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episode23 反撃

皆さま、誤字報告ありがとうございます

漢字など勉強不足で申し訳ありません・・・日々精進ですね!

 


 首脳会議がされてから15分後――


 三国が面制圧を受諾したことを確認した。



「わかりました。ありがとうございます、陛下」


『後は頼んだよ。レオン君』


「……期待に応えましょう」



 そう締めくくり、通信を切った後、ちょっと後悔した。



「なんであんなこと言っちゃうかなぁ……」


「ははっ、らしくありませんでしたね。普段でしたら「善処します」あたりで留めておいででしたでしょう?」


「まぁね。でも、ああでも言っておかないと不安にさせてしまうだろうから」


「ですね」



 自分達のやり方でことを収められる目処が立ち、少し気が楽になった。



 ――さぁ、始めようか。



「CIC、アケルリース国際空港にいるガルーダ、アークプリースト両隊に出撃命令。約30分後、トマホークが着弾次第、残存した魔物群を殲滅するよう指示を出せ」


『了解』



 CIC(戦闘指揮所)に通信し、現地にいるクリス達に即応させるように連絡を取らせた後、フィリップにミサイル攻撃の指示を出すよう目配せする。



「旗艦、アルファードより各艦へ。これより、マイフェルト型、ソレオン型、計4隻によるミサイル攻撃を行うことを決定した。各艦、ミサイル発射用意!! VLS開け!!」


 レイディアントガーデンによる魔物狩りが、始まった。










 ◆










「旗艦アルファードより、ミサイル発射命令受諾。艦首VLS8基、トマホークミサイル装填」



 ミサイル攻撃受諾により、ミサイルの発射態勢を取る為、準備を行う。



「艦隊データリンク接続。両舷停止」


「両舷停止」



 スクリューを全て止めて、慣性で進んだ後、マイフェルト、マイフェルト型二番艦:ビアステッド、ソレオン、ソレオン型二番艦:セイバスの4隻は数珠繋ぎの形で停止した。


 アルファードとゼーゲブレヒトは停止せずに、そのまま目的地を目指す。



「ミサイル装填完了。GPS照準、VLS開け!!」



 VLSを開き、ミサイル発射管を露出させ、全艦の発射準備完了を待つ。



「マイフェルト、発射準備完了」


「ビアステッド、発射準備完了」


「ソレオン、発射準備完了」


「セイバス、発射準備完了」



 4隻全ての準備が整ったと同時に、アルファード艦長のフィリップから号令が下される。



「トマホーク!発射始め!!」



 瞬間、漆黒の闇に包まれていた海に眩い光が灯った。


 それと同時に、轟音と共に舞い上がる円筒状の無数の物体が宙を舞う。


 一矢乱れぬその光の軌跡は、ただ一つの場所に向かって飛翔する。



「トマホークが発射された。着弾まで後、29分12秒」



 ――


 ――


 ――



「トマホークが発射されたぞ。後、29分でここまで来るからな」


「「「「「了解!!」」」」」



 出撃命令が下されて、空に上がった第一航空中隊と第二航空中隊は迷いの森に向けて突き進んでいた。


 音速で飛んでいるからすぐに現着したが、F-35はホバリングが可能である為、上空待機を実施していた。



「おっ? マリアとリディアだ」



 パトリシアが向いている方を見ると、偵察のために森の上空を飛ぶ、二人が見えた。



「綺麗に飛ぶな……あれで、入社4ヶ月とは驚きだ」


「そうね、特輸隊じゃなくてレイディアントナイツに入ってくれないかしら?」



 クリスとクラリスが、二人の編隊飛行を見て、驚嘆する。



「さて、後数十分で着弾だ。ガルーダ、アークプリーストの混合ではあるが、A(アルファ)隊はアケルリース、B(ブラボー)隊はエグザニティ、C(チャーリー)隊はロムルツィアへ向かってくれ」


