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八十五話目

エリーゼは城の執務室からとりあえずは家と呼んでいる場所への帰路についていた。

ただ、これから局としての正式稼働が進めばここではなく城の近くに居を構える必要がある。

単純に移動するのが面倒だというのが大半だが、あそこには男性ばかりで正直気が疲れるのだ。

確かに殆どの人間が家の中にじっとしていることはほぼ無い。

職人は工房にこもっているし、バッカスが時折業務連絡に来るか位だ。

城に仕える人間は単純なランク街とは違う所が用意される。

街の設備的には鬼クラスが住むエリアと同程度の公共施設が用意されている。

その為、低位ランクの契約者は最初は城に仕える道を選びたがるが、如何せん希望者は多数だ。

選ばれる人間はそれほど多くは無いので生活のためにギルドに流れるというのが殆どの人間だ。

正式な局とは形も規模も違うが、局は局。居住権は認められるかどうかは悩ましい所だ。

ただし、こんな些末な問題など吹き飛ぶような発言が局長自身の口から飛び出した。



エ「………今なんて言ったの?」

鬼「ちょっと国王に会いたいから予約とってくんない?」

エ「一体今度は何を…」

鬼「今後魔族界での活動を本格化したとしよう、人間族と妖族と鉢合わせした場合現状どうなる?」

エ「それは…」

ア「おそらくかなりの割合で戦闘になる、というか今までもそうだろう?」

鬼「たださぁ、これからはそれじゃあ困るのよ。これからの魔族界開拓計画には彼等の力は必要。

となるとせめて鉢合わせしても最悪武力衝突しないような国からの正式な布令がいる。

だがそんなものそこらへんの局に頼んでどうこうできる問題でもない。

国の頭にでも動いてもらわんと説得力がないだろ?」

エ「いや、それはそうなんだろうけど…そんな軽く食事の予約取るんじゃないんだから…」

ア「しかし、こいつとてもう国の主要機関たる局の長だ。会う位の事は出来ないのか?」

エ「そうなんだけど…そうよ!この局が正式稼働していないのが問題なのよ。

きちんとした活動さえしてくれればこちらとしても動きようがあるの。

現状は私たち一般人と一緒なんだもの、どうしようもないわ」

鬼「正式稼働ね…実際問題そこに行くのに後は何が必要なの?」

エ「…あんた、そんなことも知らないのに局を一つ作れって言ったの?

呆れるを通り越してそろそろ怒りすら覚えるんだけど?」

鬼「いや、局は一つの結果でしかない。自分が自由に動くのに必要だと言われたから作っただけの事」

エ「作っただけの事って…」

鬼「それはいいから。で、後は何が要るの?」

エ「…正直この局に関しては誰も関知しないし、干渉もされない。

必要な書類は大体届けたから後は名前を決めて、国からの正式に認められた任命書があればそれで十分。

本来なら予算決めやら人員の確保やら活動方針の審査やら膨大な時間がかかるんだけどね。

そこら辺がごっそり無いからこんな短時間で局が動くんだけど」

鬼「では、そろそろ名前を決めるか…では城の方に出向くとするか。

やれやれ、またあの辛気臭いブルーノの面を拝まんといかんというのがなぁ」

ア「そうも言うなて、向こうとてお前の顔など見たくはないのかもしれんのだぞ?

であるならばお互い様という所だろうが」

エ「それで、名称はどんな風に決めたの?」

鬼「そしたら、エリーゼも一緒に来る?城内で堂々と公開した方がかっこよくない?」

エ「一緒に行くのは別にいいけど…」

鬼「では是非ご一緒に。折角の晴れ舞台だ、美しい女性が傍にいた方が場が華やかになるだろうし」

エ「はいはい、そういうのはいいから」




城内には様々な局が国家運営に関する仕事を局ごと、更には課等に分配してこなしている。

その中であって総務取扱局というのはそこまでの専門性は求められてはいない局である。

様々な雑務等を扱う局という事で単調な仕事が多い所ではあるので正直あまり志願等はされない。

ただ、危険性もなく仕事もそこまでの難しいものではないので多少の変わり者からの人気は一部ある場所だ。 

ここに所属しているブルーノという職員もその変わり者の一人である。

名前から見ても分かる通り、ランクも低く戦闘能力もかなり低い。

また、人間付き合いも苦手で団体行動などは不得手。

こうなると一人で黙々と仕事をこなせるこの局は正しく天国と呼べる場所であった。

ただ、そんな彼も現在抱えている仕事の中でも一つ憂鬱な案件がある。

未だ正式稼働はしていないが、ある局との連絡員という仕事だ。

相手は現在国内でも噂話で持ちきりの無契約者その人だ。

別段今までの仕事と何が違うという訳ではないのだが、やはり面倒になりそうという予感だけがあるのだ。

何せ、この局は成り立ちからその運営方法まで何もかもが異色過ぎる。

何故彼の者はこうも一々人の世の理を無視するのだろうか。

何故普通に物事を進めるという事をしないのだろうか。

今後彼が行う行動の全てがこの人の世にどういう影響を与えるのだろう。

この国の人間全てが彼の行動の一部始終を注目している。

全く何故あのような者に関わることになったのか、この身を呪わずにはおれない。



鬼「オオ、ブルーノそこにいたの!今時間いいかな?」


声をかけてきたのはこの悩みの現況本人がそこにいた。

相も変わらず真っ黒な格好をして同じ色の不気味な鳥をその肩に乗せている。

横にいるのは友人だという女性なんだろう。

私よりも長い時間彼の横にいるせいか、顔色が悪く見えるのは私だけだろうか?

それよりも今度はどういう案件を持ってきたのか…聞くのも怖いものだ。


ブ「今行きますのでそのように大声を出さないでください…それで本日の要件は何でしょうか?」


それでもこう聞かずにおれないこの職務が本当に憎らしいものだ。

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