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みえているのは私だけ  作者: まさはる
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霊感社畜女子

日々の社畜生活で、目が疲れきっているのだろうか。

「(…あなたの肩に、なにか乗っているように見えるんですが…)」

長々と説教を続ける上司の話を受け流しながら、私は目前の映像に違和感を覚えた。

この目の前の男上司はそれに全く感じていないのか、私のミスの細かいところを、ぐだぐだと文句を言っている。

「…わかった?西園寺さん。」

「え、は、はい、すみません…」

「ちゃんと聞いてた?」

「はい…」

「じゃあもう一回、今の事、自分の口でまとめて言ってみて」

このいじわる上司!来世はもやしに転生されろ!とその細長い体を睨みつけながら言う。

「つまり、優先順位を決めてさっさと仕事しないと、この先どんどん仕事が増えて、自分の負担がどんどん増えるだけだから、もっと効率よくやれ、って事ですよね?」

「そう。分かってるならいいよ。やってね。」

「はい…」

そう言って上司の席を離れる。

上司は30代の男で彼女持ち、体格は一言で言うならもやし。名前を下村と言う。仕事効率が良く、できる上司だとは思う。思うが…

「(あの言い方、本当にむかつく!)」

他の男性社員は「あの人の怒り方は自分のためになる」とか「期待されてる気がする」とかそういった感想が多いが、女性社員にはめっぽう評判が悪い。「あんな言い方無いんじゃない?」とか「怖すぎて近寄れない」とかそういった評価を受けている。

アレに彼女がいて、私には彼氏が居ないってどういうこと!?おかしいでしょう!世の中不公平だ!そう思いながら、上司のいる席を移動し、パーテーションを一枚隔てた隣の部屋の、自分の席について、資料を作成する。

…と、ふと思い出す。あの上司の肩…

冷静に、鮮明に、ゆっくりと思い出す。あれは人の手だった。赤いマニキュアが塗られた手。下村の肩をがっしりとつかんでいた。まるでホラー映画でも見ているかのような、非現実的な違和感に、得体の知れない動物に手を舐められた時のような鳥肌と、じっとりとした不安感がつのった。

いや、きっと連日の残業で疲れてるんだ。今日のお昼は1時間しっかり休憩しよう…


翌日。その不安が晴れることはなかった。

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