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六十七話目

友人達がぞろぞろと押し寄せてきて訳の分からんごたごたに。

かと思えば今度は法聖騎士団団長の登場だ。事態が国家単位にまで及んでいるのは間違いない。

聞けば境界門にアゴン族が押し寄せてきているらしい。

しかも、村を統括する獣神装サクロアルマを与えられている三氏族も勢揃いだ。

一応戦闘状態になっていなかったのは不幸中の幸いだったな。

彼らの話の内容というのは以前村を救った事への礼がしたいという事だった。

別にイランと思っていたんだが、どうしても渡したいというのに断るのもどうかと。

ただし、彼らに自分に利益のある報酬が貰えるとは思っていない。

それを正直に言ったら彼らが自分にくれた物は予想以上の物だった。


オ「この結晶はアゴン石昌といい、彼らの村を守る守護炎を張り続けるために使われる結晶。

つまりこれがあれば彼らの守護炎と同じものが使えるという事になるの」


以前に人間族とアゴン族が戦争にまで発展した原因の代物だ。

これが欲しいがために両種族は血みどろの戦争をし、今も根深い遺恨が残っている。

まさか、それをくれるとは…まさか自分がここまで彼らに信頼されているとは思わんかったわ。


ユ「それをキリュウ、貴方に譲るためここまで持ってきた。…是非受け取ってほしい」

鬼「いやいやいや!!!本当にいいのか!?これはアゴン族の秘宝とかそれ位の代物だろ!?」

ユ「当然だ、これのためにどれだけの命が散ったことか…

だが我らが受けて恩を返すにはこれしかないのだ。これ以上の物は我らには用意できん」

鬼「それは…ありがたいのだが…本当にいいのか?

確かに色々したが…自分は人間族だ。それは変わらない。村では揉めなかったのか?

イザーク、ボリス、お前達も本当にいいのか?」

イ「何を言っているのだ。村人全てが納得したからここにいるのだ」

ボ「大丈夫、すべては納得したうえでの行為だ」

ユ「これが我らの総意だ。それに他のアゴン族とも協議した結果だ。

八つあるアゴン族の村の獣神装サクロアルマをもつ氏族全てとも話し合った。

故にこれだけ時間がかかってしまったがな。故にこれはアゴン族の総意と言っても構わん」

鬼「マジかぁ、まさかそこまでの大事にまでなってるとはね…分かった、ではありがたく受け取る。

アゴン族の大いなる決断に自分も感謝します。これは有効に使わしてもらうよ」

ユ「これがキリュウの役に立つことを祈っているよ。

これから色々あるとは思うが、一つ言葉を贈ろう。これはいかなる状況になってもお前の利益になる。

故にどうなろうと我らには何の遠慮も要らん。以上だ」

鬼「ああ?なんだよ、それ?どういう意味だよ?」

ユ「いいからいいから。では我らはこれで失礼する。またいつでも遊びに来い。

お前なら大歓迎だ」


アゴン族全員が帰っていった、村長の訳の分からん言葉だけを残して。

なんだよ、これ自体はありがたいけど…最後が訳が分からん。

まぁ、折角もらったもんだし、ありがたく使わしてもらうかな~。

まだ、使用方法は分からんが…後は色々帰ってから考えるかな~。

箱をもって境界門を超えたらそこには騎士団が構えていた。

数十人か下手すれば百人位はいるかな?武器を見ると所属はバラバラ…

ていうか、五騎士団がそれぞれ揃ってるな。…何これ?


鬼「あれ、こいつらなに?」

オ「何かあった時のために戦力だったんだけど…まさか、こんな使い方になるなんて…」

鬼「使い方?なんでよ、アゴン族が引き上げたんならもう厄介事は収まったって事でしょ?

さて、自分はこれを持ち帰って…」

オ「その件ですが、キリュウ。申し訳ないのですがその箱は置いて行ってもらいます」

鬼「………今なんつった?」

オ「その箱の中身の所有権は我がアクアビス国になるわ。置いて行ってもらいます」

鬼「おいおいおい、何を言っている?これは彼らが自分への返礼と言ってくれた物だぞ?

いわば自分個人への報酬だ。最初に言われたのはあくまでも国家単位での要求等があった時の話だろ?

個人への利益については何も言わなかっただろうが」

オ「何を言っているんです?こんなもの最早国家単位どころか人間界全体に及ぶ話です。

これがもたらす利益を貴方は個人で独占しようというのですか?」

鬼「おい、ふざけた事言ってんじゃねぇよ。

アゴン族は人間を今まで信用しなかったからこれの譲渡を拒んできたんだろ?

そのために戦争まで起きた話だろうが。これを今人間族に渡してみろ、自分がアイツらの信用を失う。

自分がそこまでしてお前等に尽くす理由がどこにある?国?人間界全体の話?

知ったことか、んなもん!!悪いがな、自分だって人間族何ぞ信用してないんだよ!

