ケルベロスとオルトロス
一日中ゴロゴロしながら書いてみました、少し強引ながらもレオの手持ちの切り札を増やしたかったのでご了承ください。
※よく考えたら本日二度目の更新でございます。(二十時間の差がありますが)
どうしてこうなった……在り来りな言葉ではあるが言わずにはいられない。
俺達は今「エキドナ神殿」というダンジョンに来ている……理由としては近かったということ、ゲームの時はシルバーウルフの山の近くにも関わらず適正レベルが違いすぎた為に後々ぐるりと世界一周してから入るようなダンジョンだった。
しかし既に初めからカンストしていた事もあり俺達はここで次なるボスモンスターを倒すべくやってきたのだった。
この「エキドナ神殿」の事簡単に説明すればボスラッシュモードとでも言うぐらいボスモンスターがたくさんいる、群れで行動自体はしていないが閉じられた部屋に必ず一体ずつ配置されており、種類も複数居て形態変化の素材集めには持って来いの場所だった。
「それにしてもリリは無謀だね、こんなとこキチンとパーティを組んで入らないと駄目じゃないか、今回は俺がたまたまここに居たから良かったけど、次からどこかに行きたかったら必ず俺に相談してくれよな」
なんでお前がここにいるんだ、タイチ。
なんかいきなり現れてこの間の事は驚いたけど許してやるからパーティ組めよ的な流れから今に至る、かなり強引だったがこいつはそれが頭がおかしい行動だとは思っていないらしく自信満々にリリを自分のハーレムメンバーであるかのように振舞ったのである。
『ホームに帰りたい』
「五十四回目」
『出直してもいいと思うんだよな、ここのモンスターは個室にボスモンスターが一体ずつしかいないし、別にこいつらの手を借りなくてもいいと思うんだが』
そしてその個室は無限にあるといっても過言ではないほどだ、まず最初の大広間から長い廊下を進みその廊下の左右に三十メートル感覚に一つずつ個室があり、その個室の中にある奥に進む扉か下に下る階段を進み別の個室へと進む構造になっていて未だ最奥と呼ばれる場所にたどり着いたものはいないというのだから。
なお、最奥には場所の名前にもなっているエキドナが待ち構えているとも言われるが――――運営はそこまで作っていないとバラしたので攻略はろくに進んでいなかったがこちらは運営の介していない現実なので実際はいるのでは? という謎を解明すべくタイチたちはやってきたらしい。
「情報によればこの扉の奥から下奥奥下下奥下奥奥の順を十回繰り返すとエキドナがいる最奥に辿りつくらしい」
どこから買ってきたのか謎情報を取り出したタイチがおもむろに扉を開く。
「止めはそのモンスターにやらせればリリはいいんだろう? そいつはボスを倒せば倒すほど強くなるタイプのモンスターなんだろう、情報屋で聞いたんだがたまにそう言うレア物がいるらしいな、リリはそれだけ凄い獣使いだってことだ、今回は道中リリを最強にしつつエキドナ戦では頑張ってもらうつもりだからよろしく!」
そう言ってさり気なくリリの肩に腕を回そうとするタイチの間に割って入り阻止する、横から「チッ」とか「邪魔な契約獣め」とか聞こえる、一応リリに聞こえないように言っているらしいが俺に聞こえた時点だアウトだ。
こいつの言う通り程よく強くなったらこいつら途中で倒そうと――――俺はここで誓うのであった。
ギィーとかゴゴゴとかいう音もなくスゥーと簡単に開いた扉の中にはそこそこ広いスペースがありその奥の壁際には下に続く階段のような窪みがありその手前に奴は居た。
「三つ首の番犬……この先は地獄とでも言ってるつもりか、上等だやるぞみんな!」
その掛け声に合わせ奴のハーレムは動き出したが俺とリリは少し出遅れる、少しでもこいつの命令に従っていないというポーズを取っておかないとタイチは付け上がるだろうからな。
雄叫びをあげながら三つ首の番犬――――ケルベロスへと立ち向かってい、対するケルベロスはといえば寝起きなのか三つ首とも欠伸をしながら重い腰を上げた。
「遅い!」
タイチの放つ銃弾がケルベロスの前足を襲い氷漬けにして地面に縫い付ける。
ケルベロスはそれに驚きもがき逃れようとするが――――続いてタイチはケルベロスに背中を見せる、日輪の盾を背負ったその背を。
「サークルオブサン!」
本来防御のためのスキルであるはずのそれを、激しい日光を放ち、目潰しに使った、光属性である日光は闇属性を有するケルベロスには効果的な手だ、現にケルベロスは狂い悶え涎を撒き散らす。
ダメージ的には一割も減らしていないんだがな……後はシャラサとミミルがチビチビ削っていくだけ、タイチは日光を出し続けレナに至っては棒立ちでやることなさそうにしている
