五十四話目
自分、アレイス、ブロウリー、ホルロス・ケイン。
最初はこのメンツを揃えるのはどの程度の時間がかかるかと危惧してたんだけど…
いやはや、名前が売れてるってのは楽だよね~。
…多分かなりの部分が悪名っていう所だと思うんだけど…
まぁ、そこは問わないでおこう。とにかく、目的の第一段階はクリアだ。
後の半分はこれからの話し合いか。…あ~、メンドクサイ。
ホ「それで、話というのは何だろうかな?
まさか、ブロウリーを侮辱して警備員を殴るため。という訳ではあるまい?」
鬼「いやぁ、その点に関しては謝る。自分もそんな気は無かったんだけど…
まぁ、降りかかる火の粉を払ったって事でその辺はご容赦を」
ブ「ふんっ…何を白々しい事を」
ア「何だ、まだ文句があるのか?何だったらもう少し暴れた方がお気に召すのか?」
鬼「はいはい、これ以上暴力沙汰は勘弁よ」
ホ「ブロウリーも。これでは商談などできんぞ」
ブ「…それで仕入れに関しての商談という事だが、一体どういう内容なのだ?」
鬼「では…内容自体はそんな難しい話じゃないのよ。
自分の狩ってきた魔族の素材、これをオタクに卸しましょうか?て事」
ブ「何?お前が狩った魔族と言えば…」
ホ「すべてが7以上の高位魔族。中にはアブルートもあるとか…」
鬼「そういう事。結構魅力的な話だと思うんだが?」
ブ「確かに…それだけの高位魔族の装備品となると、売り上げは数千万から上手くいけば億も…」
ア「だろう?であれば、詳しい契約を…」
ホ「待て!…キリュウ殿、確かにこのお話はかなり魅力的ではあります」
鬼「おや、これはまた急にご丁寧なご対応を」
ホ「商談相手であればそれなりの礼を持って遇せねばなりません。それが私の流儀ですので」
鬼「であるならばこちらもそうしましょう。それで、どこか引っかかる点でもありましたか?」
ブ「そうですよ、代表!これだけの話、よそに持っていかれでもしたら!」
ホ「これだけの話だからだ、ブロウリー。キリュウ殿何故このお話を私共の工房に?」
鬼「扱う素材が素材です。資金面や実績、設備面でもそれだけの物を扱える所を選んだつもりです」
ホ「であるならば、まずは工房ギルド序列一位鉄魂工房から行くというのが一般的な気がしますが?
しかし、貴方がそういった工房と話し合いをしたという情報も聞いた事がありません」
鬼「ええ、当然です。この話を持ってきたのはここが最初ですから」
ホ「であるならば、最初の質問にお答えいただきたい。何故私共にこの話を?」
鬼「その前に今自分が国から出されている禁止令の話は聞いていますか?」
ホ「ええ、貴方の情報はこの国ではすぐに広まりますから。
ましてやそんな禁止令が出された話など今まで聞いた事がありませんので」
鬼「この話を持ってきた理由がそこにあります。単刀直入に言います。
その禁止令を国に撤回させるお手伝いをしていただきたいのです」
ブ「何?何を言ってるんだお前は?」
ホ「ブロウリー、口を慎め!」
ブ「しかし、代表!」
ホ「キリュウ殿、国家とギルドはお互い不干渉。それがこの世界のルールです」
鬼「そんな事を今さら念押ししなくても分かってますよ」
ホ「では何故そんな話を?」
鬼「いやぁ、不干渉とはいえやっているのは人間同士。そんな割り切れないでしょう?
ここはある程度国と仲良くやっているみたいですし。政か軍か…どちらかは分かりませんが」
ホ「さて、それは一体どういう意味でしょうかな?」
鬼「ちょっと調べたんですよ。各ギルドの上位序列、大体10位以内を。
そしたらここの工房が面白いなって」
ブ「面白い?何がだ?」
鬼「ここの商品の販売先に騎士団及び守備隊が入っていますね?」
ホ「それが何か?」
鬼「その装備品納品数が徐々に増えていっていますよね?その点ですよ」
ブ「だからそれがどうしたというのだ!?何がおかしい!?」
鬼「…はて、何を興奮しておられるのかな?ここを指摘されるのがそんなに何かに触れましたか」
ブ「いや、別にそういう訳では…失礼した」
ホ「我らの商品が軍部に認められた。そういう事ですよ」
鬼「それまでの装備品の納品比率の最大手は序列2位オールアイアン工房。
ここでの疑問は何故序列5位が2位を徐々にであるが押しのけ始めたのか、という点です」
ホ「……」
鬼「本当にここの装備品の質で軍に認められたというのなら、一般部門も伸びているはず。
ただ、調べた所そっちの方は伸びてはいませんでした。軍の納品数が伸びたのはここ最近の話だ。
質がそれに応じて上がったというなら他でだって売れてもいいはずだ。
それがないというのなら商品の質以外の要因があるとしか思えないじゃないですか」
ホ「しかし、そうは言われてもなぁ…」
鬼「何か大きな戦事でも起きたというなら特需で納品数増でも分かりますがね。
で、その所はどうなんですか?代表ホルロス・ケイン殿?」
ホ「その所は我が職員の営業努力という所だが…仮に、仮にですぞ?
私共にそのようなコネがあり、貴殿の禁止令が解けた場合我らに一体どのような得がありますか?」
鬼「自分達が魔族界で得た資材、これらを炎錬工房に優先的かつ低価格帯でのご提供を約束しますよ」
ブ「お、お前達の得る資材をか」
鬼「ええ、本来であるならば闘人ギルドに卸すのが一般的なのでしょうが…
何せ自分はギルド関係者には嫌われていますので」
ホ「…優先的にという事なれど、他にも卸す計画があるのでしょうか?」
鬼「いやぁ、そこの所はまだ何とも…どうでしすかね~」
ホ「それらを我が工房で独占的に購入したいと言えば貴殿はどうなさいますか?」
鬼「…それはつまり、契約をしたいという事でいいのでしょうか?」
ホ「いえいえ、そういう訳では…しかし、どうでしょうな。この契約には不明瞭な点があります」
鬼「不明瞭な点というと?」
ホ「貴殿の実力です。現在そちらの方である素材を買い取るだけではなく、この契約は今後も続く契約。
つまりは安定的な魔族界での活動をしていくというもの。
それだけの活動をし、魔族達を狩り続けられる力をお持ちですか?」
ア「現在流れている噂だけでは信用には繋がらないと?」
ホ「噂はあくまで噂です。信用度を図ろうとする事自体おかしな事ではありませんか?」
鬼「であるならば、そちらの方でどなたか契約者を用意してくだされば、お見せしますよ」
ホ「いえ、そのような狭い範囲ではなくもっと公に実力を示していただけませんか?」
鬼「公に?例えばどのような?」
ホ「それはそちらで考えるものでは?それも営業の一部ですよ。
自らの商品を売り込むというのは」
鬼「確かに…では少々考えますよ」
ホ「それが出来た時に改めて契約の件を再考しますよ」
鬼「では今日の所はこれで」
工房を自分達が出ていくと工房内の幹部の方々は大急ぎで会議をし始めたらしい。
まぁ、内容が内容だからね~。あんまり無い提案なんだろうか。
本来素材の調達は闘人ギルドへ契約者に依頼するか、闘人ギルドから買い上げるか、この二点だ。
そもそもギルドを介さない商談自体ここではあり得ないのだろう。
さてさて、どう食いつてくるか…