この国の事もな!悪いがそれだけの目にはあってるからな」

オ「私も言わせてもらうなら貴方個人がどうこなってこれが手に入るなら…

国の為、人間族の為なら私は何でもできるわ」

鬼「ホォ…ではここに控えている騎士団総出で自分からこれを奪うと?

どうだろうな~、そうなると自分はここで殺されるのかな~…

よし、分かった。そういう事なら自分も困るのは御免だ」

オ「意外と聞き分けがいいのね。そうしてもらえるのなら…」

鬼「渡すわけがあるか、ボケェ!!!困るっていうのはアゴン族の信用を失う事だ!!

そのためならこの場で貴様ら全員皆殺しにしたって気にもとめんわ!!!」

オ「貴方がまさか、ここまで強情だったとはね…ではこういうのはどうかしら?

貴方彼等がここまでの事をするなんてよほどの事を彼らにしたのでしょう?

それは、ひょっとして禁止令が出ているときとかじゃないかしら?」

鬼「ああ?何の話だ?証拠でもあんのか?」

オ「そんなものは無いわよ。ただ、貴方がその時に魔族界に入ったとなれば…

その時の守衛団は恐らく相当困る事になるんじゃない?」

鬼「いやいや、その時期に自分が魔族界に入った証拠があるのかって聞いてんだよ」

オ「そこら辺は色々とヤリヨウガあるのよ」

鬼「やりようって…まさか捏造する気か!?」

オ「私は調べ方の事を言ってるのよ。捏造なんてそんあ人聞きの悪い」

鬼「…じゃあ仮に自分がその時期に入ったとしてその時の守衛団なんか分からんだろうが」

オ「簡単よ、そんな無茶を見過ごすような事ができる程度にはその隊と信頼関係があるんでしょう?

アンタが魔族界に入った時の担当している隊をしらみつぶしにいけば…どうかしらね?

彼らは貴方の事を自分を犠牲にしてまで証言を隠すのか?どう?調べてみる?

貴方の事を信頼してそれだけの事をしたのに、そのために責められれば彼らの信頼は?

貴方にとってアゴン族の信頼と人間との信頼、どちらが重要なの?」

鬼「テメェ…そこまでしてこれが欲しいのか?」

オ「言ったはずです、その為なら私は何だってしましょう」

鬼「上等だ、そこまで言うならこの場でこの国…!」

ア「まぁ、待てキリュウ。そこまで感情的になるな」


アレイスがどこからか飛んできて肩にとまり、自分を諭してくる。

ああ!?感情的になるなだ!?ここまでコケにされて何で黙ってなきゃならんのだ!?

このボケ鳥、焼いたろうか!?


鬼「アレイス、一体どういうつもりだ!?何故止める!?」

オ「あら、その鳥の方がきちんと状況が分かっているのね。凄い相棒じゃない」

ア「あの騎士団の中には複数の聖ランクがいる。これだけの数を相手にして無事で済むのか?」

鬼「んなもん、やってみなきゃ分からんだろうが!」

ア「そんなデカいもの抱えてどうやって戦闘を行う?何とか戦闘を行えるとしてそれを守り切る自信は?」

鬼「それは…」

ア「戦闘を行って犯罪者の汚名を着せられる上、箱まで奪われれば大ダメージだ。

ならば、箱を失っても訳の分からん罪状を着せられるのは回避した方がいいだろ?

どちらが得だ?どちらが損失は少ない?それすら分からん愚か者なのか、お前は?」

鬼「……」

ア「沈黙は認めたという事でいいな?では、法聖騎士団団長オルガ・ドルイユ。

その箱を持っていくといい」

オ「……貴方本当にただの鳥?それにしてはあまりにも理路整然と話すじゃない?」

ア「何、主人も訳の分からん存在だ。であるならばそれに従う者も不気味な方が合っているだろ?」

オ「まぁ、いいわ。私はこの箱さえ手に入るならそれでいいわ。では、これを城まで運んで」

ア「おっと、その前にこれだけの物を渡すんだ。そちらもまさかタダで、とは思ってないだろ?」

オ「勿論、この件に関する報酬はしっかりと支払うわ。いくら欲しいの?」

ア「いや、それに関してはまた考えさせてもらう。とりあえず、報酬は貰うと確約してくれるな?」

オ「ええ、私の名において必ず支払うと約束します。では、また今度お会いしましょう」

鬼「……貴様ら覚えておけ。これだけの事をしでかしてくれたんだ。後でどうなっても知らんぞ」


自分でも情けなくなってくる。最後に言えるのがこんな三流の悪役みたいな事しか言えんとは…

アゴン族が信頼して自分に渡してくれた箱を、彼らと自分の信頼の証たるこの箱をだ!

自分ですら信用していない国の騎士団が我が物顔で運んでいく!

ああ、今すぐこいつら全員皆殺しにしてしまえるのならどれだけこの心が晴れるか…

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