八十話目
アクアビス国内アゴン石昌活用計画。
今回の一連の騒動に名前を付けるとなるとこういった名称になるのだろうか。
きっかけは当然アゴン族からの贈り物だ。
まさかこれだけの物が送られるというのは大分予想外ではあったが…
ただ相当の面倒事とそれ以上の利益になるというのは瞬時に頭に浮かび、期待と疲労感が襲ったのは少し前の話である。
色々と紆余曲折を経てとうとう実用段階に持ち込める状況にはなった。
アクアビス国との交渉やら、ギルドからの自由化等等…
今回は土地所有における事務手続きの確認とその方法だ。
それらの資産を管理するのが資産管理局という部署らしい。
とりあえず、誰でもいいからそれらを聞きに来たのだが、職員が誰も寄ってこない。
まぁ、よくは知らんが流れている噂が噂だし…どうしようかと悩んでいたら一人の職員が話を聞いてくれるとの事。
他の職員への対応や、個人の執務室があるというのでそれなりの重役かな?位に思っていたら…
ス「ああ、その点の自己紹介をするのを失念しておりました。
私、資産管理局局長を仰せつかっておりますスコットと申します」
鬼「………ん?」
ア「オオ…これはまた…」
ス「はて、どうかされましたかな?」
鬼「いやぁ…ちょっとあまりにも予想以上のお偉いさんだったもんで…ちょっとビックリ」
ス「今回の件で近い内にここに来るのは分かっていましたので。
職員にも対応は私自身で行うと通達をしておりました」
ア「それにしても局長自ら出張るような事なのか?」
ス「無論です。案件内容は国内でも初の案件です。誰か担当をつけるにしても決定権は私にあります。
であるならば最初から私が話をした方が時間の短縮にもなるでしょう?」
鬼「それは確かに助かる。無駄な時間は勿体無い」
ス「それでは話を進めましょう。今回の案件は魔族界における土地所有の件ですね?」
鬼「その通り。そのための手続きを必要な経費等を教えてほしいんですが?」
ス「得た土地の所有権は何処に所属することになりますか?」
鬼「所有権…一応自分になるかな?」
ス「個人ですね?ではまず土地の広さや場所を明記した書類。それらが必要になります。
その書類をもとにまずはその土地を国家が所有する手続きをしてから個人である貴方に譲る形になります」
鬼「一度国が所有?何故そんな面倒な手間を?すぐに渡してくれりゃいいのに」
ス「ギルドが所有という事なら国が入る事はありませんが、個人となるとそれらは国の資産に換算されます。それに国所有の事実があると有事の際に国家レベルの動きが出来ますよ」
鬼「というと?」
ス「一番簡単な例としては他国や魔族の侵攻などの際に守備隊や騎士団の加護を受けれますよ。
国の資産を守るためなのですから当然です」
鬼「ギルド所有となるとそれらが受けれなくなるとか?結構厳しくない?」
ス「その代わりに収めるべき税金や煩わしい手続等も無いので国を一切入れないという所もありますよ」
鬼「多少利益は上がるんだろうけど…なんかそれは怖くないのかな?」
ス「国同士の戦争もなく、壁のこちら側では大した魔族も出ませんしね。
であるならば多少の警備を闘人ギルド辺りの戦団に頼んだ方が安上がりですし」
鬼「それにしても一切合切を自分達で面倒を見るか…ギルドなんかでもそこら辺の保障とかはあんの?
その理屈で行くとギルドの資産を守るのはギルドって事でしょ?」
ス「ある程度はありますよ。要請があれば優先的に闘人ギルドの支援なども受けれます。
それなりの出費がかかりますが多少はギルドからも補助を受けれますし」
鬼「国の方がより手厚い保証があるみたいな感じでいいのかな?」
ス「国では守備隊と騎士団という保有する武力がいつでも待機しています。
闘人ギルドもありますが実力面や装備面、戦力集め等等どうしても動くのに時間がかかる。
様々な面でのメリットデメリットを考慮して国を使うか、ギルドと自らの力のみで動くか。
国を使えば色々口を出されてしまう、それが嫌なら自分で自分の面倒を見ろ。そういった辺りですかね」
鬼「ではこちらは国を入れるとしようかな」
ス「おや?そうなのですか?」
鬼「ん?何が?」
ス「これまでの動きを考えると国やギルド等の組織を毛嫌いしている節がありましたので…」
鬼「今でもそんなに好意は抱いてはないかな?だからこそ気分がいいじゃない」
ス「気分がいい?」
鬼「国の連中やギルドも最初は自分を毛嫌いしていた。
それがどうだ、力を見せられ、自分に資産が出来た瞬間にすり寄ってくる連中。
そいつらが自分の物を守るために動かなきゃいけないという状況。
ああ、それを見れるだけで最高の気分さ」
ス「………」
鬼「というのが自分の個人の感情としての理由。
まぁ、国の機関が国の所有権を認めない土地や資源を持つというと流石に問題でしょ?」
ス「それもそうですね」
鬼「では必要な書類の一覧でももらえますかな?お役所仕事というのはとにかく書類書類、でしょ?」
ス「それはもちろんです。では明確な土地の場所、そこの使用目的、保有する資源。
それらが分かったら教えていただけますかな?それらが判明次第土地所有の話に進みましょう。
一覧は近い内に貴方の局に届けますよ」
鬼「ああ、そうだ。今で城に局があったんだったな。忘れてた」
ス「そういえば、名称は決まったのですか?まだ聞いた事がないのですが?」
鬼「そうだね~…まぁ、近い内に発表するかな?」
ス「そうですか。では、今後も何かあれば私に直接どうぞ。
貴方の活躍がこの国の利益になることを祈っていますよ」
鬼「利益ねぇ…取り合ず頑張りますよ。まずは自分の利益になるように。
それが巡ってこの国の利益になるように」