「「「「「了解!」」」」」



 各6名ずつ、それぞれ割り振られた場所へと移動を開始する。



「超音速飛行の恩恵ですね。そうでないとすぐに現地に駆けつけることが出来ませんから」



 A(アルファ)隊、アークプリースト隊のダスティン・フォン・ヘルツェグが呟く。


 確かに、MDFSがなければ、こんな作戦はできなかっただろう。



「そうだね。でも、ミサイルがなかったらこの大群の殲滅なんて、絶望しかなかったよ」


「あはは、確かにそうだな! 俺達もスタンピードの経験があるけど、ここまで大規模なのは初めてだからな」



 ソフィアの言葉にパウルが答えた。



「あの時の魔物の数は500体程……素材回収も出来るほど余裕で倒せたけど、それが波状で来られると話は別だしね」



 パトリシアが今回のスタンピードの対応の難しさを語ると、クラリスがそれに反応する。



「私達も未経験よ。大規模侵攻も、SRB回収隊との合同作戦も」


「そうですね。ミサイル攻撃で大半を削れればいいのですが」



 ソフィアは、彼方から飛来するトマホークを思い、空を見上げた。



「……まぁ、こういうのは速攻で片付るのが一番だ」



 クリスの呟きに皆が同意するように頷いた。



 ――


 ――


 ――



「作戦に参加中の皆さん!! まもなく、空から大規模魔法が飛来します!! 直ちに安全地帯に退避して下さい!!」


「巻き込まれたくなければ下がれ!! 魔物ではなく味方の攻撃に巻き込まれて負傷など末代までの恥だぞ!!」



 偵察を終えたマリアが、ミサイルの被害想定地域からの脱出を促していると、アラン王子も共に退避を促してくれていた。



「……フィーメル。その、みさいる? というのはここまで下がらないといけないほどの威力なのか?」


「そうですね。着弾したら熱風と爆風、それに破片が飛んできますから近くにいると無事ではすまないでしょうね」


「そ、そんなものをノアセダルは持っているのか……」

 

 

  アラン王子は威力の規模を聞いて、顔を引き攣らせた。

 

 

「もちろん、試射実験をしただけで実戦使用は今回が初だそうで、しかも本来は、海上にいる魔物を相手にすることを想定して開発されたそうです」


「海……確かに海の魔物は地上と比べて大型のものが多い。それを数発でも打ち込めば……この大群も殲滅は可能だろうな」



 アラン王子は恐怖を覚えたが、同時に、ありがたいと感謝の念も抱いた。



「それに、あの魔法士達もだな。空中に静止して、みさいる攻撃後、すぐに攻撃出来るようにしているのか」


「えぇ、あの方々はレイディアントガーデンの中でトップの成績を持っている魔法士達ですから、ご安心ください」



 空にいるレイディアントナイツの面々を見て、これほど頼もしい味方もいないとマリアも感じていた。


 彼女も見学程度ではあるが、ノアセダルにて魔物討伐に参加したことがある。


 その時の手際の良さと、繊細な魔力制御による討伐に驚嘆していた。



「弾着まで後、13分です。私達も安全圏へ行きましょう」


「ああ」



 アラン王子と共に、マリアは安全圏まで後退する。


 既に、弾着まで5分を切っていた。



「ミサイルは私達の後方から来ます。丁度、森の入り口付近で爆発しますので、衝撃に備えて下さい」


「了解した」



 リディアが警告するとアラン王子が拡声魔法を使い、兵士達に警戒を促す。



『皆! これよりノアセダル王国の極大魔法が飛来する!! 爆発による衝撃波が来る為、備えよ!!』


「「「「「はっ!!」」」」」



 着弾まで1分を切る。


 既に森の入り口付近に魔物が迫ってきているのが見えた。


 木々の間から見えるだけでもかなりの数の魔物がひしめき合っている。



「あ、あんなのを吹っ飛ばせるのか?英雄殿ぐらいじゃないと無理なんじゃ……」


「あぁ……俺もそう思う」



 アケルリース王国軍兵士が、その多さに恐れを為していると、カウントダウンが始まった。



「カウント10、9、8――」



 カウントがされると、どこからか不思議な音がした。


 風を切るような……そう、まるで一年前に見たノアセダルの飛行機のような音だと、その場にいた者達は感じた。



「4、3……弾着、今!!」



 マリアのカウントダウンが終わった次の瞬間、夜が昼に変わったのかと思うような炎の光が辺りを包んだ。


 そして……直後に音と、衝撃波がやってくる。



「うぉぉぉぉ?!」


「と、とんでもねぇ……!?」



 森の入り口付近にあった木々諸共、魔物を屠ったその光が収まると、見えてきたのは燃えている木々と……呻き声を上げながらも進もうとする、背中にミサイルの破片が無数に突き刺さった瀕死状態の魔物達だった。


