。緊急事態マニュアルに従い行動せよ」
「「「「「はいっ!!」」」」」
通達後、アルノーはヘッドセットのマイクを手で押さえて声を拾わないようにすると、傍にいたサブフライトディレクターのカタリーナ・フォン・ルクセンブルクに指示を出した。
「カタリーナ、すまないが――」
「マスターに連絡ですね」
「頼む」
◆
「……なんとか回転をゆっくりにすることができた」
「……一体何がどうなったのよ」
マルクスとラウラは、疲労困憊していた。
回転を止めるためにRCSをフル稼働させ、ヨー回転は止めることができたがロール回転は完全に止めることは出来ず、毎分一回転くらいの速さにまで抑えることができたが、その代償にRCSの燃料は切れてしまった。
「もう姿勢制御すらできないわよ……どうすんの?」
「ひとまず、CMGを使って現状を維持しよう……今はそれくらいしかできない」
「そうね……エレアちゃん大丈夫?」
ラウラは後ろに座るエレアを見やる。
軌道離脱前の表情とは裏腹に、その顔は青くなっていた。
「だ……大丈夫です……」
「……エレアちゃん、無理しないで」
ラウラは優しく声をかけると、エレアの目に涙が溜まり始めた。
無理もない。
初めて宇宙に来て、このような事態になったのだ。
しかも、エレアは魔法薬学研究部出身。
魔物調達部隊であった他のクルー達と比べると危険な目に遭う経験などほぼ無かっただろうことは想像できた。
「とりあえず、下で何か飲もうか。ね? エレアちゃん」
ティナが優しくエレアの背にそっと手を添えた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「大丈夫。大丈夫だから」
恐怖で身体が動かず、何も出来なかったことを謝りながら、涙を流すエレア。
その涙は水玉となって宙を漂う。
ティナがエレアの背中を優しくさすっていると、ミッドデッキで着座していたエーリッヒ達が上がってきた。
「なぁ、何があったんだ?」
「めっちゃ揺れたし、回ったし……」
特に取り乱すこともなく、エーリッヒとニルスは平常心を保っていた。
「……ペイロードベイドア、開けていい?」
パウルに至っては、ずっと外が気になっていたようで、ドア開閉の許可を求めてきた。
それは確認の為というよりも……怖いもの見たさのようであった。
本来、ペイロードベイドアを閉じると後方の窓から見える景色は真っ暗になる。
それが今は最奥の部分から光が差している。
「……そう、だな。被害状況は確認しないと」
パウルはコクリと頷くと、パイロット席後ろにあるMFDを操作してペイロードベイドアを開けた。
右舷、左舷と順番に開いていくドアだが、右舷のドアが開いた瞬間……原因がわかった。
「っ!?」
「……嘘だろ」
ティナとエーリッヒが息を呑む。
そこに広がっていた光景を見たマルクスは、一瞬信じられなかったが、すぐに現実を受け入れた。
「OMSが……吹き飛んでる」
◆
マーリン様との会話を終えて会場に戻り、来賓の方々と談笑していた頃。
俺を呼ぶ声が会場に響き渡った。
「マスター!! レオン様はいらっしゃいますか!!」
入り口から大声で叫ぶ彼を認める。
その子は特別輸送隊の隊員だった。
「どうしたの? そんなに慌てて。パーティー会場だからできれば静かに――」
「先程、STS-100ミッションコントロールセンターより連絡がありました」
俺の言葉を遮り、神妙な面持ちで彼は話し始めた。
俺は言葉を遮ったことは咎めず、先を促す。
「……続けて」
「全てのミッションを終えて軌道離脱に入ったコロンビア号で爆発事故が発生しました」
「……!?」
彼の言葉が、一瞬理解できなかった。
だが、すぐに平静を取り戻し、質問する。
「クルーは無事か?」
「全員無事です」
「空気漏れは?」
「現状確認されておりません。アルノーから、急ぎ戻って欲しいという連絡が入りましたのでお迎えに上がりました。お急ぎください」
アルノーが俺を呼ぶってことは相当切迫してるな。
いや、爆発事故なんて起きたら誰でもそうなるか。
「何があったんだ? 随分慌ててるけど」
「何かあったんですか?」
「ちょっと、私も混ぜてよ」
事態を知らないクリス、アイリス、クラリスが近寄ってきたので、ことの顛末を話す。
「コロンビアで爆発事故が起きたそうだ」
「なっ!?」
「クルーは無事なんですか!?」
「空気漏れは!?」
三人とも俺と同じことを質問してきた。
この辺りは流石、宇宙飛行士だな。
「皆無事で、空気漏れもないそうだ」
「そうか、よかった」
