協定?
ヤバイヤバイ、何で俺、学校なんかに来たんだよ!? 教室に入れば確実に見られるだろ!
「華乱様? 数名華乱様を見ている方がいらっしゃいますが、お知り合いですか?」
「知り合いが居るはずない、てか見られるだろ話すなよ」
多分、クラスの奴らだろう。
「いえ、私は心精霊を持っている方にしか認識できないので」
ローズが認識されないということは俺は独り言をぶつぶつ呟いているおかしなやつだ。
ローズに話しかけるのはやめ、話を聞くだけにした。
「お〜華乱様、アージュ見つけましたよ。屋上です屋上!」
屋上? 立ち入り禁止のはずじゃ……
屋上に目をやると、出口の屋根にこの学校の制服を着た女の子が立っている。
はぁ!? 何してんのあいつ!
屋上への扉は鍵が外れていた。
外へと出ると後ろから声がする。
「華乱、来るとは思わなかったけど何でここに来たの?」
「何でって、お前が呼んだんだろうが……」
「えっ!? 私呼んでたんだ、そっか、何話そうとしてたんだろ?」
こいつどうなってんだよ、とぼけてるのか?にしては自然すぎるよな。
アージュは何も思い出せないのか考え込んでいる。
よく見ると名札が付いている。
境井……
「それって本名?」
「えっ? あぁ、うん、本名の苗字だよ? この学校の制服変わってるよね何か」
そうか? そういえば異世界で会った時アージュは何処かの制服を着ていた気がする。
「普段着は?」
「私の学校の制服、あ、そうそう、私と協力して勝ち抜かない?」
「何で? これって最終的に仲間割れになるだろ、そんな危険なものをチーム組むなんてできるはず……」
アージュは屋根からこちらに飛び降りた。
「何でって、私の目的はあの世界のトップじゃないから。ただ監視するだけが目的なんだよ?」
「監視する? 何を?」
「殺し合いをだよ、ある特定の人物だけ私は止めに入らないといけないの。他にも数名私と同じ目的の人がいるんだけどね」
華乱が疑いの眼差しを向けるのでアージュは声を上げた。
「わ、忘れっぽい私でもメモぐらい取ってるから間違いないよ!?」
「協定……まぁ、それなら結んでもいいけど、俺のやり方に口出しするなよ?」
アージュは頷く。
別に俺は支配者になるつもりなんて全くないんだけどな……けど、ローズの人間化を見てみたい!
「華乱……女好きってあだ名の人に似てる」
「女好き!? どんなあだ名だよ!」
「えへへ、じゃあ今夜異世界の方でね」
手を振って階段を降りていった。
「何だあいつ」
「アージュはそういう仕事をしてるらしいんだよ、ぼくも詳しくは知らないけど」
真横から聞き覚えのある声がして振り向く。
「フォックス……何で自立してんの」