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八十三話目

最近魔族界での商業活動の為、様々な機関の人間と話し合いを進めてきた。

そのせいか、会う人間会う人間の肩書が格段にド派手になりつつある。

本日お会いする人間は二人、生産ギルド長秘書官ダンカン・ロナガン。

もう一人はギルド長のジャスパー・クロズビー。しかも…


ジ「おお!アンタがキリュウとかいうのか!最近大分大暴れしているそうじゃないか!

面白い、実に面白いぞ!さぁ、座ってくれ!話をしようじゃないか、楽しい話をな!」


挨拶もろくにせず、自己紹介もなしでこれだけハイテンションなおっさんも見た事がない。

今まで会ってきた長がつく人間はもう少しまともな気がしたんだが…


鬼「……初めまして、キリュウです。で、いいんだよな?前に会った…はないわな。

こんなオッサン会ったら忘れんの」

ア「だろうな。私も知らん」

ジ「おお、本当に喋るのだな!面白い、実に面白いぞ!

ワシは生産ギルド長ジャスパー・グロズビー!今後もよろしく頼むぞ!」

鬼「今後?はて、何の事やら?今後のお付き合いがあるのか?」

ア「我らの要件が何なのか、知りもせんのだろ?」

ジ「魔族界における生産活動への協力要請、辺りではないのか?」

鬼「……そうだよな~、一ギルド長なんて役職についている人なんだ。

ただのテンションの高いおっさんじゃないわな」

ア「まぁ、ここに来た時点でそのくらいは分かるか」

ジ「それ以外でここに来る理由などあるまい?」

鬼「とりあえず、大筋の目的はそこだね」

ジ「大筋?ではまだ細かい条件でも出す気か?」

鬼「生産系ギルドに所属している団体のどれかを譲り受けたい。それがこちらの条件だ」

ジ「譲り受けたとはどういう事かな?いまいち意味が分からんのだが?」

鬼「その団体の権限譲渡。運営などをすべて自分達に渡してもらう。それが要件だ」

ジ「……一体何を言っているのだ?そんな条件を飲む団体があるとでも?

私達生産系ギルドに自分達の仲間を貴様等に売れと言っているのだぞ?」

鬼「その通り。だが渡せる物もかなり大きなものとなるはずだが?

農場の確保、鉱物資源の採掘、文字通り生産ギルドの根幹をなす部分だろ?

それらを幾つかの団体を寄越すだけでこの国にもたらそうというのだ。そんなに悪い話でもないだろ?」

ジ「条件は一切変わらんのか?それしか話し合いの余地がないと?

それでは最早脅迫ではないか。協力せねば恩恵を与えないと」

鬼「さっきも言ったろ、その通りだと。どう捉えても構わんさ。

ただ、それを飲んでもらえれば国内に計り知れない利益を与えれる。そこは動かない事実だ」

ジ「…もし団体を渡した場合、所属はどうなる?ギルドになるのか?」

鬼「まさか!自分の今までの行動、アンタくらいの立場なら知っているだろ?

ギルドにも国にも教会にも属さない。自分個人に属してもらう。そういういい方になるかな」

ジ「なぜそこまでどの組織も嫌うのだ?通常通りギルドや国に属した活動では駄目なのか?」

鬼「やかましいわ!最初にそういう通常通りの活動をしようとしたら拒んだのは誰だ?

教会の五神に拒まれ、闘人ギルドに入ろうとしても拒まれ、国には活動そのものを禁じられた!

全ては自分が無契約者だからという理由でだ!

それを力を利用できると分った途端どいつもこいつも自分にすり寄ってきやがる。

そんなお前らをどう信用して活動をしろと?忘れるなよ、最初に自分を拒んだのはお前等だ」

ア「キリュウ、落ち着け。…こちらの希望は伝えた。後はそちらで検討してくれ。

行くぞ、キリュウ。…帰ろう」

鬼「……ああ、そうだな。ではジャスパー・クロズビー。答えはいずれ聞かせていただきたい。

ではこれで。お見送りは結構だ」






部屋に残った二人は出て行った一人と一匹の後姿をただ茫然と眺めていた。

キリュウの提案はある程度の予想は立てていたものだ。

あれは世界の常識を嫌う。成り立ちや形作ったものすべてを拒絶しながら進んで行く。


ダ「それでギルド長、どうされるおつもりです?」

ジ「…考えるまでもあるまい?現状人間界の食糧生産量はほぼ頭打ちだ。

他の国からの輸入も仕入額が徐々に上がってきている。他の資源も同様だ。

であるならば幾つか見繕ってくれてやればそれらの問題を片づけてくれるというんだ。

有難い話だろう?」

ダ「その割には顔は不満を露にしておられますけど」

ジ「それはそうだろ?あのような失礼な物言いの若造に頼らねばならんのだぞ?

それが腹が立つと言わんでどう言えと?」

ダ「では、いくつかの団体を私の方で選び出しましょう。あとでリストにして提出いたします」

ジ「……本音を言えばクズみたいなところをくれてやりたい所だな。人材も規模も資金もな」

ダ「ですがここで得られる利益は我々も大いに期待できるところです」

ジ「わかっておる。だがそれだけ優良な団体となると下につかせられるというのを嫌がるところが多い。

そこら辺のバランスの兼ね合いが難しい所か…

とりあえず、上位の団体から打診をしてみよう。どこも断られると思うが…」

ジ「頭が彼というのも断られる理由の大きい所でしょう」

ダ「それは言うな。まずは行動だ。そこから段々下位の団体に当たっていくとしよう」

ジ「かしこまりました」




ア「あの程度でいちいちキレるな馬鹿者。鳥に止められる人間なぞ底が知れるぞ?」

鬼「神様だからいいだろ?…すまんな、少々ストレスが溜まっていたのかもしれん」

ア「分かればいいのだ。それで、お次はどういう行動をとる気だ?裏の責任者殿?」

鬼「最近は会う人間会う人間本当にランクが上がってきて気疲れもかなりしている所なのだが…

そろそろ一番疲れる人間に会って話さにゃならんのよな~」

ア「ギルド長以上に疲れる人間なぞいるのか?」

鬼「いるさ~。その名前に国名が刻まれた人種が居るだろ?」

ア「国名…お、お前まさか!」

鬼「どうすれば会えるのかな~。…アクアビス国現国王陛下には」

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