夢じゃない
「ふぁ〜……ん?……」
俺はどうやら端末で現実に戻ってきたみたいだ。家のベッドで目覚める形になっているが、そばには向こうの世界で手に入れたものが置いてあるので夢ではなかったのだろう……夢じゃない?
「わっ!? お、俺人殺したよな!? どどどうしよう」
華乱は声を張り上げたので、一階の方から親に「うるさいわよ!」と注意を受けてしまった。
その注意で少し落ち着きを取り戻す。
ポケットに手が当たると、中に硬い板のようなものが入っている感じがして取り出すと、透明な板が出てきた。
ここでも呼び出せるのか?
「ローズ出て来い」
板が光り、板の上にシルエットが立体的に出てくる。もじもじしたウサギが。
「は、はい……何でしょう? あの……こちらの世界では私映像としてしか存在できないので質問にしか答えられませんよ?」
「お、俺って人殺したよな?」
「ええ、殺されましたがアレはこちらの世界の方ではないですし、人殺しの罪を着せられる心配は全くないですよ? 参加している方なら誰を殺しても……」
当たり前のようにそう説明するローズを見て華乱は寒気を感じた。それは、相手がウサギという事もあり言葉が更に不気味に感じたからでもある。
ウサギって本当キャラクターにすると不気味だよな……特に可愛らしいやつほど血を浴びた姿にすると怖い。
「あ、そうだ。アージュが言った通り行った方がいいのか?」
ローズは戸惑っているのか顔をいろんな方向に向けて考えている。そのたび耳が揺れる。
「か、華乱様の通っていらっしゃる学校に居るのはほ、本当の事みたいですし……ですが参加なされている方にはこちらでも警戒した方が良いと思います。アージュには会ってみるのは良いかと」
俺は決心をつけ学校へ行く身支度をすませる。端末を持ち家を飛び出して学校へ向かう。
「本当にニートなんですね、お母様驚いていましたし」