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始の章―イマジネーション―  作者: 風純蓮
過程の話―虚ろなる現世―
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見るべき現実

 俺の反応から着信には気を使うようにしたか、電話をかけると2コールほどで吉良が出た。

「もしもーし?」

 緊張感の無い声、つまりいつも通りの吉良だ。

「おう、月宮だ。今どこにいる?」

「繁華街だよ」

「今からお前と合流したい。本屋の前で待っててくれないか」

「分かった、1分以内ね」

「10分は掛かるからなっ」


 ――そうして何とか吉良と合流できたのはいいが、さてどうしようか。

 冬木から、探りを入れたこと以外なら吉良に話しても良いと聞いている。この際だ、全て話してしまおう。

「吉良、真面目な話がある」

「なーにー?」

 真面目だっつってんだろうがっ。

「今回の事件、犯人が分かったかもしれない」

「……」

 ようやく吉良の態度が変わった。飄々としたいつもの雰囲気とは一転し、そっぽを向いていたところを俺のほうへ向き直る。

「結論から言って。誰?」

「……お前のお父さん」

「……冗談でしょ?」

「俺は嘘を言うのが苦手だって知ってるよな?」

 それこそ嘘だが。

「……うん。でもどうして? 何で私のお父さんが?」

「お前、ここ最近なにか記憶が抜けてないか?」

「抜けてる?」

「何て言えばいい……1日の中で空白の時間がなかったか?」

「――あぁ、そういえばあった気がするよ」

 やっぱりな。

「どんなときだ?」

「最近だと、納涼祭りのときが激しかったかな。あと私、昨日の夜にトイレに起きた気がするんだけど……あれ? 私、何してたんだろ……」

 吉良までもが混乱し始める。

「とりあえず落ち着け、深呼吸するんだ」

「いいよ、そんなの。それより続きを話して」

「――お前は恐らく、父親からマインドコントロールを受けていたんだ。それも神楽よりは遥かに強力なやつをな」

「そんな証拠が何処に……」

「冬木の話だ」

「……」

 冬木がもたらす情報の正確性は、何れのマスコミより現実味があって信憑性がある。碌なことを喋らないジャーナリストと共に碌なことを放送しないマスゴミと比べるのが悪いかもしれないが、とにかく冬木の話は確実である。たとえ話の根拠が不明でも、それは誰よりも吉良が一番分かっているはずだ。

「でも、お父さんが超能力者だ何て聞いたことないよ……?」

 段々と吉良の声に元気が無くなっていく。そりゃそうか。だがここは現実を見せてやらねば。慰めなんて後で幾らでもできる。やっぱり現実逃避はするだけ無駄だし、寧ろ損のほうが多いんだ。

「――現実を見ろ、吉良。俺もお前に襲われた時はどうかしてると思ったものだけどよ、その時の記憶がお前には無いんだろ? さっき俺がお前に辛く当たっていたのもその所為だ」

「……」

 ――暫し沈黙。

「……図らずも反抗期、かぁ」

「?」

「私ね、今まで親に反抗したこと無かったんだよ。親が私に尽くしてくれてるって、よく分かってたからね。言葉にはしてないけど、感謝してるんだ。そんな優しい人なんだから、ちょっと遅めの第一反抗期くらい許してくれるよね?」

「許してくれるだろそりゃ」

「――そっか。じゃあ沙耶と青松ちゃんの手がかり、はやく見つけないとね」

「それには及びませんよ」

「!?」

 いつの間にか冬木がいた。

「まったく、心臓に悪い登場の仕方しやがって」

「すみませんね、気配を消すのは得意なんですよ」

 流石スパイだわ。

「神楽さんと青松ちゃんの居場所なのですが、私に心当たりがございます。お迎えの車を準備致しますので、暫くお待ち下さい。あぁ、捜索を依頼した方々には捜索中止との旨を報せておいてください。これは一般人を巻き込んではいけない事件になるかも知れませんので」

「?」

「?」

 そう言って一度吉良家に戻り、冬木が運転する自家用車に揺られること1時間強が経過して。

 辿り着いた場所は、吉良の別荘だった。

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