死に戻りゴールイン、そして幼女爆誕
最近忙しい上に、なんかちょっと私情で更新できなくなる可能性も浮上、いやエタる気はないんで安心してくださいね。
この世界に来てから初めて飛行した気がする……もうじき帰り着くという段階でこの事実に気づき、同時に飛べているという感覚に妙な高揚感を覚えた俺はアクロバット飛行なんかを少しやってはしゃいでいた。
今にして思えば、そんなことさえしていなけれこんなことにならなかったんだと思う……帰り着きはしたけど、こんな帰り方はダメだろう。
俺はこの世界に来て二度目の死に戻りを体験した、死霊転生を発動する暇さえもなく一瞬で大空に散った。
それはアイノスまで残り十キロという距離のところで起こった、最初はなんだかわからなかったのだが毛皮に走る一筋の赤い線、そこから染み出た血を見てようやく攻撃されていると分かったぐらいだ。
レベル差ダメージ補正……痛みがなかったから気づくのが遅れたか、しかし俺が居るのは地上から離れた遥か上空、魔法や銃火器などで届くはずのない攻撃だった。
眼下には森が広がっており恐らくはそこから仕掛けてきているのだとは思う、しかしどうやって?
その答えはすぐに分かった。
俺の右目を光が貫く――――なるほど、光線か……でも妙だな光線なんてこの世界で使えるやつなんているのか?
過去にコラボした別ゲーであればまだ分かるが……その時のコラボ武器が光線銃だった気もするが俺を傷つけるだけの威力があるものではなかったはずだ。
コラボ武器ではなく、現物……そのコラボしたゲーム世界の本来の威力が出せる武器――――あるとすればその世界から武器ごと召喚でもされなければないだろう。
しかしその可能性は高いんだよな……あの腹筋女神、全ての力を司る女神故に、他の世界の力をしばしばこの世界に引き込むという設定があったはずだ。
テュポーン父さんやエキドナ母さんあたりもその関係でこっちに引き込まれたらしいし。
なんにせよ、あの森の中から狙ってきているのなら次の攻撃を待たないとどこにいるか分からないな……ま、森ごと焼き払うけど。
属性を火に変化させ異界化を発動させ全てを焼き尽くそうとスキルを宣言しようとしたその瞬間――――森の中から極太の光の柱が放たれた。
咄嗟の事に慌てて躱そうとするも、下半身が光に包まれて蒸発した、肉が焼ける匂いと日焼け下かのようなヒリヒリとした痛みが傷口を覆う。
『欠損か、今の俺ならこの程度訳はないがウルは死亡判定か……傷口が焼けて再生はできないか獅子頭の鳥ってのもなんかいた気がするししばらくこのままでもいいか?』
などと呑気に構えていたら、下の方から声が聞こえてきた。
「落ちよ、落ちよ天よ、星よ、月よ、太陽よ、鳥よ、竜をも落とせしその一撃……メテオブレイカー!」
は……? どっかで聞いた事のある詠唱呪文、無論このゲームにはスキル宣言はあれど詠唱呪文など存在しない、いや確かにメテオブレイカーというスキルはこの世界にも存在するだろう。
――――対星攻撃呪文メテオブレイカー、とあるゲームとのコラボで実装された威力はコラボスキル故にそこまでないがエフェクトはこのゲームでは随一のド派手なものだ。
それが今、詠唱を用いて発動されたつまりコラボではなく本物の威力であると……そのゲームを実際に俺はプレイした事はあるっちゃあるがメテオブレイカーなんて使えるほどやりこんではいない、噂に聞くと巨大なクレーターが出来上がって発動した地域を含めた近隣のフィールドが数十という単位でしばらく使用不能になるんだとか。
そんなもん誰が使うのかと思ったが地表に落とさず、空中に居るモンスターに当てればそこで大爆発……何故か地表ほどの威力は出ないという。
つまり受けるしかないのだ、この距離で地表に落とせば空に浮いているとは言えアイノスもただでは済まないのだから。