 その中には、同じく瀕死状態のサラマンダーも含まれている。



「あのサラマンダーの硬い鱗を貫いてる……」


「他の魔物も同様だ……放っておけばすぐに息絶えそうだが……」



 凄まじい効果を発揮したミサイルに兵士達が驚嘆していた時――


 空の戦士達が動き出した。



「オールユニット!! システム、戦闘ステータスに変更!! 認証コードAS4920!!」


「「「「「了解!」」」」」



 クリスがF-35のシステムを切り替えるよう指示を出す。



「ファイヤボール、マルチプルショット、セット」



 そう号令をかけると、魔法士達の周りに高温の炎の弾丸が「複数」生成された。


 それを見たアラン王子は驚愕した。


 そんな芸当ができるのは、この世で二人しかいないからだ。



「複数生成!? あれができるのはマーリン殿とレンだけの筈だ!!」



 アラン王子が声を上げた瞬間――



「ロックオン……全弾、ファイア!!」



 高く掲げた腕を勢いよく下ろし、生成された無数の弾丸が同時に発射され、魔物を蹂躙していく。


 しかも驚くことに、打った瞬間に次の弾丸を生成し、即座に次の目標へそれを撃ち込んでいた。



「す、すごい……これほどの実力を持っている魔法士がいたなんて……」



 アケルリース王国では、レンの名声が高く、彼こそ次代の英雄だと言われていた。


 しかし、ここに、しかも複数人も超越した実力を持つ魔法士がいることにアラン王子は驚愕した。


 だが――



「いえ、あれはこのスーツのおかげで出来ているんですよ。これを脱いだら、魔法の実力は大体、アケルリース王国高等魔法学園のAクラス相当ですね」


「な、何!?」



 今年はレンがSクラスに所属し、クラス皆に魔法を教えた影響で、他クラスどころか、王国魔法士団をも凌駕する実力を持ってしまっていた。


 それと同等の実力を持っていると思っていたがマリアがそれを否定した。



「このスーツには飛行魔法の他、魔法制御ユニットって言う魔道具が入っていて装着者の魔法力に下駄を履かせてくれるんです」


「そ、そんなことが可能なのか!? いや、実際に目の前で見たが……本当に彼らはAクラス相当なのか?」


「ええ、私が見た限りだとそうですね。ちなみにこのスーツで魔法を使う場合は認証コードが必要で――」


「マ、マリア!!」



 マリアがMDFSのことを話していたら、リディアがそれを遮った。



「どうしたのリディア? そんなに慌てて――」


「慌てるよ!! 何をペラペラとしゃべってるのさ!!」


「……あっ」



 マリアはここまで来て、自分のしでかしたことに気がついた。


 MDFSは機密の為、喋れないとつい数十分前に言ったばかりだ。



「あ、あのう……殿下? この話は……ご内密に……」


「……」


「で、できない……です……よね? ははは」


「マリアぁ……」



 リディアは顔を覆った。


 故郷が救われる可能性が高まった結果の饒舌だったが、少し……いや、かなりのことをやらかしてしまったと、マリアは後悔していた。



 ――


 ――


 ――



 そして、レイディアントナイツの魔力攻撃の補助を受けつつ、各国軍と共に魔物討伐を続け、太陽が世界を照らし始めた頃――



「魔物、魔獣の反応……無し!! 我々の勝利です!!」



 ウォォォォォォォォォ!!――



 探知魔法士の言葉を聞いて、皆、勝鬨を上げる。


 絶望的な状況から、蓋を開けてみれば、約4時間程の攻防戦であった。










 ◆










 残存する魔物群がいないことを確認し、事態が終息した。



「よかったぁ〜終わったぁ〜」



 もう、どんだけ時間がかかるだろうと思ってたわ。


 ミサイル様様ですわ、ホント。



「観測センターでも、異常は見られず、魔力溜まりもなくなっているそうです。一先ずは安心……というところですね」


「そうだな。まぁ、俺達はここからが本番なんだけど」



 何故、魔力溜まりが異常発達したのか?


 普通ならジワジワと魔力が増えていくのに今回はまるで、火山が突然噴火したようなものだ。


 それを調べていかなきゃならない。



「一先ずは大丈夫とはいうが、念のため、マイフェルト型とソレオン型の四隻はその場で待機させよう。空母二隻はこのままアケルリースに入港する」


「承知しました」



 ……まぁ、後1日は掛かるし、事態が終息したから俺はもう暇になる。


 皆には悪いが俺は寝るとしよう。



 ――多分、皆に申し訳なくて寝られないだろうが……



 ――


 ――


 ――



 そして、翌日の朝に現着した空母組の俺達は、負傷した兵士達を治療するべく動いていた。


 辺りには天幕が張られて、近くの平坦な場所にはヘリがローターを回しながら待機している。


 ……もはや、ここだけ現代の災害派遣された自衛隊的な様相となっている。



 そんな中――



「申し訳ありませんでした!!」



 俺の目の前で、土下座をしている人物がいた。


 今回、偵察に任務に出ていたマリアだ。



「いや……マリア? 合流時に戦闘に入ったことに関してはもう怒っていないから……」



 あの時は、長距離飛行後に戦闘なんかすれば、疲労で怪我をするかもしれないし、最悪、魔法が暴発して取り返しのつかないことになるかもしれない。


 そう思って、少しキツめに怒ったのだが、想像以上に怖がらせてしまったかもしれない。



「いえ! それではなくてですね……」


「ん?」



 どうも違うらしい。


 じゃあ、何に対して謝ったんだ?



