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七十七話目

アゴン族に頼まれて幾ばくかの素材の供与をする事になった。ただアゴン族には金銭という文化はない。

向こうも流石にそれなりの素材をタダでというのは気が引けたようだ。

色々話し合った結果、アゴン族ユリウス村の労働力を提供してもらえることになった。

深く考えずに提案したがこれはこれで中々の名案だったと思う。

なにせ獣装アルマは魔族の体をそのまま使えるのだ。

その形状や内包する力は多種多様だろう。特に魔族界ではその力を遺憾なく発揮してくれる。

そこら辺を考えるとユリウス村との関係性ももう少し強固にしておいてもいいだろう。

それが他のアゴン族にも広まればそれも面白いし。とりあえずそこら辺の算段は人間界でやるとするか。



鬼「そろそろ、魔族界での活動も真剣に考えんとな~。ここにある石昌も使わんと勿体無いし」

ア「まずは何から手を付けるのだ?」

鬼「まずは食料系から手を付けるか。なにせ食わなにゃ生物は生きていけないのだから!!

手始めに農地を手に入れる所だが…

そうえいば魔族界での土地の所有問題だな。どういう手続きがいるのか、それに関する維持費用。

さらに農地をしっかり活用してもらう生産係を雇わんとな」

ア「何にしてもまずは金か。そういえば残高はどうなっているんだ?