俺の頭上には巨大な隕石が迫ってきているこの分ならば衝突まで一分もかかるまい、ならば賭けに出よう。
『フェニックス』
属性を火と光、姿をサンダーバードにし擬似フェニックスとなりあの隕石に体当たりするために翼を広げ舞い上がる――――しかし如何せん変化の時間も考慮すべきだった舞い上がって一メートルもしないうちに隕石と接触、俺は灰すら残さす消滅した……。
原理は分からないが、一瞬だった衝撃もなく痛みもない、火と光にしていたからか熱さも感じはしなかったが、体を精霊化させていなかったから滅んだ扱いになったのだと思う。
そんなわけで俺は無事? アイノスに死に戻りした……怪我の功名というべきか、死に戻ったおかげで早く帰れたし、特に落としてきたアイテムも無いようだったので良かったが狼だけが死亡判定となってしまったので俺は今頭と体は獅子で前足と翼は梟、……出来損ないのグリフォンみたいな感じになっている、頭も梟だったらグリフォン亜種みたいな感じか、でも獅子こそ俺の顔っていう気持ちもあるからな。
二度目なだけあって知らない天井だとも言えないが、とにかく死に戻って意識が戻ったらリリが泣きついていたりした、その後ろには妙にデカくなった卵を抱えるクマメイドが控えていた。
『あー……えっとただいま?』
とりあえず挨拶から始めて見たが反応はない、相変わらずタテガミのおかげで苦しくないがリリは力の限り俺の首に抱きついて絞めにかかっている。
もう二度と離さない的なそれはもう熱烈な、これが愛情表現なんですかね?
「……して」
何か囁かれたような……少し反応を待ってみよう。
「……け……んして」
頭と後半は聞こえたけど意味は分からない、俺は意を決して聞いてみることにした。
『すまない、聞き取れないんだけど』
「だからっ! 結婚して!」
は……? である、最近よく思うよな、耳を疑いたくなるっていうか真実を飲み込めない感じっていうか?
死に戻って彼女の第一声が結婚してだったりする場合、男性側としては死に戻っての情けなさとプロポーズを女性側にさせた情けなさ的なダブルパンチでしばらく寝込んでしまいそうです。
『……はい?』
おっとイエス的な『はい』のつもりが語尾が疑問形になった、落ち着け俺……状況を整理しろ。
まず俺はリリを拠点に戻して一人で戦いに行った、そんで粗方片付けたから帰ろうとしたら奇襲にあって死に戻った、こんな感じか。
ではリリから見たら? まず俺の言う通り拠点に帰った、数日俺の無事を多分祈りながら待ってたかもしれない、そんなところに俺が死に戻ってきた。
当然心配する、というか一度死んだんだから泣く……だろうか、だろうな。
――――それが結婚にどう繋がるのか……とにかく返事をし直さねば。
『えっと、そうじゃなくてな。……俺からも頼むよ、リリ……俺と結婚してくれないか?』
おう、これならいくらか気が楽になった、もしかしたらリリの一瞬の気の迷い……いや子供っていうか卵までこしらえたからそれはないだろうが、いきなり結婚だからなもう一度その言葉の意味を考えさせるのも大事だ。
別に俺だってしたくないわけじゃないんだし。
「うん! よろこんでっ」
やっと笑顔になったリリ……良かった、これで――――この後めちゃくちゃモフモフされた!
気が動転したね、やっと解放されるかと思えばプロポーズ後にプロレスみたいなプロセス? いやプロミスかもしれない、とにかく撫での達人によってキレイに隅々まで毛繕いをされた俺はリリに連れられて、復活ポイントであるマイホームから外に出た。
そこには白くておっきな教会が建ってた……いつの間に建てたのか、リリの方を見るとニコニコしてた。
恐らくこれは計画的犯行、既成事実をより強固にするための秘策……!