「その……王子殿下にMDFSの機能のことを少し話してしまいました……」


「なんだそんなことか」



 心配して損した。



「そ、そんなこと!? 結構一大事だと思うんですが……」


「MDFSの中身を見せたわけじゃないんだろ?なら大丈夫だよ」


「そ、そんな程度なんですか? MDFSって結構な軍事機密だと思うんですが……」



 軍事機密か……


 確かにそう思っても不思議ではないが、俺はそう思っていない。


 何故なら――



「これには魔法補助機能は付いていても、魔法そのものを発動するわけじゃないしね」



 そう、MDFSは空を飛ぶことを目的に開発されており、攻撃魔法を直接行使できるようには設計していない。


 飽くまで、術者の魔法を補助するだけだ。


 例えば、作り出した炎の弾丸を、打ち出さずにその場に留めるといったことはMDFS側の魔法制御ユニットが実行している。


 なので、MDFSを装着しても術者が直接強くなるわけではない。


 それにうちは「軍」じゃないし。



「だから、特に問題ないし、そもそもこういうのは漏洩して模倣されるものだしね。遅かれ早かれ他国でも作られるよ」


「でも、模倣されたら、それに攻撃魔法を付与する国も出てきますよね? それは拙いんじゃ……」



 確かにその通りだ。


 しかし――



「それは王国連合規約違反だ。侵略行為はやってはいけないし、それに……」


「それに?」


「――ノアセダルに攻めて来るなら、俺は容赦しない」



 それこそ、トマホークミサイルをありったけ撃ち込んでやる。



「わ、わかりました……」


「……マリア、寒いの? 大丈夫?」



 なんかめっちゃ震えてるけど?



「だ、大丈夫です!! ええ! もう体調はバッチリですよ!!」


「ならよかった」



 気が張ってて、それが切れた途端に体調を崩すなんてよくあることだからな。



「じゃあ、俺は医療班の様子見てくるよ」


「はい! 行ってらっしゃいませ!!」



 ……なんか畏れられてるな。


 ついさっきまでは普通だったのに……











 ◆










「あっ、マリア! どうだった?」



 自分の天幕に戻るとリディアが声を掛けてくれた。


 謝りに行った私を心配してくれたんだろう。



「うん、大丈夫。大したことないよって言ってくれたよ」


「えっ、大したことないって言われたの!?」



 ……まぁ、これが普通の反応だよね。


 空を飛べる魔道服なんて、皆喉から手が出るほど欲しいだろうし。



「ただ……模倣されて侵略されたらどうするんですか? って興味本意で聞いたらね……」


「……なんて言ったの?」


「……容赦しないって。すごい気迫だった」



 愛国心が強いからこその言葉なんだろう。


 今回の派遣も、国王陛下からの要請で動いたって話だし。



「普段温厚な人を怒らせたらやばいって本当だね。ちょっと震えたもん、怖くて」


「へぇ……まぁ、まずはお咎めなくてよかったじゃん」


「そうなんだけど……反省はしておくわ」



 そう言って、食事を摂る為に歩いていると、前から歩いてくるとある人物が目に入った。



「殿下、ごきげんよう」


「ああ、突然の訪問すまないな」



 アケルリースの第一王子であるアラン王子だった。


 確か……王都に戻っていたはずだけどどうしたんだろう?


 ちなみに、戦闘で大怪我を負ったレンは、ルナの治療の甲斐あって一命を取り戻し、今はゼーゲブレヒトで治療中だ。



「いえ、どうかしましたか?」


「なに……少し、訪ねたい方がこちらにいると聞いてな。それで参ったのだ」


「訪ねたい方?……もしかして――」



 王族が訪ねにくるほどの人物など、私は一人しか知らない。



「ああ、レオン・アルファード殿とお会いしたいのだが、仲介を頼めるか?」



 ……ご飯、先に食べとけばよかったなぁ。

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