「でも、油断はできませんね」
「原因はわからないの?」
クラリスが特別輸送隊の子に質問する。
「すみません、急ぎマスターをお呼びするよう言われたので……詳細までは」
「そうよね……」
「とにかく俺は社に戻る。お前らは引き続きパーティーに――」
「その必要はありません」
クリス達三人に残るよう指示しようとしたら、とある人物に止められた。
導師ヘルガ・ゴーラン様だ。
「導師様?」
「盗み聞いてしまったこと、平にご容赦ください。その内容でしたら、ベテラン宇宙飛行士の存在は必要不可欠なのではないでしょうか」
……確かに必要だが、パーティーを抜けるというのも気が引ける。
俺としては一人でも残したいのだが……。
「それに……宇宙事故となると我々には未知の領域。どうお手伝いすればいいのかすらわかりません」
俺が逡巡していると導師様は後押しする様にそう言った。
「あなた方にしか出来ないのです。行ってあげてください」
「……感謝致します」
俺は導師様の厚意を受け取り、クリス達も同行するよう呼びかけた。
「クリス、アイリス、クラリス、帰るぞ」
「おう!」
「わかりました!」
「急ぎましょ!!」
俺達は会場を後にして、車を飛ばして空港に向かった。
◆
「……宇宙で爆発事故が起きるとはな」
「火炎魔法の極限を使って飛ぶ乗り物だよ? 爆発しても不思議じゃないさ」
マーリンとヘルガが今回の事故のことを話し始める。
宇宙がどういう場所なのか。
マーリンはレイディアントガーデンから発表されている情報を聞き齧っている程度だが、危険な……いや、かなり危険な場所であると言うことは認識していた。
「有人宇宙飛行をしたことがあるのはあの子達だけなんだ。私や魔術省じゃあ、手も足もでないよ」
「俺達は……見ていることしかできねぇってことか」
マーリンはレオン達が出ていった出口を見て、呟いた。
「幸運を祈るぞ、レイディアントガーデン」
◆
レイディアントガーデン ミッションコントロールセンターに到着し、俺は司令室内に入室した。
クリス達にはアストロノーツビルで待機してもらうように指示を出しているため、ここにはいない。
「マスター!」
「アルノー、現状は?」
「現在、コロンビアはCMGを使用して現状を維持しています。クルーには休むよう伝えていますが……」
「まぁ、この状況で寝られるわけもない……か」
コントロール・モーメント・ジャイロ――CMGは衛星などに搭載されているリアクションホイールと原理は同じで、高速で回転するコマのジャイロ効果を利用した姿勢維持装置だ。
これはISSのZ1トラスにも搭載されている。
だが、それも使い続けるとコマが限界を迎えてしまい、壊れてしまう。
そうなる前に救出しなければならない。
「幸い、次回打ち上げ予定のSTS-31で使用予定のアトランティスがPAD-39Aに設置済みだ。それを使ってレスキューミッション……STS-300を実施する」
STS-3xxミッション……前世では実行されなかったシャトルミッションクルー救出ミッション。
それを実行することになるとはな……。
「了解しました。それで、クルーは誰を任命するのですか?」
「決まってるだろ?」
宇宙飛行士の中で最も飛行経験の多い奴が二人いる……そして、この世界で最初にロボットアームを動かし、その道の頂点に立つ者も。
「クラリスとクリスを宇宙に上げる。そして、クララもな」
この3名で、STS-300を実行する。
◆
アストロノーツビルにて、スターマンスーツに身を包んだクリスとクラリス、そしてクララがリークチェックを行っていた。
「では、皆さんそのままで聞いてください。本ミッション内容を説明します」
チェックルームでブリーフィングを行うなど本来あり得ないが、時は刻一刻を争う状況のため、やむを得なかった。
サブフライトディレクターであるカタリーナが、ミッション内容を伝えていく。
「コロンビアと同軌道に上がったあと、ランデブーマニューバを実施。その後、外部から破損状況を確認したあと、レスキュー用ドッキングモジュールをアトランティスのドッキングポートに接続、コロンビアとの回転同期を手動で実施して頂きます」
「手動……わかったわ」
STS-300ミッション船長を務めるクラリスは、拳を握った。
オービターの操縦は基本、船長が実施するからである。
しかも、今回のような回転する物体に対してのランデブーは訓練で数回やった程度であった。
しかし、今回のパイロットはクリスであるため、心配や不安はなかった。
