六十二話目
人の家に上がり込んで家主スルーで挨拶も無しか。今どきの若い者は全く…
いやまぁ、ここの家主はエルトだから自分じゃないけどもさ…
しかも驚くばかりで一言も喋りやがらんしよ~。何なんだよ~、帰れよ~。
まぁ、以前の好だ、こっちから話しかけてやるか。
鬼「よぉ、久しぶりだな。元気にやってか?友よ?」
エ「ラリウス、イゴル…」
ラ「エリーゼ?こんな所で何をやっているんだ?」
イ「えっ、エリーゼ?どうして?法聖騎士団にいるはずじゃあ…」
エ「色々あって今ここで働いているの」
ラ「騎士団はどうした?ここで働く?」
エ「だから、色々あって騎士団クビになっちゃったのよ。
結構落ち込んでるんだからそこはあまり聞かないで」
クビという単語を聞いた瞬間ラリウスはこっちを睨み始めた。
あれ?なんでここで自分が親の仇バリに睨まれてんだろ?ここまで一言も喋ってませんけど?
ていうかこっちのあいさつの件は?こんにちはも元気かも無し?
本当どういう教育受けたらこんな無礼な人間になる訳?しかも国お抱えの騎士団でしょ?
もう一回義務教育からやり直して来いよ、ドアホウ!!
ラ「まさか、こいつが原因でクビになったのか?こんな所でこいつの手伝いなんかをしているから!
だからあの時言ったじゃないか!こいつとの関係は考えるべきだと!」
イ「そうだよ!貴重な法鬼なのにクビになるなんて…僕らも協力するから今からでも遅くないよ。
きちんとこいつとの関係を説明すれば分かってもらえると思うよ?」
お~お~、好き勝手に言ってくれるじゃないの。扱いヒド!!!
しかもこいつ、こいつ!?もう名前も呼ばなくなりやがったか。
ここまで自分とは一言も話さないっていう徹底ぶり。あ~もう嫌だこいつら!
ラ「お前はどれだけ俺達の邪魔をすれば気が済むんだ!エリーゼに申し訳ないとは思わないのか!?
栄誉ある法聖騎士団の団員にまでなれたのに!」
イ「そうだとも!自分達が騎士団に入ってからもお前の知り合いだと知れ渡っていた!
そのせいで僕達がどれだけの苦痛を味わったのか…
こんな所でふざけた事ばかりしているお前にはわかるまい!!!」
鬼「よ~し、そろそろこっちもキレそうになってきた…言い掛かりも甚だしいわボケ!!!
苦痛?申し訳ない?知るかドアホウ!!自分らの事なら自分達で何とかしやがれ!!
そこら辺のクソガキじゃあるまいし、それこそ栄誉ある騎士団員なんだろう?
あれか、僕達は自分の揉め事も解決できない坊やなんですぅ、
人に泣き言言わないとダメなんですっていうなら黙って聞いてやる。
ほれ、ピーチクパーチク泣いてみろよ。心優しい自分が聞いててやるかよ」
ア「ピーチクパーチクが鳥の事を言ってるのなら私は怒るぞ?
少なくとも私はそのような情けない事なんぞせんわ」
鬼「オオ、すまなんだな。そこは訂正しよう…で、まだ何を言いたい訳?」
自分とアレイスのやり取りが終わった瞬間、ラリウスが装備していた両手剣を自分の眼前に突き出した。
流石にちょっとビックリしちゃったが、それは顔に出すのは格好悪いのでなんとか我慢だ。
後ろじゃあイゴルまで棍を構えて戦闘態勢になっちゃってやんの。
ラ「取り消せ…貴様如き無契約者の様な人以下のような存在に我らの何を言うのだ?」
イ「お前の様な存在に馬鹿にされる謂れはない、すぐに謝れ!」
エ「二人共落ち着いて!キリュウも言い過ぎよ!三人とも頭を冷やして!」
鬼「すまんが、エリーゼ。もう引けるような状況じゃないんだよ。
お前等一つ言っとくぞ。今まで自分を無契約者呼ばわりした人間がどうなったか…
お前等、身をもって知りたいか?あ?」
ラ「面白い、噂の数々は確かに聞いていたが、どれも嘘だと信じている。
教えてもらおうじゃないか。イゴル、いいな?」
イ「勿論だよ」
鬼「残念だよ…折角の栄誉ある騎士団に入ったのに着任早々ボコボコされるとはね。
国の体裁上騎士団が自分如きに負けるのは表沙汰には出来んのだろ?
法に訴えることもできず、力でも及ばない。どうやったら心と傷と折り合いがつくんだろうな?」
ラ「外に出ろ」
自分達三人が出ていくとエリーゼも気になったんだろう、一緒についてきた。
来たのは二人だけだと思ったら、外には他に八人も居やがった。
騎士団10人がかり、ランクはどうだ?
鬼「アレイス、敵の戦力は?」
ア「…喜べ、全員龍ランク。この人数だと魔格9でも渡り合える戦力だ。大分評価されているモノだな」
鬼「てことは鬼はイゴルだけか。何なんだろうな、それだとラリウスだけでいいんじゃないか?」
装備を見る限り、契約者は各騎士団から平均的に出されているみたいだな。
自分達が出てきた所で空気を読んだのか、全員武器を構え契約者としての力を開放している。
龍ランクの契約者がこれだけそろうってのは壮観だな。
鬼「アレイス、いこうか。友人との喧嘩なんざ久しぶりすぎて涙が出てくるよ」
ア「涙?どうした、お前にそんな感動するような殊勝な感性があるなんて私は初めて知ったぞ」
鬼「そら、感動もするだろうよ。初めて本気で負けたくないって思ったわ。
……あれだけ自分を馬鹿にし、否定し、拒絶した自分に負けるなんざあいつらにはさぞ屈辱だろ?
その面を今から拝めるかと思うと…ああ、たまらなく嬉しいよ。感動すら覚える」
ア「やっぱり、お前にそんな殊勝な感性は無かったか…さぁ、行こうか。
あちらさんもお待ちかねのご様子だ」
鬼「では…死んでも後悔すんなよ!!!ラリウス!!イゴル!!
葬式にはデケェ華でも送るから感謝しろや、ボケェ!!!!」
ラ「総員戦闘準備だ!!殺しても構わん、いや…殺せぇぇぇええ!!!!」
騎「「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」
龍十人がかりでの戦闘だ、ここら辺の地形が大分変るかもしれんが…
……うん、とりあえず後でエルトには必死で謝るとしよう。許してくれりゃいいんだがなぁ。




