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七十三話目

国家と個人というあまりにも違う存在同士の欲望丸出しの交渉。

内容はアゴン族より入手したアゴン石昌という特殊な鉱物巡っての対話だ。

片方はこれだけの物を個人が自由にするのはおかしいといい、もう片方は自分の物を自由にして何が悪い?

全く交わる事のない論争だがお互いの共通するのは石昌が生み出す利益を手に入れたいという。

という所でお互いが最大限に譲歩して納得できる落としどころは何処か?

何とも情けない話だがその提案を出したのは一羽のカラス。

後の世にこの交渉はなんと言って教えられていくのか?当人達も考えたくはない所だろう。



鬼「ああ~…成程。そういう事か…そこら辺が落としどころか」

ア「双方の意見の最大限の譲歩じゃないか?」

鬼「じゃあ、それで行こう」

オ「…一体何が落としどころで一体何が最大限の譲歩でしょうか?」


ア「こちらとしての提案はこうだ。

石昌云々となると面倒だからいっそのことアゴン族絡みを一切こいつに任せてはどうだ?

どうせほかの人間ではあいつらと話し合いのテーブルに着くことすらできんのだからな」

オ「石昌だけでなく今後アゴン族に関する案件そのものを担当すると?」

鬼「そういう事。これをきっかけに人間族とアゴン族が仲良くなれたらすごくない?

それはとてもとてもいい事だと思わない?」

オ「……話がそこまで行くとこれは最早我々の一存では決めれません。

後日返事をするとしか言いようがありません」

鬼「それに関してこれからいうのが一番重要なんだけど。

その組織は完全に国家から独立した存在にすること。それが一番重要な処だから」

オ「は!?それはどういう意味ですか!?」

鬼「その組織は予算、人事、決定権。それらすべてを三組織のいかなる口出しも許さない。

これはこの国の王に関しても例外ではない」

オ「…新たに四つ目の組織を作れと?そんな横暴が許されるとでも?」

鬼「だがあくまでもアクアビス国内の組織であることは間違いないんだけど?

そっちだって新しい部署作るって言ったじゃん。それが少し大きくなっただけだって」

オ「それとこれとは全く違う話です!命令系統も予算もすべて独立した組織なんて…」

鬼「その代わりその組織に関する不祥事なんかは国は責任とらなくてもいいんだよ?

予算もこっちの石昌関連と自分の個人的な収入で賄うから。

それで国民に利益が出れば回りまわって国にもギルドにも教会にもお金が入るんだよ?

だったらそれでいいんでないかい?」

オ「しかし、誰の指揮下にも入らないというのは問題です。

それでは新しい国が出来たようなものじゃないですか」

鬼「だが名称位にはアクアビスの名前は入れようじゃないか。

これで対面上は国家に従う体裁は整うだろ?ここら辺がお互いの妥協できる最大限のポイントじゃないか?

それに新しい組織ならギルドも国家も教会もこちらに口出しは出来るぞ?

三組織はお互い不干渉らしいけど、自分の所にはその縛りは無いぞ?」

オ「口を出せば聞いてくれるのですか?」

鬼「それがこちらにきちんとした利益があると思えば話し合いには応じましょう」

オ「…聞く気あります?本当に?」

鬼「今も言った通り利益があればね。応じなきゃいけない義務はないし、断る権利もこちらにある」

オ「……お互い意見は出し尽くしたようですね。では今日はここまでにしましょうか。

後はこちらとしてもそれなりの時間がかかりますのでまた連絡します」




話し合いに数時間を要し、お互い疲労感は最高潮。

帰ってきてエルトに話しかけられても返事も適当に部屋までフラフラと戻っていく。

部屋では結構ドヤ顔で名案だ!と思って話を進めてはいたが…


鬼「やっぱりアゴン族絡みを一手にってのは結構話デカすぎやしないか?

あの時は石昌の事しか考えていなかったけど…」

ア「だがこれであいつ等との付き合いをどうこう言われることも無くなった。

それにもう一つ利点もあるぞ」

鬼「もう一つ?石昌の事以外でか?」

ア「これから石昌を使って魔族界に進出するのだろう?」

鬼「そらまぁ、そのために貰う訳だし」

ア「彼らは長年現地で暮らしているのだぞ?魔族界に関しての知識は当然彼らの方がある。

それらの知識もアイツらは今後お前を通さないと得られない訳だ

知識は武器であり宝だ。彼らの知識はお前が独占するという利点がある」

鬼「オオ…確かに」

ア「そのためにアゴン族絡みの懸案はお前が一切合切を纏めろ。

それにはかなりのリスクもあるがリターンもデカいはずだぞ」

鬼「でもよ、どうせあいつ等と接触できるのは自分だけなんだしそこまでしなくても…」

ア「種族間はそうでも個人ではある程度の関係性が作られる可能性がある。

何せ人間族が魔族界にいる時間が飛躍的に伸びる訳だ。

人間も誰のおかげでここに入れるのかを考えたらアゴン族と敵対しようとは考えまい。

アゴン族も頻繁に顔を合わせいれば多少敵愾心が薄れるかもしれん。

そうなった時にお前の価値がどの程度下がるのか。それでも構わないと?」

鬼「いや、それは困るよ!自分が不要になるのは困るよ!?」

ア「であるのならば、最初の内に国の人間に手出しをできないような状態にしておく必要がある。

流石に全く交流を持たせないというのは無理だが制限を持たせることは出来よう」

鬼「そこら辺の調節は今後の自分自身の動き次第か…

だが一定の距離感を保ったままというのは自分も動きやすいか。

下手に直接の話し合いなんかされてはこちらが威張る機会が減る」

ア「流石にそこまで友好関係が結ばれるとは思えんがな。

未だ恨み骨髄という人間もアゴン族も多かろう。まだ、お前という中継点があるからだろう。

あいつ等もあれらを渡してきたのだろうて。人間側から今後どういう横やりが入るかだな。

我らの問題点としては」

鬼「ま、それは今後どれだけ大きな存在になるか、だな。デカくなればなるほど邪魔も増えようか。

さて、国側はどういう判断を出してくれるのか。楽しみだね~」


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