そもそも四聖獣ダンジョンの際にやたらあっさり引き下がったと思ったがこういう事だったのか、計画は既にあの時から始まっていたのかもしれない……下手をすれば卵、いやそれ以前に契約する前から?
考えれば考えるだけ背筋が凍るような気がする、俺は考えることを辞めた。
アニマルメイド達によるファンファーレが響き渡る、俺とリリはなんか赤い絨毯の上を並んで歩いていた、俺の姿は白獅子頭、白鳥の翼、白熊の体に白蛇の尾という新生キメラでリリは何故か俺の倉庫の中に入っていたウエディングアバター……そしてその後ろから、足の生えた卵がついて来ていた。……スルーしておこう。
客席っていうのか座席っていうのか知らないが絨毯の横に設置された椅子には多数のアニマルメイド達が参列し、牧師役はクマメイドだ。
こういうのには疎いんだけど、なんか作法でもあるのかね?
とりあえずクマメイドの前まで歩いて来るとそこで止ま……卵が俺にぶつかって止まる、どうやら前は見えていないらしい。
「がうがう、くまくま、がうくまー?」
すまない、既に獣語ではない何かを喋るクマメイドは尋ねるように首を傾げリリを見る。
「誓います」
ああ、そういうアレね……ハイハイ。
「ががが、くまがう、にゃんくま?」
途中熊じゃなくなったがにゃんって俺のこと言ってんのか? じゃあさっきのリリは『がう』だったのか。
『誓おう』
俺の念話がメイドに聞こえてんのか分からないのでとりあえず念話に合わせて口パクしてみせる、横でリリが合図すると、イヌメイドが大小の異なる大きさで同じデザインのリングを持ってきた。
「くまー」
もう適当だな、おい……アレか、指輪の交換ですかね……俺のはどう見ても首輪だが。
イヌメイドが輪っかを差し出してきたので俺は尾の白蛇に指輪を咥えさせ、リリの手まで持っていき左手の薬指に――――はめきれないのでリリが指を白蛇の口に突っ込んできた。
蹂躙される白蛇の口の中……こんな時まで。
続いて白蛇の唾液でべっとりの手のままリリは首輪を掴むと右手で、既に装備されている契約の首輪を外し、首輪を交換した。
タテガミが邪魔で確認できないけど。
「くままー」
……この流れなら次はアレか。
リリは既にスタンバイできている、というか両手でがっちり俺の顔を掴みぐいっと、その細い腕からは想像もできない腕力で自分の顔まで引き寄せると、口づけというのも烏滸がましいほどの行為に踏み切りやがった。
ナニがとはもはや述べないが大体十分ぐらいやられてそろそろ苦しいと言ったところでクマメイドの止めが入った。
俺は逃げないしどこにも行かないからそこまでしなくてもいいのに。
そして退場、来た道をまた入口に向かって進む、卵はクマメイドが一度持ち上げて前後をひっくり返すと、再び歩き始めた。
入口の外にはいつの間にかたくさんのクマメイドがお出迎えしてくれて……このまま新婚旅行ですかねっていうところで、リリが倉庫を操作し、ブーケを取り出すとクマメイドに投げた。
そこからは醜い女……いやメスの争いが始まったがリリはそれをスルー、俺としては連中に結婚相手なんて出来るのかねという疑問が湧いたが頭を振って考えないようにした。
ドシン!
また卵がぶつかってきた、いい加減にしろよ。
俺は振り返り卵を見ると前足でお手をするような感覚で卵を小突いた。
すると――――ボンッという爆発と共に卵の殻が砕け散った。
果たして卵の中の何かは無事なのか? という心配をよそに卵の中に居た何かが口を開いた。
「パパ、ママ! 結婚おめでとう! ……びっくりした? ねぇ、びっくりした?」
目の前には前に夢で見た、幼女が万歳しながら飛び跳ねていた。
――――いや、知ってたし。
ちょっと訳がわからない感じのところに露骨な伏線が!
え、それは伏線とは言わない?