そんな作業ゲーを続けること五分……ようやく俺たちの出番らしい。
「リリッ! いまだ!」
あいつに命令されてやるのは癪だが。
『リリ、「金剛怪力」で頼む』
「ストロングパワー、デュアル、ストロングパワー!」
四倍力、少し力みすぎて動きが鈍るが身動きの取れない相手にはこれぐらいで丁度いい。
俺はケルベロスの元まで歩み寄ると「|グァルガァルルグァフ《お前のモフモフ俺が貰い受ける》!」と囁き、両脇の首二つを前足の怪力で叩き潰し――――真ん中の首筋へと牙を突き立て一気に噛み砕いた。
言うほどケルベロスにモフモフ成分はない所々蛇の鱗というか蛇が生えてる部分もある、が……リリはそういう部分も含めて気に入ったらしく「あぁ、鱗かぁ現実じゃ触ったことないんだよね」と今からウズウズしていた。
故に俺はこいつを完全に取り込まねばならない、首を引っこ抜き血まみれになりながらも体をひっくり返して爪で体を切り裂き、開いて骨を砕き剥き出しになった心臓を一呑み――――馬鹿の一つ覚えというやつだ。
ゲーム時の光を吸い込み取り入れる方法では上辺しか吸収出来ない気がするのだ……が、何度やっても慣れないな生肉、それも内蔵を飲み込むっていうのは、ぬるぬるしてて飲みやすくもあるが後に血がべっとりと残る感じこれ以上の表現は自粛するがこのダンジョンで俺は後いくつの心臓を飲み込むのだろうか。
そんな事を考えていたらふと頭の中に、念話のような物が聞こえた。
『……雄……ろ……し――――』
聞き取れないほど微かな声だが念話である以上リリにも聞こえたかと首をひねってリリの方を見るがまるで気がついた様子もない。
気のせいかと思ったその場では気にしないことにした。
「エレメンタルヒール:アクア!」
空中に水の塊を作ったレナはそれを俺に浴びせて血を洗い流してくれた。
そしてシャラサやミミルがタオルで拭って残った血と水分を拭き取ってくれる……どうやらタイチに言われた訳ではなく率先してやってくれているらしい、この前血まみれで帰った俺たちが気になっていたらしい。
「あ、ありがとう」
リリが代わりに三人にお礼を言って頭を下げるので俺も頭を下げておく。
「どういてしまして、でも俺達は仲間なんだから当然だろう?」
露骨なまでに仲間アピールをしてくるタイチ……俺達はレナ達に礼を言ったんだが、伝わっていないようだ。
「さて次の部屋に向かおう!」
レベル差ってのもあるだろうがさっきのケルベロスは弱かった、この先もこの弱さなら楽勝だろうが果たして一日でどこまで進めるのやら、昼前にダンジョンに入ったとはいえ既に昼は過ぎてるはずでこのままダンジョンで寝泊まりする予定だとか、せっかく家があるのに野宿とは奴がリリに手を出してこないか不安である……リリ可愛いもんな、もしあいつが夜這いでもしよう物なら全力で殺すだけだ――――英雄殺すべし!
下の階には階段を降りてすぐにそばに新たな扉がありそれを開くと先ほどより少し広めの所に出た。中で待っていたボスは先ほどのケルベロスの弟とされている二頭犬だった。
そしてこの階層での戦いはタイチの号令――――ではなくオルトロスの猛突進によって開始した。
「いくぞみん――――なぁああ!?」
突如立ち上がり助走もなく一瞬にして最高スピードに達したかと思われるオルトロスはただひたすら真っ直ぐに俺の元へと走ってくる。
あまりの速さに対応しきれずそのまま張り倒されてる俺の上に乗りかかったオルトロスの双頭が顎を開きそれを一気に俺の首筋に振り下ろす。
喰われる――――と思い目を閉じ歯を食いしばったがいつまで経っても痛みは来ず、恐る恐る目を開けると双頭が俺の頭を挟むように顔を突き出し、俺の耳元で確かに囁いた。
『英雄を許すな、英雄を殺せ……奴らに与するもの全てを破壊せよ』
英雄――――その言葉を聞いた瞬間様々な情景が脳裏に思い浮かんだ……それはあらゆる殺意、殺し殺される場面、人外の化物として、時には神、時には人の敵として倒されてきたものの末路だった。
『……何のことだ?』
耳元で囁かれたにも関わらず言葉自体は念話のように頭に入ってきたので俺はつい念話で返そうとしたが、俺の念話はリリにしか通じないものだったのでリリが「え?」と呟くだけだった。
そしてオルトロスは風になって消えてしまった――――正確には俺の中に吸収されたのだが他のやつには消えたように見えたらしい。
「今日はここで休もう」
タイチがそう言うと俺とリリはタイチ達が陣取った部屋の隅と反対側隅に陣取った。
最初はとやかく言ってきていたがリリが俺のケアをしなければならないと言って拒否したため引き下がった……ま、「チッ契約獣風情が」とかいう呟きが聞こえたんだけど。