「回転同期後、コロンビアに設置されているグラップルフィクスチャを関節部などを強化した新型アーム、リヒターアームパワードで捕獲、その後、ドッキングいたします……以上がミッション内容ですが、聞いてわかる通り、リヒターアームでのキャプチャーが要となります」
カタリーナやクルー、他の皆の視線がクララに注がれる。
それを受けたクララは緊張して――
「ちょっと! あんま見ないでよ! 恥ずかしいじゃん!!」
――いなかった。
普段通りのクララの態度であった。
「こんなことを聞いてはアレなのですが……緊張しないのですか? しかも、今回初めて使用するアームですが……」
「何いってるのさカタリーナ。緊張なんてしないよ」
カタリーナの言葉を受けて、クララは笑顔を浮かべて、手招きをする様に手を振る。
そして、ひとしきり笑うとクララは真面目な表情でカタリーナに言った。
「私が一番リヒターアームを使えるんだよ。どんな物でも掴んでみせる」
アームオペレータースペシャリストとしての矜持にかけて、ミッションに挑むクララには、一切の迷いや不安はなかった。
あるのは覚悟。
それだけである。
◆
「第二軌道噴射終了。遠地点286km、近地点279kmの円軌道に入りました」
『了解、こちらも確認できています』
レスキュー用ドッキングモジュールを積載したアトランティスは無事打ち上げられ、軌道に乗り、MCCのCAPCOMであるアイリスが確認の返答する。
コロンビアより高度が低いのは軌道力学では円軌道の直径が短いほど、軌道周回速度が速いからだ。
今のアトランティスの高度ならば、コロンビアに追いつくことができるが、追いついてすぐコロンビアに真っ直ぐ向かうということはできない。
追いついて減速すれば高度が下がり、更に加速してしまう。
従って宇宙で船同士を近づけるにはまず、目標に対して低い高度を飛び、一度追い越すあるいは手前で目標の船と近地点を合わせるために高度を上げる為に加速する。
こうすれば、あとは待つだけで船同士は近づいていく。
V-Bar方式と呼ばれるランデブーである。
円軌道に乗った為、ペイロードベイドアを開けて温度調節を行う操作を実施し終えた頃、三人はコロンビアの捜索を始めた。
「もうそろそろコロンビアが見える筈だが……」
「クララ、見える?」
「ちょっと待って。今探して――いた!!」
クララが叫ぶと、クリスとクラリスはクララの覗き込んでいた窓を覗いた。
そこには確かに、ゆっくりとロール回転するコロンビアがあった。
そして、右側のOMSがないことも確認できた。
「マジでなくなってる……」
「かろうじてノズルが残ってるくらいね……ランデブー噴射始めましょう」
「そうだな」
再び操縦席に戻った二人は、高度を上げるために点火コマンドの入力を始める。
いよいよ、コロンビアのキャプチャーが始まる。
――
――
――
打ち上げから4時間近くが経った頃。
アトランティスはコロンビアと相対速度を合わせ、コロンビアの周りを周回するフライアラウンドを実行した。
その際、懸念されていた事態が、現実となっていることを確認した。
――右翼に直径2mはあるだろう穴が空いていた。
他にも右のペイロードベイドアの一部も破損している。
「……やっぱ無事なわけねぇよな」
「爆発事故だものね……」
だが、それ以外に目立った損傷は見当たらなかった。
不幸中の幸い……と言えばいいのかわからないが、ペイロードベイに目立った損傷がなくて幸いであった。
ベイロードベイの下には酸素や水素を生み出すマテリアル・クリスタルや生成された酸素や水を溜め込むタンクなど、生命維持には欠かせないものが積まれているからである。
『アトランティス、こちらアルファード。調査は十分です。キャプチャーに入ってください』
MCCにいるCAPCOMのアイリスから通信が入る。
「了解。準備に入るわ」
クラリス、クリスは操縦席に、クララはそのまま後方のコントロールパネルに陣取る。
そしてその後、クララはドッキングモジュールをアトランティスのドッキングポートに接続する作業に移行し、クラリスはオープンチャンネルでコロンビアと繋げた。
「コロンビア、これからキャプチャーを開始する。……結構無茶なことするから気をつけて」
『こちらコロンビア。……正直、何もできないので、身を委ねます!』
「……アトランティス了解」
船長のマルクスからの返答を聞いてクラリスとクリスはシートベルトを、クララは自身を固定するためのハーネスを締めた。
通信からは気丈に振る舞っているように聞こえたマルクスの声だが、宇宙開発が始まってから四年間。
