五十八話目
居間に戻りエリーゼに許可が出たことを伝えた。
なにせ生活がかかっているせいか、不安気であったので許可が出たと聞いた時はそれは嬉しそうだ。
まぁ、友人のためと思えば思いも違うという事かな?
鬼「エリーゼ、エルトの許可は貰えた。これからは同じ職場だ、よろしく頼むよ」
ア「ここは野郎ばかりで何とも華やかさには欠けていたからな。これで少しは明るくもなろう」
エ「よろしくね、アレイス」
鬼「お前にそんな人間的感覚があったんだな。ちょっとビックリ。
さて、エリーゼには何の仕事をしてもらうか…」
ア「そこ考えてなかったのか?一番大事なところだろうが」
エ「とりあえず、キリュウのサポートでもしようか?
雑務とかは騎士団でバッチリ仕込まれたし、役には立てると思うよ」
鬼「そうだな…これから城の方に出向いて色々手続きや交渉もあるしね…じゃあついてきてもらおうかな」
ア・エ「「城?」」
鬼「そう、城」
エ「えっと…何しに行くのか聞いていい?」
ア「私も聞いていなかったが?」
鬼「うむ、では少々説明をしようじゃないか。現状自分は闘人ギルドに所属はしていない。
エルトは工房ギルドに入っているが、まぁこれは自分と会う以前の話だから正直どうでもいい。
そしてこれからここで店を作り、自前での店舗販売をしようと考えております」
エ「という事は商会ギルドに入るんだ。ん?じゃあ何でお城に行くの?」
鬼「はい、実は私色々ありましてギルドには大変腹が立っております。
そこで!ギルドには一切加入しない方向で進めております!」
エ「……はぁ?アンタ何言ってんの?」
鬼「そうした場合、エルトも工房ギルドからは外される可能性がありますが…
まぁ、そこはあまりマイナスポイントになるとは考えておりません」
エ「いやいやいや!何でよ!?ギルドから外されるんだよ!?」
鬼「だってさ~、ギルドに入っててもだよ?客が紹介されるのは上位の工房とかでしょう?
後は資金援助だっけ?資金面での援助は必要なし!さぁ、入る必要性を説明できる人どうぞ」
エ「……まぁ、そうだけど…でも入るのがこの世界での常識だし!」
鬼「知らん、はい以上!この話はこれで終わりだ。エリーゼ君私はこの工房での経営責任者だ。
君はここでは私の部下。という事は?」
エ「…代表の方針には従います」
鬼「物分かりが良くて大変よろしい。では城に行ってくるか」
エ「城に行くなら私もついていくわ。で、どこ行くの?」
鬼「アクアビス国の納税関係の部署って何処?」
エ「納税関係?アクアビス税務課かな?ギルドからの納税金を管理する部署だけど…
そう、そこよ!納税は全部ギルドから行わられるの。個人で税を納める所なんかないよ?」
鬼「ギルドはどうやって税金を納めるんだ?」
エ「工房の規模に応じて決められた金額をギルドに収める。それがギルドの基本収入になるかな?」
鬼「工房の規模か…売り上げとかじゃないのか?」
エ「そうね…どっちかっていうと工房自体の職人の数とか生産数とか…そこら辺で決めてるわね」
鬼「そうなると税金というよりも会費みたいなもんか?
大して便宜も図ってくれないくせにそこはがめつくとるのね~。まぁ、いやらしい!」
ア「世界のあり方をいやらしいってお前は…」
鬼「では城に行ってみますか。案内を頼むよ、エリーゼ君」
エ「はぁ…分かりました、代表」
城に入るのは数回目だが流石城というだけあって広い事広い事。
目的地なんぞさっぱり分からんわ。エリーゼがいてくれてホンにえがったえがった。
エ「ここがアクアビス国納税課。ギルドからの納税された金を管理する課よ。国の主な収入源ね」
鬼「他に何か収入源あんのけ?」
エ「後は騎士団が任務途中に討伐した魔族とか、領土内の資源貿易とか…
細かいのを入れたらまだあるんだけど聞く?」
鬼「いえ、結構です…じゃま、お仕事お仕事」
エリーゼが騎士団の下っ端で書類仕事をずっとやっていたのが幸運だったな。
課の人間もすんなり通してくれたわ。いんや~、持つべきものは友だね。
話を聞いてくれたのはエリーゼとも顔馴染みの職員、ソフィー・ウェルチ。
名字付きって事は鬼以上の契約者か。そんな人間がこんな所で書類仕事ってのも勿体無い様な…
ソ「久しぶりです、エリーゼさん。騎士団をお辞めになったと聞いた時は心配しましたが…
その後はどうされたんですか?」
エ「その前に紹介しますね。私の友達のキリュウ」
鬼「初めまして、ソフィーさん。キリュウです」
ソ「なるほど、貴方が例の…」
鬼「キリュウだ、名前はきちんとあるので」
ソ「ではキリュウさん、本日のご用件ないったい何ですか?
というか…ここは民間人が用があるところではありませんが?」
鬼「今度店を作って商売を行うものですから、納税関係の相談に来ました」
ソ「それはおめでとうございます。ですが、そういった件はギルドとされるべきでは?
納税は全てギルドからされますので」
鬼「ギルドには入らず商売をしたいんですよ。なのでここに来ました」
エ「ああ…言っちゃった…」
ソ「…エリーゼさん、この人は大分面白い冗談を言いますね。
わざわざこんな所にまで足を運ぶという手間までかけて」
エ「だったらどんなに良かった事か…」
鬼「そんな暇人ではありませんよ」
ソ「つまり、冗談ではなく本気であると?」
鬼「その通り。それでどういう風にすればいいんですか?」
ソ「………少々ここで待っていてください」
ソフィーはえらく渋いちゅうかおっかない顔をして違う人間を何か話し込み始めた。
話を聞いた相手もはぁ?みたいな顔をし始めた。おそらくソフィーの上司っていう感じかな?
さぁ、これからが大事な場面だ。ここでの交渉はこの世界への挑戦の一歩目。
上手い事いけばまた自分の名前は大きく知れ渡るはずだ。いずれは世界へ!!
…とまではいかんが、とにかくきっちり成果をあげますかな。