『それで、結局オルトロスはどうなっちゃったの?』
俺の毛づくろいをしながらリリが念話で聞いてきた。
『ああ、恐らく俺の中に取り込まれた……かな、ただ英雄を殺せと言われた……たぶんタイチの事だろうな、前からあいつのことはいけ好かなかったが今じゃそれも前にも増して明確な殺意というものになっている、俺はたぶんあいつがリリにちょっかいを出したら迷うことなくやつを殺すだろう』
隠しだてして心配させるよりも今は素直に話しておこう。
『そうなの? もしかしてケルベロスの時も?』
『……そうだな、確かにケルベロスの時も似たような何かが聞こえたが恐らく同じものだろう』
あの時はきちんと聞いてやれなかったがケルベロスが俺と同化したことによって弟の言葉をしっかりと聞けたのだろう、別に叶えてやれないことじゃない……俺にとって大切なのは全てリリだけだ、その他がどうなろうと知ったことじゃない。
『それじゃあこの先ももしかしたらあんな風に倒さず吸収出来るのかな?』
『わからない、ただこの先ずっと進んだ先で必ず俺は英雄を殺す、そんな予感がするんだ』
今に思えばこちらの世界にやってきてからは殺した命と言えば雑魚モンスター程度だ、同じ元から住み着いているネイティブですら人の形をしているものは殺すのは躊躇われていた。
しかしだ今は違う、ケルベロス達に乗せられているだけかもしれないが、明確に同じプレイヤーであるタイチを殺すと決めている。
殺したところで復活はするのだが、二度と俺たちに近づかないよう徹底して叩きのめす……俺はそうここに改めて誓いこの日は眠りに就いた、リリも気づいたら寝てたので彼女を守るように翼を広げ包み込むようにして眠った。
タイチたちはこっちが寝たのを確認したあとお楽しみだったらしくしばらく騒いでいたが、三人が寝静まった後も元気なタイチがこちらへと夜這いに来たので寝返りを打つフリをしてタイチを部屋の隅の壁まで吹っ飛ばしてやった、壁に激突して気を失ったようなので追い打ちはかけなかったが、今度来たら必ず倒す!
【名前】レオウルフ
【種族】合成獣(獅子・梟・狼)
【職業】神獣
【性別】オス
【所属】リリの契約獣
【スキル】
主従念話
【アビリティ】
形態変化(分岐派生)
神山狼形態/火山狼形態/氷山狼形態
三頭犬形態/双頭犬形態
三つ頭の番犬もしくは双頭の犬となる。派生があり、犬科の首ならば代わりに生やすことができる。
神化(付加)
硬質化(付加)
透過(付加・非戦闘)
狂化(付加・戦闘/操作不可)
自動回復(最大/常時)
【名前】リリ
【種族】人間
【職業】獣使い
【性別】女
【所属】レオウルフの主
【スキル】
ブレイズクロー(付加・炎/爪)
サンダークロー(付加・雷/爪)
ゲイルウィング(付加・風/翼)
ブリザードウィング(付加・氷/翼)
グランドインパクト(付加・土/足)
アイアンインパクト(付加・鋼/足)
ウォーターテイル(付加・水/尾)
アイビーテイル(付加・木/尾)
クイックスピード(補助・速度上昇)
ストロングパワー(補助・馬力上昇)
ハードガード(補助・防御上昇)
デュアル(補助・二重)
ヒーリングキュア(瞬間治癒)
ヒーリングフィールド(瞬間治癒/広範囲、遠距離)
デスヒール(即時復活)
【アビリティ】
コンボ(職業固有)
危険予知(種族固有)
直感(職業固有/常時)
【名前】タイチ
【種族】勇者人
【職業】二種使い(剣・銃)
【性別】男
【所属】円卓聖騎士団・団長
【スキル】
飛炎龍(遠距離)
フォースオブガイア(力上昇)
氷狼陣(中距離)
フェンリルハウル(威圧)
コキュートスバレット(遠距離)
オメガブラスター(高火力)
サークルオブサン(防御)
【アビリティ】
魅了(常時)
指揮(常時)
【名前】レナ
【種族】エルフ
【職業】精霊治癒師
【性別】女
【所属】タイチハーレム
【スキル】
エレメンタルヒール:アクア(持続治癒)
エレメンタルヒール:フレア(瞬間治癒)
エレメンタルヒール:ゲイル(瞬間治癒)
エレメンタルヒール:ガイア(持続治癒)
【アビリティ】
従順(常時)
精霊の加護(常時)
【名前】シャラサ
【種族】ダークエルフ
【職業】近接弓使い
【性別】女
【所属】タイチハーレム
【スキル】
零距離弓矢ゼロアロー(近接)
刃弓斬(近接)
ローキック(近接格闘)
股潰し(近接格闘/男性専用)
【アビリティ】
従順(常時)
遠視力(常時)
【名前】ミミル
【種族】猫獣人(雑種)
【職業】斧使い
【性別】女
【所属】タイチハーレム
【スキル】
斧投げ(遠距離)
薪割り(近接)
斧盾(防御)
【アビリティ】
従順(常時)
危険察知(常時)
暗視(常時)
発情(任意)