確かまだ数千万単位は残っているだろ?」

鬼「自分の記憶でもそうだが、その後も雇った人件費に現在進んでいる武器の加工に関する費用もある。

一回どの程度の残高が残っているか確認はいるな。ああ、その前にこの材料倉庫に入れとかんとな。

……適当に入れちゃまずいか。バッカスのオッサンにでも聞くか」


家の中に入るとエリーゼの入れたお茶を優雅にリビングで啜ってやがる。

あ、いや、別にいいんだよ?オッサンには店舗が出来てからガンガン働いてもらうから。

でも、なんかこう…こうも優雅にのんびりされちゃ腹立つよな。


バ「おお、お疲れさんだなキリュウ。何処に行ってたんだ?」

エ「キリュウもお茶飲む?」

キ「いや、今はいいわ。それよりもオッサンいくつか素材狩ってきたから倉庫に入れたいんだけど。

適当に入れちゃったらまずい?」

バ「いや、流石に適当は駄目だよ。魔格、使用用途、状態、それらで区分けしてあるんだ。

適当にされちゃワシがエルトに文句を言われてしまうわ。

とりあえず、倉庫の入り口にでも置いといてくれ。後は職人達の仕事だ」


新たに仕入れた素材の件もあるし、金銭の話もしたいのでとりあえず工房に向かう事に。

工房の中は相変わらず様々なソウルマシンの稼働音で爆音が鳴り響いている。

職人たちはこんな環境下で長時間いて感覚が壊れないものだ。それはそれである意味才能ともいえるな。


鬼「エルト、ちょっと話しあんだけどいいかな!?」

エ「話!?ああ分かった、じゃあ一回出ようか!」


一度職人達には休憩をとってもらい、作業は中断だ。

マシン自体は止めると再稼働までまた時間を要してしまう。

ただ工程が止まって時点で音量がかなり下がったのはありがたい。

あんだけ鳴り響いてたら話もかなりしづらい。



エ「で、話って?」

鬼「前に武器を売ったお金、どれくらい余ってるかな~と思って」

エ「大体倉庫建設に三千万、それに武器の加工に使った備品や他の四人の給金。

後はマシンの整備にも使ったし…大体千万弱位使ったかな。残りは四千万ディアと言ったところだね」

鬼「因みに四人の給金てどれくらい?そこら辺聞いてなかったから」

エ「四人とも腕もいいから相場よりも少し多めにして月に四十万にしてある」

鬼「人件費の相場ってどれ位なの?」

エ「それこそ職種によって全然違うけど…三十万辺りが相場かな?」

鬼「え、マジ?あいつ等ってそんなに高給取りなの?」

エ「うん、間違いなく一流の部類に入ると思うよ。いい人材を確保したよ」

鬼「それは朗報だ。…うん、四千万か。分かった、ありがとう。

ああ、そうだ。今回また新たに素材を仕入れたんだ。こっち用と炎錬用とそっちで判断して分けといて。

そろそろ、向こうにも初めての成果を渡さないと。何せ向こうは約束を果たしたんだから」

エ「アブルートがいくつかはもう選別済みだから…今回のと合わせて送ればいいか。

その手配とかはどうなってるの?」

鬼「じゃあ、あちらの代表に行って取りに来てもらおう。どうせ現物見たいと思うはずだからね」



四千万…もう一個の案件も残っていることだし出来れば使った分くらいは稼ぎたいか。

あっちの方の施設はこっちみたいに単純な物じゃなくてもう少し専門的になりそうだし。

幸いマシンの燃料はまだ十分だからこっちの方は補充とかはいらない。

後は一回城に行って土地関連の情報聞きに行かんとな~。

何も知らずにやって土地の没収とかされたらそれこそマジムカつくし。


鬼「エリーゼ、土地の所有や運営とかってどういう部署に行けばいい?」

エ「個人の資産って事でいいの?」

鬼「個人…確かに個人か。名義というか権利は自分の名前になるけど」

エ「国内なら国家資産管理局個人資産部…かな?」

鬼「個人資産部ってことはギルド関連となるとまた違う部署なのか?」

エ「それはそうよ。個人とギルド単位となるとその規模も活用方法も目的も違うもの。

それを監視して、監査して、違法性がないかどうかをキッチリ調べて管理しないと」

鬼「個人資産ていうと土地とか家とか預金とか…そういうものだよな?」

エ「他にも武器とか価値ある美術品とか貴金属とか…細かいもの全部は知らないけど」

鬼「そんな細かい物まで管理するのか?ちょっと細かすぎないか?」

エ「管理たって別にそこまでうるさく口出しはしないよ。

ただ、収入以上の生活があるとちょっとどうかしました?的な調べが入るけど」

鬼「意外にも細かいのね…とりあえず行って来るとしますか。

エリーゼは今暇?よかったらついてきてくんない?大まかな話はともかく、細かい実務はちょっと…」

エ「ハイハイ…全く店の事務処理に税金書類、これに加えてまだ仕事を増やしてくれるのね。

ああ、やりがいのあることだ事!!」

鬼「いやぁ、ハハハハ…すいません」

エ「まぁ、いいけど…そういえば城からこんな書類届いてたよ。アンタ宛てだから見てないけど」

鬼「書類?え~と………ああ、そういう事か…まぁ、仕方ないか」

エ「え、何?どうしたの?まさかまた問題?」

鬼「いやいや、そういうんじゃないって。今回アゴン族関連の対策部署新しく作ったじゃない?

それの責任者になった任命書と城内に部屋を設けたからそのカギの受領に来いって」

エ「ああ、そういう事…ってなんでそんなに嫌な顔するの?」

鬼「城に部署が作られたってことは自分も等々宮仕えかと思うと…ちょっと…めんどいかなって」

エ「めんどいって…とりあえず、城に行きましょうよ。

なんにせよ城内に自分だけの部署があるなんて今まで誰も出来た事なんてないんだから」

鬼「ヘイヘイ…じゃあ行きますか…」


城に入り、要件を伝えると城内総務取扱局なんて所に連れていかれた。

城の維持管理、各部署が使う施設の手配、城内が円滑に政務を執り行えるための局らしい。

なるほど、城内で色々やろうと思うと此処とはそれなりに有効な関係を持っといた方がいいな。

うん、今度来た時には少し手土産でも持っていこう、うん。


鬼「すんません、これらを受領に来いって言われてここに来たんですけど」

総「では書類を確認させてもらいます。…これは…という事は貴方が例の新しい局長ですか」

鬼「局長…ああ、そうなるのかな?」

総「少々お待ちください。今担当の者を連れてい参ります」


そういって局員の一人が部屋の奥に行き誰かを連れてきた。

年の頃は三十代後半くらいだろうか、前髪が長く目は完全に隠れている。

お陰で表情が全く見えず、若干…怖いんだけど?

胸なんかは無いし、ズボンの様な物をはいているから恐らく男性…か?


ブ「初めまして…私ブルーノと申します…

今日より総務取扱局との連絡員として任命されました…

よろしくお願いいたします…」

鬼「はぁ、よろしく…所で連絡員というのは?」

ブ「新たな局という事でこれより様々な未確認の事態が起こる可能性が大きいです…

それ故専門性を高めるため、複数が浅く関わるのではなく一人が深く任した方が効率がいい…

という事でこれより私が担当というような形になります…」

鬼「いや、局に関する決定権は全部自分にあるはずだけど?

こんな話一切聞いてないし」

ブ「私はあくまで総務取扱局の局員ですので…局長の決定権の管轄外でございます…」

鬼「ああ、そういう事ね…という事は貴方に要請は出来ても命令は…?」

ブ「当然ございません…」

鬼「………はい、わかりましたぁ…」

ブ「ではこちらへ…」


担当となったこちらのブルーノさんはこのように暗く、社交的な方ではないようだ。

しかし、これからもこうやって他からの担当官とかって形で人を押し付けられるのか?

くそ!自分以外に命令権が無いとは…そこまで頭が回らんかったな。

しかも、どう見ても嫌がらせとしか言えないような人選じゃね、この人。

ああ…やっぱり公務員なんてやらなきゃよかったかなぁ……

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