アップ
華乱はフォックスらしき人を見て唖然としている。
「えっ!? これ……フォックス? 何でイケメンがいるの?」
「精霊が小さいままだと主人を手助けできないだろう?」
「って事は俺のローズも人になれるのかよ?」
フォックスは頷く。
ローズの方は頭を横に振っていた。
何だ……この食い違いは。なれるのかなれないのかどっちだよ、おい。
「え、えと、華乱様。人の姿になるには最低二個の水晶が必要です。多ければ多いほど人の姿で長くいられます」
「マジで!? 二つか……」
これはこれは……ローズの見た目にも期待できるんじゃ?
そんな事を考えていると、二つの冷たい視線を感じる。フォックスとアージュの方からだ。
「呆れる……華乱って名前が似てるだけあってあの女好きの狐と似てる」
「アージュに手を出したらどうなるかわかってんだろうな?」
アージュの敬語が消えた。フォックスにも鋭い目つきで睨まれる。
こいつらカップルみたいな事言いやがって。
「アージュさん? 敬語は?」
「敬語? 私、普段の言葉づかいに戻しただけだよ? ニートの華乱に敬語は勿体ないかな?って。ほら、早く武器選ぼうよ?」
「は、はい……」
剣と刀を腰の鞘に収める。
「よしっそれでどうすれば……?」
「……時間だし、もう現実に戻った方がいいと思うよ?」
「戻る? どうやって?」
「端末の機能にあるから、タッチパネルで操作すれば帰れるし入ってこられるよ」
アージュは板を取り出しパネルを操作する。
「あ、そうそう。今日は学校に来てね? 私もいるからさ」
「へっ?」
頭が理解する前にアージュは光に包まれて消えてしまった。