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始の章―イマジネーション―  作者: 風純蓮
開始の話―異界冒険譚―
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神楽消失

 結論、めんどくさかった。この一言に尽きるだろう。

 あの後いそいで家に戻った俺は、桐嶋さんに言われたとおりの内容で冬木と練習した――本人曰く"見せ技"とやらを利用し、親とご対面。わざと物音を立ててリビングに入るや、すかさず親が2人揃って出てきた。真っ先に泣いて飛んできたのが妹だったのは意外だが、まあその後の五月蝿いこと五月蝿いこと。演技こそやり通せたものの、3人がかりで休む間もなく説教というのは、演技でなくても疲弊するので思わず途中で抜け出してきた。久し振りの自室に安堵する。ベッドに寝転がるや傍らに置かれているジュースを見て、また何かの拍子に飛ばされないようにと細心の注意を払うことに。全く、何が楽しくて警戒しながら自室に入らないといけないのやら。

 あと念のため吉良と連絡を取ったが、神楽は既に帰っており、しばらくは安全だろうとのこと。ならば今度は警察である。未だ俺は行方不明になっているのだから、一応姿を現しておいた。



 学校には翌朝から向かうことになり、意外にも俺が行方を晦ませていたことには誰も突っ込んで来なかった。お陰で余計な気苦労が減る、こういうときにボッチだと楽なんだよなぁ。

 さて、俺は今日から本格的に行動を開始する。何の? 決まっている。この世界と、俺たちが飛んでった異世界とを確実にコネクトさせる手法を探すことだ。十中八九、あのグランツという男がやりやがったであろう今の事態。最終的な目標は、ノエルたちを元の世界へ返すこと。図らずもグランツによりこちらへ戻ってこれたのは良いが、ノエルたちまで居ては元も子もない。あちらとこちらでは時間の流れが殆ど同じらしいので、事件解決に望ましい期間は凡そ1ヶ月となる。


 だが、俺達は新たな問題に直面していた。どういうわけか――この期に及んで神楽の姿を見ないのである。


「……」

 今は町中のカフェテリアに来ている。面子は吉良と冬木で、話の内容は勿論、神楽がいなくなった理由について。

「まるで刑事ドラマですね」

「ホントだわ」

 神楽は、学校には来ていた。放課後に「吉良の家に集合な」と約束だけして別れて以来、彼女は行方を晦ませている。もちろん電話もメールも応答せず、家にかけても誰も出ない。冬木が直接訪ねに行ったそうだが、虚しく呼び鈴が鳴るだけだったという。

「あいつ、いなくなるまで何してたんだ?」

「校門の前で友達と喋ってるのは見たけど……そっからは知らないや」

 つまり、ここに居る3人は誰も行方を知らない。そして推理するにも、情報が少なすぎる。

「典型的ではありますが、目撃証言を集めるのがよいでしょうね。里美様、その友達の方々が誰か、ご存知ですか?」

「一応ね。みんな私と同じ中学の子だったから、アルバムでも見れば分かるんじゃないかな。見せてあげようか?」

「……」

 さすがに他人のアルバムを易々と見るのはどうなんだ。

「いや、悪いけどここはお前に任せたい」

 話の間に割って入る。

「俺は俺で幾つかアテがあるから、別行動でどう?」

「あ、ホント? じゃあそっちでもよろしく」

「おう、任せとけ」

 ――こうして俺らは、神楽の目撃証言を集めることになった。

 今日は既に放課後なので、初対面となる相手を探すのは難しい。明日にでもアテを何人か尋ねることにした。

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