レイディアントナイツ時代から数えると七年も一緒に空を飛んできた三人にはわかる。
怖くて怖くて仕方がないのだと。
「……助けるよ。絶対に」
「当たり前だ」
気合を入れて、クラリスは左手にあるRCSコントロールスティックを握り、機体上面をコロンビアに向けたまま、コロンビアに対して90°ヨー回転させる。
そうしなければ、機首を同じ方向に向けたままでは尾翼同士が干渉してしまいドッキングモジュールが結合できないからだ。
「行くよクララ! 準備はいい?!」
「いつでも!!」
既にドッキングモジュールを取り付け終えたクララが返事をした。
その声音には、一切の不安はなかった。
頼もしい……クラリスはそう思った。
「3、2、1、今!!」
右ロールを続けるコロンビアのドッキングポートが見える寸前でコントロールスティックを押し込む。
すると機首をにあるRCSからガスが噴射され、アトランティスは後方へ動き始める。
しかしそれではただ後方へ移動するだけ。
すぐさまクラリスはスティックを下に下げ、シャトル後方を天頂側へ上げ、回転するコロンビアのドッキングポート面とアトランティスのドッキングポート面を合わせる。
非常に繊細なRCS操作が必要とされるが、オービターの操縦訓練を人一倍実施しているクラリスだからこそ、即座に実行できた。
もし、クラリスがいなければ、シミュレータ訓練を実施する為、あと数日はコロンビアの元に行けなかっただろう。
「ピッチ+0.7! 回転誤差-0.8!」
「ええいもう! 動きが重い!!」
ほんの少しの差。
しかし、これを同期させなければ、リヒターアームでは掴めない。
グラップルフィクスチャが斜めになってしまうからだ。
それを真っ直ぐにしないと正確なキャプチャーは困難を極める。
しかし……クララにとってはそんなもの、障害でもなんでもなかった。
「……クラリス、そのままで大丈夫」
「えっ?!」
「――いける」
クララはそういうとコントロールスティックを倒した。
リヒターアームは非常にゆっくりとした動きで慎重に動かしていくものだが、そんなセオリーなど知らぬと言わんばかりに早く動かしていく。
だが、徐々にコロンビアの回転の方が速いことが災いし、グラップルフィクスチャは遠ざかっていく。
「クラリス!! 回転速度を合わせろ!!」
「やってるわよ!!」
クリスが回転速度を同調させるように叫ぶが、コロンビアと違い、燃料分重い為、その分が誤差になっていた。
RCSを吹かしていくも、思ったように速度が合わない。
しかし、その甲斐あってほんの少し……ほんの少しだけグラップルフィクスチャの位置が止まった。
その一瞬を、クララは見落とさなかった。
「ここぉ!!」
止まったグラップルフィクスチャにエンドエフェクターを近づけていく。
しかし、グラップルフィクスチャはエンドエフェクターに対して斜めになっている為、機体を回転させるかフィクスチャを回転させなければならない。
簡単なのは機体を回転させてあげることだが……クララは超人的とも言える操作でリヒターアームを操作していく。
「いけぇ! ポラック!!」
「お願い!! クララ!!」
速度を維持する為、MFDに目を向けながらクララの名をクラリス達は叫んだ。
「――言ったでしょう」
その激励を受け、クララは口元を緩ませる。
「私がリヒターアームを――」
アームを前進させながら、エンドエフェクターのピッチ角とロール角を変え、グラップルフィクスチャに正対させる。
その動きはまさに、自身の腕のようにアームを操作していた。
「一番上手く使えるんだからぁぁぁぁぁ!!」
クララが叫んだその瞬間。
エンドエフェクターはグラップルフィクスチャを捕らえた。
直後、エンドエフェクター内部のワイヤーがピンを巻き取り、キャプチャーは完了した。
「キャプチャー!!」
『キャプチャーコンファーム!』
捕獲確認のコールがMCCから届き、即座にクラリスは回転を停止させるべく、RCSを吹かす。
そして、コロンビアの回転停止が確認された。
「……やった?」
「やったな……」
「……つ、疲れた」
クラリス、クリス、クララの三人が項垂れているとMCCのアイリスとコロンビアのマルクスから通信が入る。
『すごい!! すごいわ!! 三人とも!!』
『やばいの一言ですよ!! 完っ璧でした!!』
マイクの奥の方からも歓声が聞こえる。
しかし、三人はそれに応えられるほどの気力がなく、ただ一言――
「……疲れた」
と、クラリスが応えたので精一杯だった。




