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五十九話目

バッカスのおっさんから倉庫の完成、店舗部分ももうすぐ完成するという報告を受けた。

そろそろ、経済活動を行う準備をしとかないといけなくなってきた。

ということで国の納税関係の部署をエリーゼの紹介で訪れた。

ソフィーという以前からのエリーゼの知り合いが応対をしてくれることになったのはいいが…

いかんせん内容が内容、ソフィーという女性は話を聞いてすぐさま引っ込んじゃったと。


鬼「いやぁ~、遅いですな~。いつまでほっとかれるのやら」

ア「まぁ、こんな話人間界では前代未聞なのだろう?エリーゼよ」

エ「当たり前でしょう?こんな話持ってくる事自体おかしいと思われるわよ」

鬼「どうだかね~、後は話の持ってき方次第じゃない?おっ、来た来た」


ソフィーは険しい表情で椅子に座り、こちらを向いた。

この感じだとあんまりいい返事が返ってくる思えないねぇ…


ソ「単刀直入に申し上げます。個人での納税は不可。

ルール通りギルドに所属し、そちらから払っていただくという事でお願いします」

エ「やっぱり…」

鬼「何故ダメなのか、それを聞いても?」

ソ「何故って…それがこの世界のルールだからです」

鬼「ルールねぇ…ではお聞きしますがそれは一体何で決められたルールですか?」

ソ「何って…」

鬼「アクアビス国納税法一条、国民はギルドより得た報酬から納税する義務がある。

ギルド運営法第五条ギルド所属の国民は報酬の一部を国家に納税する義務がある。

というのが書いてあったわな」

ソ「そうですね。つまりは納税は基本的にギルドからというのが常識です。

公務員等はまた別の扱いにはなりますが」

鬼「ぎるどに所属をしていれば、だろ?ただおかしいのよ」

ソ「何がおかしいんですか?」

鬼「国の法律は国民に対するもの、ギルド運営法はギルド所属の国民に対するもの。

しかし、これらをどう調べても国民はギルドに所属をしなければならないとは書いては無かったが?」

ソ「なっ…!?」

エ「ああ、そういえば確かに書いてはいないわ」

ア「国民はギルドか国家か教会、どれかの組織に所属をして収入を得る。

全くの個人での活動などしようとする人間などいないからな。

失念…というよりも明記する事自体馬鹿らしいのだろ」

ソ「それは確かに明記はされてはいませんが…しかしですよ!?」

鬼「何よ?まだなんか言いたいの?」

ソ「…とにかくそのお話は無理です。お帰りください」

鬼「だから、できない理由は何だっての。そこを教えろや」

ソ「個人での納税などした事がありません。故にそのノウハウがありませんので」

鬼「それはさぁ、お互い相談すればノウハウは生まれるんじゃないのか?

やってもいないうちから諦めるのは良くないよ?」

ソ「何故貴方一人のためにそこまでの労力を割かねばならないのです?

常識通りギルドからであればノウハウを生む必要性すらありませんが?」

鬼「それが国家の大きな利益になるとすれば話が違ってくるのかな?」

ソ「利益?この話に?どこにそんなものがあるんですか?下手をすればギルドとも揉めるというのに」

鬼「今回の提案を考えてもらえるのなら、自分達独自の納税を提案しますよ」

ソ「独自の納税?」

鬼「現状の納税方法はギルドの規模や所属する人間の人数で換算されている。

税というよりも会費に近いものだ。違うか?」

ソ「その通りです」

鬼「自分達はそれプラス収益自体に税をかける事を考えている」

ソ「収益自体?それは一体どういう意味で?」

鬼「自分達の工房で作った商品が売買された場合、商品の販売価格の数%を税として納める、

というのはいかがかな?」

ソ「…本気ですか?そんな事聞いた事もありませんよ?」

鬼「自分の持ってきている話は前代未聞の事ばかりだ。それは今更では?」

ソ「…しかし、それがいったいどれほどの国家の利益になるというのですか?

多少の金額を納税されたところで…」

鬼「自分達の素材は魔各6以上の素材が元になっている。販売価格は数百万から数千万。

それらの数%とともなればかなりの金額になるのでは?

自分達の工房はまだ稼働したばかり。人数も生産数も規模もたかが知れている。

そんなはした金貰った所で国も大して潤いますまい。であるならこちらの方が利はあるのでは?」

ソ「なっ…その言い様ではまるで賄賂を渡すから自分達の良い様にさせろ言っている様じゃないですか!?

そのような事を国家に対して言うのですか!?」

鬼「はっ、賄賂!なんとも外聞の悪い言い方をされるじゃないですか。

発生した収益に対して税が発生してそれを納めようって言っているんだぜ?

納税者である自分も徴収元である国家も何ら恥じる所などない。

それとも貴方は国家に貢献しよとする納税者に、

国家のために貢献しようとする自分に賄賂を渡す犯罪者の汚名を着せようというのですか!?」

エ「うわ、強引に自分を正当化してる…」

ア「女性を怒鳴り散らしている時点で十分外聞は悪いと思うがな」

鬼「貴方一人では決定を下せんのだろ?もう一度相談してくればいい」

ソ「……では失礼いたします」


ソフィーは今一度引っ込んでいき、もう一度上司に報告に行った。

ただし、今度は他の職員も大勢巻き込んでの話し合いに発展していったらしい。

戻ってきたソフィーに言われたのは今すぐには結果は出せない、時間が欲しいと。

まぁ、当然だろう。これは大きな決断だ。今までの常識を覆すような…

色々と大変だろうとは思う。ギルドとの揉め事、手続きの確立、多方面への手回し。

ただし、それに報いるだけの対価は用意できるだろう。

さぁ、国はどういう判断を下すのか…これが認められればかなり気分は良いだろう。

これで一つ見返したことになる。無契約者が世界の常識を覆したのだと…

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