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七十九話目

城に行った際に肝心の用事である土地所有の問題を聞いてくるのをすっかり忘れてしまっていた。

なにせ与えられた部屋があまりにもぼろくて嫌がらせ感が半端なかったため度肝を抜かれてしまった。

新しい部署の正式名称の件も含めて今一度アクアビス城へ!!



鬼「で、名前ってどうなってんのかな?」

ブ「なんです、突然…挨拶位交わすのが常識なのでは…?」

鬼「水臭い事言いっこなしよ、自分と君の中じゃない~」

ブ「貴方は一度顔を合した人間にいつもそのように砕けた対応をされるのですか…?」

鬼「そっちが暗いならこっちは明るく。これでプラスマイナスゼロ、じゃない?」

ブ「……意味は分かりませんが理屈は分かりました、それで結構です。

では今一度聞きますが要件はなんでしょうか…?」

鬼「自分の部署の正式名称。これってどうなってるの?」

ブ「ああ、説明し忘れていましたか…それは大変失礼いたしました…

名称は局長である貴方が決めてください。決めていただければ後の手続きは私がいたします…」

鬼「期限とかは決まってんの?」

ブ「特には決まってませんが…手続き等もあるので早めにお願いいたします…」

鬼「…特には無し、了解。じゃあ近い内に決めてくるわ」

ブ「名称に国名を入れるという条件をお忘れなく……」

鬼「分かってますよ」



名称の中にアクアビスを入れるというのが自由の代償に払った対価である。

これを果たすだけで何のしがらみもなく国内で石昌を自由に使えるのだから…

まぁ、安い対価だと思っている。国としてもメンツを保てるらしい。

よくは分からんメンツではあるが…国も色々あるのだろう。

とりあえず、総務取扱局での要件は終了だ。お次はメインである資産管理局とやらに行かんと。

土地を所有しての資産運用…なんだかすごい金持ちになった気分だ。




資産管理局というのは国民の所有する様々な資産を管理している局だ。

それらをいかにして入手したか、運用方法、どれだけ所有しているか等等…

要は法を犯して資産運用していないかを管理している部署だ。

その職務内容のせいか、ここに集められる人材は真面目でプライドが高く、金銭よりも名誉を重んじる。

ここに所属できるというだけでそれなりの信用すら得られる部署だ。

なにせ扱う物が直接的すぎるくらい魅力的だ。

賄賂を渡して少々甘い汁を吸いたい輩を言うのは腐るほどいる。

そういった人種の暗くて魅力的な誘いを断れるような人材でなければこの部署の職務は全うできない。

という訳でここに所属している方々はかなりお堅い方々が揃っているという訳だ。

局に近づくにつれて騒音…と言えばいいのか、かなりのボリュームで人間の怒鳴り声が聞こえる。

内容というのは…


「ああ!?例の商会で数千万単位の武具購入!?あそこにそんな資金ある訳ないだろ!

何処から来た情報だそれ!?」

「ブンデル家で美術品が盗まれた?それらを目録にしてもってこい!

守備隊と情報連携して市場に流れた瞬間に犯人捉えてこい!」

「あの工房でこんな質の良い武器なんか作れんだろ!誰が製作した代物だ!?」


こんな個人やギルド関連の情報がダダ漏れなのは国家として間違ってないだろうか?

内容は確かに資産や金銭など関連情報ばかり。というか工房の製作レベルまで把握しているのだろうか?

これは確かに信頼のおける人材しか所属できないというのは納得できる。

家の資産状況やら保有する美術品やら製作レベルまで…ちょっと細かすぎない?

これだけ騒がしい所だし、少々大きな声で言わんと聞こえんかな?


鬼「すいませ~ん!自分キリュウって者なんですけど…」


名前が出た瞬間、管理局の全ての人間が動きを止めこちらにすべての視線が集中する。

あの爆音の中でそんな奥まで声が届くとは思わず今度はこちらが止まってしまった。

あれだけの騒音が一瞬で鳴りやんだものだからちょっとした耳鳴りまでしてくる始末だ。

一瞬の静寂は今度は職員の話声でかき消されていった。

内容としてはあいつが例の…というような感じか。まぁ、そんな珍しくもない内容か。


鬼「あの~、どなたか聞きたいことがあるんだけど。話しできる人いる?」


ただ、やはり噂の内容のせいか近づいて来ようという人がいないのだ。

何だろうか、自分は近づいた人間を食うというような噂でも流れているのか?

そうとしか考えられないような距離の取り方と自分への拒否反応だ。

ただ、その時間が少々長くなるとこちらとしても驚きからそろそろ怒りへとシフトチェンジしそうだ。


鬼「なんだ、こんだけ人間がいて職務を遂行しようという奴はおらんのか?」

ア「これでは話など到底出来んぞ?どうする、いったん帰るか?」

鬼「これじゃあ、何度来たって変わらんて。せめてこちらの質問を聞いてもらえないと。

何しに来たんだか分らんじゃないか」

?「さぁ、皆さん。お仕事ですよお仕事。動きが止まってます、さぁ、動いて動いて」


大した大きさや迫力があるといった声ではなかった。

ボリュームという点に至ってはさっき自分がかけた声の方が遥かに大きな声だったろう。

ところがこの声が皆に広がった瞬間先程までの喧騒が一気に戻っていった。

五十…いや六十位だろうか?髪は完全に白髪になっており他の色は全くない。

目が細く、空いてるんだか閉じているのだかよくわからん顔をした爺様だ。

それだけで年齢がよくわからない。まぁ間違いなく自分よりは大分年上というのは決定だな。

体つきは細く、あまり戦闘経験豊富という訳ではなさそう。事務方と言った所か。


ス「どうも初めまして。私はスコットと申します」

鬼「自分はキリュウ、こっちは相棒のアレイス。ペット扱いをするとキレるのでご注意を」

ス「ではその点を注意させていただきましょう。どうも、キリュウさん、アレイスさん。

それで本日のご用件は?」

ア「おお、今までで一番好感が持てる人間だな」

鬼「お前にさん付けは確かに初めてだな。要件は色々あるが一番最初の要件はこれ。

魔族界での土地所有の仕方と維持に関して」

ス「なるほど…では例の石昌を用いての本格的な魔族界への侵攻を行うと?」

鬼「使わねば勿体無い、でしょ?」

ス「では長くなりますね…ここでは立ち話しかできませんな。こちらへどうぞ。

私の執務室で話しましょう」

鬼「個人の執務室があるのか?…結構ここでは重役だったりします?」

ス「ああ、その点の自己紹介をするのを失念しておりました。

私、資産管理局局長を仰せつかっておりますスコットと申します」

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